そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

人権を蹂躙されてきた先住民族に台湾が謝罪

2016-08-03 | 先住民族
小さな記事であるが、台湾の蔡英文総統は8月1日、総統府に台湾先住民族の代表者を招き、「過去400年にわたり皆さんが受けてきた苦痛と不公平な待遇に対し、政府を代表して謝罪する」と述べた。これは画期的なことである。日本などの先進国では、早々と国家という存在を作り上げ法整備や税制度などの統治と領土を確定させた。
ところが世界の多くの地域では国家などという概念などなく、部族やせいぜい民族として統治していた程度である。それを特に優れた武器などを駆使して、後進国を統治、占領、収奪してきた経緯がある。先住民族の人権はもちろんのこと、資源を収奪し富を蓄えてきた。欧州各国は中東に対しての責任はいまだに尾を引いている。特にここは石油という巨大な資源が富となったことが、更なる不幸を生んで、現在に至っている。
先住民族派支配されながら、多くは抵抗すらままならなかかった。北海道も狩猟民族のアイヌなどの民族を大和民族(シャモ)が支配した。それは歴史から抹殺され、私たちは20年にも及んだ『シャクシャインの戦い』すら教科書で教えてもらうことがなかった。日本史から摩擦したのは、大和民族にとって都合が悪い事実だからである。シャクシャインは松前藩に勝利したが、和睦の酒宴の席で奸計によって殺害されている。
日本の国有林の90%は北海道にある。少数民族を支配した新たな支配者は、財力で巨大なサイズの農鉱業を展開する。オーストラリアや南アメリカがそうであるし、規模が小さいが北海道も同じである。ウクライナ地方もロシアによる支配が、特に東部の工業を合理的に発展させてきた。先住民族のクリミアタタールを追い出して、長年ロシア人が住んでますと主張してもわずか150年ほどでしかない。それがクリミア半島をロシアが併合する理由になるのは大国の我が儘、狭量なナショナリズムである。
台湾には、彫が深くフィリッピンやさらに南のポリネシア系に近い先住民族が住んでいた。漢族が低地の肥沃な地域を支配し、彼らを山岳に追いやった。400年経って漢族の領土と主張する中華人民共和国(大陸側)に比べて、中華民国(台湾)の蔡英文大統領の謝罪は画期的であるといえる。
蔡総統は「いずれの政権も武力を使って先住民の既存の権利を強烈に侵害してきた。和解の責任は政府にある」と述べ、先住民の自治確立や伝統文化の継承などに向けて尽力する意向を示した。具体的な内容は不明であるが、こうした姿勢を高く評価したい。
日本でもつい19年前まで、98年間も「旧土人保護法」なるものがあり、アイヌ民族を土人と呼び虐げ権利や資産を奪ってきた歴史がある。ユダヤ人は2千年経って権利を主張するようになった。
国家というものの形を、現在の国の枠だけ捉えていては、都合のいとこだけ集めた歴史の上にしか国家観を構築できない。狭量なナショナリズムを展開するのが日本では、近隣国家に対立と排他性を露にすることになる。狭量なナショナリズムは、現安倍政権を支配している。改造内閣は更にそれを鮮明にし、軍国化を目指している。

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2 コメント

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Unknown (タンケ)
2016-08-04 14:29:28
一つの視点で見れば、国家はただの暴力装置だ。それは現在存在している多くの国を見れば判る。人々の幸福のための本当の国家というのは稀で、アメリカのように、自国覇権のために他国に因縁をつけて戦争吹っかけるならず者国家も存在する。先住民を滅ぼして白人の国家をデッチ上げたと思ったら、今では世界各国で特に非白人、非ユダヤ、非キリスト国に喧嘩売り続けているのがアメリカだ。日本はその手先でアメリカ植民地であり東太平洋支店に成り下がっている。

西も東も金儲けに狂い、戦争好きな資本家や利権政治屋らが蹂躙しているのが現実だ。
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Unknown (きなこ)
2016-08-04 19:07:00
作家・佐藤愛子さんの「スニヨンの一生」、
台湾の山岳民族の人が太平洋戦争中、日本兵として戦って、
終戦を知らずにジャングルに一人、29年間!小野田さんより後まで、隠れていた人がいたことが、書かれていますね。
見つかって台湾の故郷に帰ったとき、もう日本人ではないので、日本から保証金なしだった、とか。
でも、人って何が幸せか、一概にお金ではないかもと思えるのが、というのも、
帰ってからは、他の人と再婚していた奥さんも戻ってきてくれて(なんて優しい!ヽ(;▽;)ノ)、息子さんや家族や友人に囲まれて、故郷の村で、賑やかに豊かに暮らしたそうですが、
タバコの吸い過ぎか、帰って3年くらいで肺がんで亡くなったとか。
ウーンと、なんだかいろいろ考えさせられる話でした。
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