札幌の大学生がネットで呼び掛けて、就活(就職活動)の在り方や企業に苦情を訴えた。全国で4か所でこれに応じたデモがあったようである。たった4か所でも、表現方法を知らない現代の学生にとってはこれがせいぜいの表現であろう。
今年の新卒者の内ほぼ10万人ほどが、定職についていない。来年は17万人になるようである。現在の就職内定率は、57.6%である。殆ど信じられない数字である。今は、就活は3年生の後半から取り組んでいるようである。100社を受験したが未定というのも、珍しくないようである。失業率が5%を越える状況と相まって深刻な問題と言える。
デモなどの学生たちの言い分から内容がうかがわれる。曰く、「就活おかしいぞ」「面接ばかりさせるな」「こんな就活もういやだ」「くたばれ就活」「就活早すぎないか」「勉強する時間がない」「卒論書 く間がない」等など。悲鳴とも取れる声が聞こえてくる。
大学時代は勉学をつみ人生の礎となる時期である。その最も大切な、4年生の時期を就職活動に当 てなければならない、学生たちも哀れである。勉学できない学生の存在は、社会にとっても大きな損失である。
企業側はリーマンショック以降の立ち直りが未だ十分ではないようであるが、受験する学生の側にも問題がないわけではない。大企業の競争率が2.5倍程度に対して、中小企業では求人数以下である。学生側に大企業志向が大きいというのである。いっそのこと農業に目を向けてもらいたいものであるが、汚くきつい仕事もお好みでないようである。いずれにしても社会進出出来ない学生の存在は、社会にとっても大きな損失である。
確かに今学生さんの就職は困難です。しかし問題は政府が、企業が、雇用が、とマスコミが連呼する単純な問題ではありません。
(1)大学、学部の新設、増設をすすめすぎた文部行政の失敗。
若者の数は減っているのに、反対に大学生の数は、1985年は185万人。2010年には288万人と100万人も増えています。猫も杓子も大学進学。AO入試や推薦入試でほぼ無試験で入る子が増えました。そんなに都会で大卒の仕事が正社員であるわけないのです。大学が増えすぎたツケが学生にきているのです。
(2)学生の都会、大企業志向
そして、大学生たちが希望するのは都会の大企業や有名企業、人気業界。これらの採用のパイは決まっているから、当然、枠からはみ出る人が大量に出てきます。一方中小企業は採用意欲が旺盛なのです。農林水産業や介護の現場では人出不足です。徳島県などは県をあげて第一次産業助成をしています。3Kを嫌い、自分の実力アップに努力せず「70社受けました。何処も採用してくれません。」と嘆くのは、おかしいのです。
(3)そもそも学生の質の低下
「分数の足し算もできない大学生が増えている。」と、大学生の学力の低下をかつて大きく取り上げたマスコミが今度は、そのレベルの学生たちが内定をもらえないと騒ぎ立てるのはそもそも論としておかしい。テレビ局も新聞社も自分達は採用数を抑え、かつ早期に採用活動をしておきながら、です。よくわからん勉強内容の大学へ無試験で入り、だらだらすごしてネット中毒になっている非リア充が厳しい就職試験の面接試験で敗退するのは当たり前なのです。無試験進学+ネット&携帯文化の相乗効果で今学生の質は非常に低下しているのです。