安倍首相が極めて巧妙な、戦後最大の改革と銘打つ施政方針演説を行った。改革の断行や女性の社会進出や子育て支援や地方創生それに財政再建もやると、なんでもありの幕の内弁当のような披瀝をやって、アベノミクスは順調であると自画自賛である。
彼の本心である、集団的自衛権行使に関することには一言も口にすることなく、最も大きな社会的不平等の現実・格差については全く触れもしなかった。戦後70年の節目に、積極的平和主義を高く掲げるというが、実態は真逆である。
日米ガイドラインをより強固にすると、国内法や独立国家として危うくなる安保法制の整備をするというのである。
沖縄の知事には逢いもしない、補助金は減らす、投票結果はに示された沖縄県民の民意には、目もくれない。安倍首相は議論が嫌いである。議論を求める相手には反論してきたと断じてしまう。こうした態度が、今後も政権に不都合なことには貫かれることになるであろう。
その一方で、安倍政権は憲法改定に向けて、国民投票法の既定とまずは安全保障とはかけ離れた条文から取り組む準備に余念がない。公明党の顔色を伺うのであろう。次期参議院選挙で議席を伸ばせばすぐにでも取り組むつもりである。
中国や韓国が最も神経を尖らせるのが、日本が平和憲法を破棄することである。安倍首相の眼は地球を俯瞰する中に、極東は入っていないのである。それでいて友好の扉は開いているとは、大きな自己矛盾である。
過去の歴史上の方々の言葉を、前口上のように使い、あたかも、それが、自分であるような錯覚を、思い込ませるような切り出しでした。
政治家ですから、自分自身の信念、日本のあるべき姿など、それを朴訥に、問いかけ、それを真摯に議論する姿勢と、行動を見せてほしいものです。