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パーヴォ・ヤルヴィ指揮のアントン・ブルックナーの交響曲第8番ハ短調を聴く

2012-06-03 08:54:11 | アントン・ブルックナーの作品
昨日はウォーキングを休み、
横浜みなとみらいホールで行われたパーヴォ・ヤルヴィ指揮、
フランクフルト放送交響楽団の演奏会を聴きに行った。
今回はその演奏会を聴いた感想を述べたい。
1曲目はメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲ホ短調作品64。
ヒラリー・ハーンの独奏ヴァイオリンにより、
第一楽章の有名な主題が甘美に奏されて始まった。
軽快なテンポでヤルヴィはオーケストラをコントロールし、
独奏ヴァイオリンの音が前面にでるようにし、
協奏曲としてのスタイルを守りつつ第三楽章まで一気に聴かせた。
ヒラリー・ハーンの演奏はいきいきとしてよかったが、
アンコールで演奏したバッハの無伴奏ソナタ第2番の
アンダンテとアレグロがまたよかった。

休憩をはさんだ後半の演目がブルックナーの交響曲第8番ハ短調である。
第一楽章冒頭のテンポは速めに始まった。
さすがフランクフルト放送交響楽団である。
金管楽器やティンパニが鳴り響き、盛り上がるところが素晴らしい。
ヤルヴィはメリハリをつけながら、テンポを自由に変化させていくが、
そのことでブルックナーの音楽らしくなるなることはない。
第二楽章のスケルツォも中間部のトリオの部分との対比が素晴らしかった。
第二楽章の冒頭が繰り返されて、金管楽器とティンパニが鳴り響き、
最後力強く終わったあとの音の残響が素晴らしく、心地よかった。
第三楽章も速いテンポであるが、メリハリ付いた演奏なので飽きることなく、
弦楽器中心の静かな部分と、金管楽器により盛り上がっていく部分がはっきり対比され、
シンバルとトライアングルが加わりクライマックスを築く部分が印象的だった。
第四楽章フィナーレの主題が金管楽器により力強く奏されるところは圧倒的だった。
ヤルヴィが指揮するテンポは不自然な部分がなく、音楽は自然に流れていった。
中間で3本のフルートが旋律を奏でるところや、クラリネットなどが活躍する部分で、
フランクフルト放送交響楽団の木管楽器奏者の演奏の素晴らしさにも感心した。
最後のコーダの部分の金管楽器と打楽器を中心に盛り上がって終わる部分も素晴らしかった。
終わったあと会場では一部拍手があり、そのあと一瞬静まり、再び拍手がわきあがった。
聴きにきた人たち多くがその終わりの余韻を味わっているかのようだった。

パーヴォ・ヤルヴィはフランクフルト放送交響楽団を完全にコントロールし、
彼流の音楽の世界を創り出すことができるようになったなあと感じた。
それは以前来日してブラームスの交響曲を演奏した時よりも強く感じた。
彼のブルックナーの交響曲を聴くのも初めてであったが、
期待以上に演奏は満足できるものであった。
それにしてもブルックナーの交響曲第8番は演奏が難しい感じがした。
何しろ、音のダイナミックな変化と休止部分が繰り返されるところ、
それは金管楽器や木管楽器奏者にとっては難しそうに見えるし、
聴いている側もとても緊張してしまうもので、最後の最後まで気が抜けなかった。
アンコール曲のシベリウスの「悲しいワルツ」は定番のもの。
本当に彼はこの曲が好きなんだなあと思った。
以上でブルックナー交響曲第8番の特集は今回で終わりにしたいと思います。

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