政治主導で始まった日本の原子力政策。政治主導だから金は出てくるが、敗北を認めない、後退の選択肢もなく、”突破”しかない。まるで特攻精神そのままである。虚構の中で傷をなめ合う、隠蔽をし支え合う、虚偽報告で目先を胡麻化すなどを、原子力村は国民意識とかけ離れたところでそうしたことを繰り返してきた。
こうした隠蔽体質が露呈したのが、東日本震災によって爆発した福島原発事故である。それは海外で大きなインパクトを、原発推進に影響を与えた。ドイツやスイスは即座に原発禁止に踏み切っている。
ベトナムへの原発輸出計画は1990年代から官民一体となって推進していた。ベトナム政府は2009年に4基の原発建設計画を承認し、2014年に着工する予定であった。しかし2016年にベトナム政府は計画中止を決議した。福島原発児を受けての選択である。
リトアニアでは2009年に2基の原発建設計画を日立製作所が受注し、2012年に議会が承認した。だが、福島原発事故を受けて反対世論が高まり、野党が原発計画の是非を問う国民投票議案を提出し、2012年10月に実施さ、その結果建設反対が6割を超えた。法的拘束力はないと政府は計画を中止しなかったが、同時におこなわれた議会選挙で野党が勝利し、原発建設計画の見直しを明言し計画撤回となった。
トルコへの原発輸出は2013年に安倍晋三がトルコ訪問をくり返しエルドアンを説得し合意した。三菱重工業を中心とした旧アレバなどの日仏企業連合が黒海沿岸のシノプに原発4基を建設する計画だった。2017年に着工し、2023年に1号機の稼働を目標としていたが計画は遅れ、伊藤忠商事は今年4月に建設計画から離脱した。事業化調査の過程で、安全対策費が5兆円を超したため、計画は中止された。
イギリスでも日立製作所が受注する予定であった2基の原発建設計画が頓挫寸前状態である。安全対策費が膨らみ、倍額の3兆円を越えそうだからである。
インドでは法外な安全対策を吹き掛けられ、さらには事故後の経費は全て受け持つなどとする、「日印原子力協定」を結ばされ、反対運動も根強く展開されて、行く先不透明である。
日本国内では着々と再稼働させている安倍政権であるが、海外では総スカンを食っているといって良い。
原発の海外売り込みをトップセールスとしてきた、安倍外交とアベノミクスの破たんでもある。