そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

食料問題に無関心な都会(多分)の人達、日本農業あ死に瀕している

2022-05-08 | 農協 食料自給率

食料危機がいずれ来ると言い続けて何年になるだろう。相変わらずこの国の農政は、農家には補助金を出し不満の目を摘み黙らせるだけの、貧相な対策しかしない。消費者には安価な輸入品を提供に向ける。
要するに食料のことなど考えていない。小手先の対策し考えない。かつては票田とまで言われた農業者の数も5%にも満たなくなっている。農家側も数に任せて金を引き出し、制度を政治的にいじりすぎた感がある。
先月生産量しか追わないと、日本農政を批判し次のように書いた。(上図参照)
昨年5月、日本政府は、「みどりの食料システム戦略」(通称:みどり戦略)を発表した。みどり戦略では、有機農地を25%まで高めると示されているが、天文学的数字でしかない。上の表では現在0.2%でしかない。達成不可能のその時は日本はお得意の、有機の基準、ハードルをうんと下げるのであろう。変な国である。
そして現在農業は緊急事態にあると東大教授の鈴木宣弘先生は、「・コロナ ・異常気象 ・中国による食糧爆買い ・ウクライナ紛争のクアトロショック”」にあると警告する。
世界に起きていることではあるが、日本はこれらの対応が全くできない。農業など一次産業を犠牲にして、二、三次産業の発展に傾注した。高度成長とは経済の容量の評価であって、新たな何かが生まれたわけでもない。それは環境をいいだけ食い潰し、エネルギーを大量に消費し環境を汚したに過ぎない。
農業に生産量評価しか与えず、規模拡大は完全に破たんした。貿易を自由化すれば農業は強くなるという、殆ど妄想に近いことをやり続けてきた。その結果、農村から人々を都会に引き出し、地方は疲弊した。少子高齢化は均等に起きない。農村地域は突出して高齢化が進行し廃村が相次いでいる。
鈴木氏の指摘するクアトロショックの最後の、ウクライナ紛争は農業国の生産を抑圧しただけでなく、世界の食料の価格を上げ流通を滞らせた。
日本の農業は国が強引に進めた規模拡大の脆弱性を露わにした。例えば肥料やエネルギーを多用するのであるが、それらのほとんどが輸入資源である。日本農業は量として自給しているとされる品目についてさえ、現在のような流通機器が起きると機能しなくなる。
食糧を自給しない国家は独立国家と言えないとは、シャルル・ドゴールの言葉である。フランスの農民の収入の110%は政府によって支えられている。
翻って日本は、関税を低下させ自由化などという言葉で、単にニ、三次産業の犠牲になったに過ぎない。過保護という言葉で、日本の農業は死に追いやられてしまった。クワトロショックがとどめを刺したと言える。
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