ブルーベルだけど

君にはどうでもいいことばかりだね

音の出るサッカーボール

2010-07-17 07:28:02 | 日記

ゴール前で両手を一杯に広げる少年。 サッカーボールから素っ頓狂な電子音で “ 禁じられた遊び ” が聞こえてくる。 かつて、そんなCMが存在した。



1983年12月、松下電器。 音の出るサッカーボールの開発に着手。 狙いは、家族でボール遊びを楽しんでもらうこと。

1985年1月、およそ1年をかけ、メロディーモジュール完成。 強度や安全性を考え、超小型アルカリボタン電池を採用。 4月、蹴るたびに20秒間音が流れるボールを発売。

しかし、ボールは売れず、まもなく生産中止。 誰もがボールの存在を忘れようとしていた。

1993年、およそ8年ぶりにボールの生産再開。 きっかけは、盲学校の生徒からの手紙。 日本で初めての、目の見えない子供たちのサッカーチームが実現していたのだ。

「・・・僕はサッカーでゴールキーパーです。よく音を聞いて思いきりボールをかち上げたいです。・・・」

目の見える子供たちとの、初の交流試合。24対0。試合にはまだ、一度も勝てないけど、私たちの仕事が、子供たちの夢を叶えることができた。

「目が見えなくても、うまくなれますか?」

サッカーは、もう ” 禁じられた遊び ” ではない。



CM大賞を決めるTV番組で最後に流れたこのCMに会場は静まり返った。 誰もが泣いていた。 既に成人を迎えているだろうあの少年は今、どうしているのだろうか。

コメント
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