京呉服わき ごふくや日記

着物って楽しい!
呉服屋の女将の独り言?楽しいことや裏話、思うままに・・・

99歩 譲っても・・・

2008-10-20 17:54:37 | ひとりごと
100歩譲っても・・という言葉がありますが
99歩ゆずっても、あとの一歩、絶対に譲れない
という
今日は、ちょっとまじめな話です。

先日から、我が家の娘にも成人式の振袖のパンフレットが届くようになりました。
皆さんに届いているものなので、どんなものか目を通しておくのも
勉強です。

おおよそ検討はついていましたが・・・
あるページを見ていて、唖然とし、そのうちに怒りに変わりました。

最近の傾向として、浴衣もそうですが、振袖も「和服」から「ドレス」
感覚になっているように思います。

パンフレットを見ていても、着物の形をしている「ドレス」です。
コーディネートもまるでドレス。
私もそれはそれでいいとも思います。

ただし、何も着物に関しての知識のない人に
いい加減なことを、中途半端に知識として教えないで欲しい・・
叫びたい気持ちになりました。


あるパンフレットのページに書いていたこと
「もっとかわいく着るために」というテーマで小物を紹介しているのですが

*「草履とバックはおそろい・・が美しい振袖スタイルの基本」
 ・・なんだそうです
 いいえ、別々でかまいませんけど・・・
 お草履はお草履単品で、バックもフォーマルで雰囲気があえばかまいません。
 セットにしているのは売り手側の都合でしょッ

以前、振袖ではない着物でしたが、帯〆と帯揚はセットでなくていいのですかと
おっしゃったお客様がありました。
こんな思い込みをさせたのも帯〆・帯揚のセット物を作った業界のせいです。


*「みんなに差をつけるために帯飾り・・
  おしゃれ感をアップさせるには絶対使いたいアイテム」
  そうかな~~

極めつけは・・
*「おしゃれの基本はあしもとから・・・
  おしゃれな和柄の足袋で粋なセンスを見せつけましょう。」
 
 あきれて物がいえません
 お遊びで着るのならかまいません。
 振袖というものは未婚女性の正礼装なのです。
 一番格の高い着物だから成人式にきるのでしょう?
 この基本を押えて欲しいのです。
 礼装に柄足袋は履きませんからッ
 
最近の成人式は自己主張をするパーティー化していますから
思い切りおしゃれにまとめて出席するのも、それはそれで認めます。
でも、本来の正しい事を知ってくずして欲しいのです。

こんな間違ったことでも、知らない人は鵜呑みにしてしまいます。
それでいいものと、それがおしゃれだと思ってしまいます。

日本の大切なしきたりや伝統を伝えていかなければいけない立場にいる
呉服業界です。
売れないから、着なくなるから・・と
若い人に合わせた感覚の物作りや媚びを売るような提案、
いいのでしょうか・・・

振袖に帽子をかぶっていたり、レースやバックスキンの手袋、
ジャラジャラした帯まわり・・・
カールしたダウンスタイルに大きなコサージュの髪飾り・・

ファッショナブルさを強調したいのはわかるけれど・・
モデルさんだからいいのです。
こんな振袖姿でお友達の結婚披露宴に出席したら・・
ひんしゅくものです。


娘世代の今の若い人たち。
恵まれた時代に育っています。
正しいことをキチンと教えてあげれば、ちゃんと覚えていく子達も多いの
ではないでしょうか。


せめて、私の周りにだけでもこうして声をあげて
正しいことを伝えていかなければ・・・
危機感を覚えています。

どうか、「着物」をご存知の皆さん、皆さんの周りだけで結構です。
正しい事を教え伝えてください、お願いします。


 

   

コメント (2)
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