半透明記録

もやもや日記

『彼女を見ればわかること』

2006年07月22日 | 映像
監督: ロドリゴ・ガルシア

出演: キャメロン・ディアス, グレン・クローズ, ホリー・ハンター, エイミー・ブレナマン, キャリスタ・フロックハート



「ガルシア=マルケスの息子」ということをどれだけ言われたことだろうかというロドリゴ・ガルシアの監督/脚本作品です。私はもちろん大好きなあの人の「息子」という宣伝文句につられたのは事実ですが、それを抜きにしてもこれは最高によくできた映画だと思いました。能力があるというのはまったく素晴らしいことです。私はせめてそういう人から生み出される優れたものに触れるように努めねば。


最初のグレン・クローズ(他の出演者もご覧のとおりの超豪華キャスト!)の物語が始まった途端に目が離せなくなります。だって、映像がなんだか凄かった。画面の上三分の一くらいが暗い。とにかく暗い。そして透明なガラスの灰皿。モスグリーンのベッドカバーに揺れる白いカーテン。その上に横たわる真っ赤なドレスの女。黄色いつがいのカナリヤ。銀行の女支店長の薄紫のワンピース。割れた鉢植えの濃い黄色の花。色素の薄い瞳と髪をした盲目の女性の暗色のドレス。
抑制のきいた音楽もぴったり。そして、もちろん物語の組み立てが素晴らしい。五人の女の物語が次々に展開していくのですが、その物語と平行して死んだ女の物語も進んでいたりして(実際は死んだ女の物語は、終わりから始まって時間を行ったり来たりしてクライマックスへと繋がっていて、そのあたりはつい「やっぱ息子だからかしら」と思ってしまった。ついでに、登場人物の台詞のなかには『百年の孤独』も出てくる。その使い方もうまい)。話と話のつながりもいい。

あらすじはまったく知らずに観た私は、主にキャメロン・ディアスの物語なのかと誤解していました。実際は彼女は五つの物語のなかの登場人物のひとりであったわけですが、特に取り上げてポスターやDVDなどのパッケージ写真に使われる理由もわかります。超絶に美しい。暗がりに座った暗い色のドレスを着た彼女は、壮絶に綺麗でした。思い出しても鳥肌がたつほどに。この人はよく見ると特徴のある面白い顔立ちをしているのに、というかそれだからなのか、すさまじく美しく見えます。この雰囲気はただものじゃない。つーか、もろ私の好みです。はあ、素敵。

個人的には、レベッカの物語が相当にこたえましたが、どの物語もいかにもありそうな局面をとらえているというか、女が生きたり死んだり産んだり死なせたり、愛したり愛したり愛されなかったり愛さなくなったり愛されなくなったりするという、思い付く限りのあらゆる局面が凝縮されていました。凄い。うまい。

最初は倍速で観ようかな(←よくやる。作品への冒涜。ごめんなさい)と思いましたが、やらなくて良かったです。二時間くらいは、あっというまに過ぎてしまいました。久し振りにとても面白かったです。



ところで、気になったことのメモ。
クリスティーンが恋人の女の子と夜、ベッドで寝ながら観ているテレビ画面に《女の子が手をつないで丸く輪になってぐるぐるまわっている映像》が映ってましたが、それを観て私は『ピクニック・アット・ハンギング・ロック』(ピーター・ウィアー監督作品)を思い出しました。超怖い映画です。スプラッタでも何でもないのに、精神的な恐怖をあれほど感じさせられた映画は、あとにも先にもあれっきりでしょう。こえ~。しかも実話。怖い。でももう一度観たい~。調べたら、中古しかなくて、高い~。

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