オランダと日本の研究チームが、鳥インフルエンザ「H5N1」の研究課程で、一部遺伝子を変えた結果、ほ乳類に感染することが起きた。空気感染し、急速に伝搬することから、アメリカがテロ対策のために、研究成果の公開を差し止めていた。
これを受けて、専門の科学者たちによる世界保健機関(WHO)は17日、ジュネーブで対応の会議を開いた。結果は、論文を全文公開すべきだと結論を出した。勧告は全会一致であった。
アメリカの求める非公開基準が曖昧であり、研究成果によってもたらされる、ワクチン開発などの貢献する公益性も高い。研究者たちの意欲も削ぐことにもつながる。
今後、こうした研究成果や内容が、研究期間以外に流出することへの配慮などをすることなどを前提に、研究結果を公表する結論に至った。
このことは評価されるべきである。研究に対して差し止めをするのは、やはり不当な介入である。テロ対策は、研究者たちの仕事ではない。一義的には政治の問題である。
科学者たちと政治の距離の問題である。距離が縮まり一体化すれば、それは大きな脅威となることが、歴史が証明している。科学は、時の権力者と一定の距離を保ちながら、人類の幸福などに貢献するべきなのである。今回のWHOの結論を評価したい。