習近平がご満悦である。中国は現在開催中の第20回党大会で、習近平の権力の座を強固にする「二つの確約」を採択した。異例の総書記三期目に習近平は突入する。
既に習近平思想は教育の場で広く普及させ、神格化への道を開いている。毛沢東時代を彷彿とさせる。こうした政治体制は、社会主義体制の一党独裁の、あらゆる権力と価値観を共産党に収斂させるという意味で、社会主義ではあると思われる。中国は世界革命を目指したソビエトと異なり、それを中国という国家に集約させる。
ところが経済は全く異なる。どう見ても資本主義体制として、株式制度を導入し資本を奔放に活躍させる。銀行はすべて国営で、経済動向をきわめて強力な指導をする。経済成長は二桁を20年近く継続した。
その結果、世界で最も大きな貧困格差を招いている。これが社会主義だとは笑止である。東シナ海に面した地域は世界有数の富裕層、最先端の地域となっている。この経済体制を社会主義国家と判断する経済学者も国家もないだろう。
経済成長は、人々の不満や人権などを黙らせる効果がある。
習近平のこれまでの2期10年は、曲がりなりにも成長はしていた。ウイグルやチベットの人々を思う存分弾圧しても、香港を中国化に思いっきり進め思想弾圧してもも、経済成長で黙らせる効果はあった。
これから習近平が担う5年間は、世界の経済は停滞期に入るのは明らかである。リーマンショックもコロナも殆ど世界で唯一経済成長を続け、国家資本主義で乗り切れたが、世界と強く結びついてしまった中国のこれからの5年はそうはいかない。
そこで習近平は国民の高まる不満を外に向けることが十分考えられる。アメリカはデカすぎて手が出せない。そこで習近平はプーチンのウクライナ侵略を教訓として、台湾を暴力的に併合させるか、あるいは新たな近隣諸国との紛争を起こすかもしれない。
周辺を習近平一色で固めた中国は柔軟な外交ができない。習近平の3期目は極めて危険であるといえる。