脱あしたのジョー

MTオリーブフィットネスボクシングクラブのブログ

偶然だと思っていることは必然である

2017-12-12 | Weblog

私が好きな学者にキムナンドと言う学者がいる。ソウル大の哲学の教授で何回かNHKの白熱教室で取り上げられた大学教授である。彼はラジオで人生相談を持っている。
これはその人生相談で彼に対してよせられたハガキであるが、その手紙の内容は詳しくは忘れたが、その便りをよせたリスナーの家はまずしく病気の母親がいて、本当は進学をしたかったのだが、しかしまずしさと母親の面倒をみなくてはいけないので、その夢を断念せざるを得ず小さな工場に就職したのだが、こういう仕事と親の面倒を見るだけの人生に一体どこに幸せがあるのかという半ば彼に対する挑戦状のようなハガキである。

それをうけとった教授は最初どう返答していいのかわからなかった。そして言った一言が「今おかれている境遇を受け入れろ。自分の人生を愛せ」と言う言葉であった。
これを言った時彼は決してこのことが本当に正しいとか、それを彼に頭ごなしに認めろなんていう権利もない。そしてこういう無神経なことを言って、彼のことを傷つけてしまうかもしれないと思ったらしい。そしてそのことによって彼にうらまれても仕方がないだろう。がしかしこれは自分が言える精一杯のことでそれが最も真実に近いのかもしれないと言う気持であった。

それから何日かしてそのリスナーから返事が来た。
確かに最初は彼はその言葉を教授から聞いた時はなんもわからないくせに何を言っているんだ、俺の苦労もわからないくせにと、その無責任とも思える言葉にひどく傷つき教授をうらんだそうである。
しかしある時どういうきっかけけでかは忘れたが、そこまで言うのだったら、自分の今の境遇を受け入れそして前向きに生きていこうという気持ちがおこりそして努力したそうだ。
しかし前向きに考えては行ったものの自分の生活など一向にかわるはずはない、毎日がやすい賃金で働き、そして帰ると親の世話を見なくてはいけない。しかしある時そういう生活を続けていく中でひとつ発見したことがあった。
それは苦しくても自分の人生を受け入れて前向きに生きようとする彼を見てまわりの態度がかわったことである。そしてそこから少しずつまわりの彼を見る態度がかわり、たいへんだねえ、それでも親の面倒を見る君は本当に立派だよと言うように声をかけられ、少しずつでも変化があらわれ、自分の置かれている境遇を受け入れることができ生き方が楽になったそうである。

人間は不公平であるのは当たり前だ。人間はみんな平等だなんていう言葉があるが、人間は生まれた時から能力差というものがあり、その努力の量も限られてくる。それに裕福な家に生まれるか生まれないかと言うのも、運命次第である。
しかし大事なことは自分の人生を受け入れることだ、自分の受け入れ方がかわればものの見方がかわる、自分の生き方を肯定できるかできないかは自分次第でニーチェも「人間が生まれてきたことの偶然性を知る、しっかり語る、しかしそのことでがっかりしない人間なんてつまらないとも思わない、偶然の世界と人生をありのままに受け取る、それが強い人間である」と言っているが、それができれば人間は生きがいや幸せを感じることができると思う。

さらに付け加えて言うならばそれは私たちが偶然だと思っていることは偶然性ではなく、進んでそれを受け入れなくてはならない理由がある。
昔学生の時食事目当てで行っていたハワイの教会でこういう話を聞いた、それは「神は陶器をつくる職人で我々はその作品である」と言う話である。一見何のことかと思ったが、もし神が陶器を作る職人であったならばその陶器が不完全だとすてられてしまう。しかしそれでも自分たちがそこに存在するということは神の作品であり、不完全ではないということだ、だから自分が今ここに生まれてきて、体験しているということはすべて意味のあることであるというたとえである。
私はかつていろいろな境遇の子供を見てきたが、自分の運命を受け入れるというのは最終的には自分次第、そしてその自分の今の境遇を受け入れるか受け入れないかということで今後の人生が大きくかわってくると信じているが、自分もそうであったように、自分はここに偶然存在しているのではなく、どうであっても必然的な存在であるということを信じて生きる時、多少なりとも自分をかえる発見があり前向きに生きることができると信じている。

私はめぞん一刻のテーマ曲である「悲しみよこんにちは」と言う曲が好きである。
特にさびの部分の「平気、涙のかわいた後には夢の扉があるの悩んでちゃいけない、今度悲しみが来ても友達が来るように笑うは、きっと約束よ」が好きである。いい歌詞だから聞いてみることをおすすめする。


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