そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

農業崩壊が始まっている、農村崩壊が極限に近づいている

2022-02-19 | 農業と食
著者の弁によれば今最も売れてている、ベストセラーとのことである。「農業消滅」農政の失敗がまねく国家存亡の危機:鈴木宣弘著:平凡社新書880円(税別)である。
農業農村の危機を身をもって感じている者にとって、読んでいるうちに気持ち悪くなる、極めて不快な本である。本書が不快なのではなく、現実を的確に言い当てているからである。そして絶望的な僻地の未来を想うと、行く末を考えれば、今からでも遅くはない。
日本の戦後政治が一貫して、経済成長に浮かれ、地方を捨て、食料を捨て、環境を汚染し、ひいては日本文化の礎を破壊してきたことを、今こそ反省するべきであると思われる。
経済学者鈴木氏の本書の仔細で広範に細部にわたる指摘を、国は悉く潰してきている。何のため。商工業優先のためである。
流行語にもなった『今だけ、金だけ、自分だけ』は鈴木氏の言葉である。
本書の内容は、以下のいくつかの表題が言い表している。
2035年には食料自給率は大幅に低下する
コメ農家は存続さえ危うい
日本はグローバル企業の餌食になる(※戦後一貫してなってきている)
亡国の種子法廃止(※日本の胃袋を独占企業に任せる)
危ない食料は日本向け(※規制が緩く世界で廃棄対象食品が集まっている)
安全保障としての国家戦略の欠如(※武力に特化した安全保障しか考えない)
農業過保護論の虚構(※日本ほど農業が保護されていない国はない)
地域循環型の経済が命を守る(※全くその通り、世界は向かっている)
結局今頃になって、ようやく生態系農業が有利なこと、環境にも優しいことを気が付く気はじめている。ようやく「みどりの食料システム戦略」などと言い出したが、農村のことや環境のことなど考えていない。時すでに遅しであるが、相当な力量が政治に求められる。
『今だけ、金だけ、自分だけ』社会に見切るを付けることが求められている。

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2 コメント

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農家に自家採取を禁じるなんて有り得ない (和久希世)
2022-02-20 15:20:32
農家に自家採取を禁じて毎年種を業者から買わなかったら罰せられるなんて、新しい税金の様なものですよね。
しかも、自分の思う通りの種子が手に入らなくても如何しようもなくなるのかもしれませんし・・・・・
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エゴ社会を変えないと (songwave)
2022-02-22 13:09:47
日本は古くからエゴを否定する社会だったと思うのですが、グローバリズムとかでエゴが容認される社会になってしまったと思います。政治はむろん重要ですが、ひとりひとりが自分の内面と向き合うことが必要ではないでしょうか。競争社会ではなく、互いを思いやる共生社会へ向かうことが必要だと思います。
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