半透明記録

もやもや日記

『ミッシング』放送のお知らせ

2011年10月24日 | 映像

1982年 アメリカ

監督:コスタ=ガヴラス
原作:トーマス・ハウザー
脚本:コスタ=ガヴラス/ドナルド・スチュワート
出演:ジャック・レモン/シシー・スペイセク/ジョン・シーア


《あらすじ》
クーデターによって軍事政権下となった南米チリで、アメリカ人ジャーナリスト、チャーリーが突然行方をくらます。知らせを受けた父エドワード(ジャック・レモン)は、チャーリーの妻ベス(シシー・スペイセク)と現地で落ち合い、領事館に助けを求めるが、調査は一向に進む気配がない。二人は独自にチャーリーの創作を開始、彼の失踪にはある陰謀がうごめいていることを知る。さらに、エドワードは調査に協力的ではないアメリカ政府を疑い始めるが……
1973年、チリで軍事クーデターが起こった際に行方不明となった息子のために、アメリカ政府と戦ったトーマス・ハウザーの手記を映画化、全米で大きな波紋を呼んだ社会派サスペンス。




実は、この映画はもうだいぶ前に観たのですが、あまりにグサッときて落ち込みが激しく、感想を書くことができなかった作品です。グサッときた箇所については、今でもまざまざと思い出すことができますが、全体的な感想を書くためには細かなところの記憶が薄れてきてしまったうえに、もう一度観直す気力がまだ湧かないので、また今度にしたいと思います。

では、なんの記事かと申しますと、「コスタ=ガブラス特集でもやらないかなあ~」なんて思っていたら、ちょうど今週水曜日(10/26)にNHKのBSプレミアムで『ミッシング』を放送するらしい。私は既にDVDを所有しているので観ませんが、興味のある方はぜひ!


そのついでに『Z』も放送したらいいのに。私が初めて観た時には頭を殴られたみたいに衝撃を受けた傑作『Z』は、ある小国(ギリシャをモデルにしている)を舞台にした軍事政権による腐敗との戦いの物語であり、まさにタイムリーなテーマだと思うのになあ。あの結末にはたまげたなあ!

そして『告白』とか『戒厳令』とかもやってくれれば、いろいろ捗るのに。私は持っているけれど、内容に怖れをなしてまだ観てませんがね。観るべき作品であるということは承知しています。

あるいはマスコミの報道のあり方をテーマにした『マッド・シティ』なんかは、ジョン・トラボルタやダスティン・ホフマンが出演しているのでとっつきやすいような気がするけどなあ。こちらもまた重い内容でしたが、スタイリッシュなほどにメリハリのある構成で、DVDがあんなに投げ売り状態になっているのが不思議なくらいの名作です。いや、作品が手に入りやすいのはいいことですけどね。


そもそも、ガブラス先生の作品というのはほんとうに入手困難で、私は『告白』と『戒厳令』と『Z』までは手に入れたけど、『ミュージック・ボックス』などは影も形も見たことないよ。ひどいわ。この世界は歪んでいるわ…。



コスタ=ガブラス作品においては、この社会に生きる人々は皆なにかしらの責任を負っているのだということを自覚させられるでしょう。

映画では、権力者たちがその権力を誤った方向に行使していることに対しての批判も描かれますが、それだけではなく、それを許してしまう市民、国民としての我々もまた同様に問い詰められます。

「知らなかった」「そんなことは考えたこともなければ、考える必要もないと思っていた」「誰かがやってくれていると思っていた」などという言い逃れを許されないほどに、あらゆる立場の人々が鋭いまなざしをもって描かれます。不正と混乱に覆われたこの社会のなかで、正義や善意は一瞬だけ閃きますが、たちまち無惨に潰えます。なにがそうさせるのか? 私たちのいったい誰に責任があるのか、どうしてこうなってしまうのか? 自分が社会に属していると思うとき、その中でなにか不誠実なことが行なわれていると思うとき、それに対してどのように立ち向かうべきかという深刻な問いかけが、どの作品でもなされます。


『ミッシング』もまた、胸に深く突き刺さる、痛烈な問いを投げかけてくれることでしょう。
実話をもとにしているそうですが、映画はサスペンスとしても上出来で、たくみな構成と展開によって、ジャック・レモンの素晴らしい演技をさらに一層際立たせていました。私があの場面を忘れることは、きっと絶対にないだろう。



世界はいつか、よりよいものとなるのだろうか。





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午後1:00~3:04  BSプレミアム
BSシネマ 「ミッシング」 放送予定です!



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