半透明記録

もやもや日記

6月4日 信長まつり

2006年06月05日 | 旅の記録
日曜に、京都の本能寺で催された「信長まつり」というお祭りに行ってみた。お友達の梶谷さんが短いお芝居に出られるということだったからだ。今回は梶谷さんは出演のみらしいのだが、面白そうなので観に行くことにした。それに、こういうことでもなければ私は外に出ないし。

梅田から阪急線に乗り換えて、特急で河原町まで行く。この日は天気も良く、暑かった。河原町で降りて、三条の京都市役所のあるあたりまでぶらぶらと歩いてみる。お芝居は15時からということなので、まだ2時間ばかり時間があった。思ったよりも早くに目的の本能寺へ到着し、思ったよりもこじんまりとした敷地に驚き、顔を白く塗って仮装をした人々があちこちに普通に座っているのにもまた驚いたりする。どうやら仮装行列があるらしかった。ひとしきり会場を見渡した後、腹が減っていることに気が付いたので、喫茶店を求めてお寺の近くを散策してみることにした。

京都市役所前には地下街があって、この日は休日のせいか、心配になるほど人影はまばらだった。この地下は京都市営地下鉄東西線の入口にもなっているようだ。喫茶店もあったが、地下の飲食店をあまり好かない私は、暑いけれども地上に出ることにした。そしてふたたび本能寺の北側に出る。すると最近よく見かける喫茶チェーン店を見つけたが、私は何となく久しぶりにドトールへ行きたくなってしまった。そのためには少し河原町のほうへ戻らなくてはならない。よって、さきほど本能寺から出て来たのと反対の通りを下って戻ることにする。そうすれば、本能寺の周りをぐるっと歩くことが出来るというわけだ。

歩き出した私はふと、なにやら素敵な雑貨屋さんがあるのに気が付いた。東欧や北欧の雑貨を置いているらしい。これを見ないでいられるものか。さっそく店に入ると、素敵なレターセットや外国の切手、シルバーアクセサリーに文房具、食器にリボンに洋服などなどトキメク品物が並んでいた。興奮して歩き回る私の目に、お店の1階の手前の部分と3段ほどあがった奥の部分を仕切るように置かれた棚がうつった。そして、そこに置かれた黒い猫のブローチを見て、おもわずギャッとかなんとか声を上げてしまった。私は独り言は言わないほうだが、驚けば一人でも声を上げてしまうらしい。

5年程前、東京の池袋の店で黒い猫のブローチを買ったことがある。しかし、ある冬の日になくしてしまった。その後池袋の店には何度も通ったが、二度とふたたびそのブローチを目にすることはなかった。それと全く同じものが今、私の目の前に置かれていたのであった。なんて事だ。つまりこれは運命。幸いなことに、私としては珍しくお金も持っていたので、貧乏人には4400円というのはなかなか高価ではあるが(しかも2個目)、迷わず購入。はじめまして、おかえり。今度はきっと手放しません。ここで何かのスイッチが入ったような感じがした。

雑貨屋で興奮しすぎて、お茶を飲む暇がなかった。もうすぐ15時になってしまう。急いで本能寺へ戻る(と言っても、お店は本能寺のすぐ裏だったのであっと言う間だった)。会場ではこれから若い3人組のライブが始まるところだった。UKロックらしい。なるほど悪くない。

お芝居は少し遅れて始まった。15分ほどのごく短いお話で、しかもこういう舞台(本堂の前に設置されたテントの中)で演じるのは、とても大変そうだった。それでも、私としては結構面白く観られた。時間的にも内容的にも私の好きなNHK教育番組のようなノリだったので。「えい!」とか「ほわわわわ~ん」とか、そういうところが。

お芝居が終わってもまだ16時だった。せっかく来たので、もうすこし京都の町をうろついてから帰ることにする。
錦市場の入口にある古着屋の店先で、沢山の古いワンピースが円い衣紋掛けに吊られていた。それを何気なく見ていたら、ひとつだけ、ひときわ目を惹くカラフルな一着を発見した。何これ、イカス! どことなく北欧テイスト! しかも990円! 裾の部分に微妙にシミがあるけれど、派手な色柄に紛れてしまっている。試着してみたら、似合うかどうかは鏡がなかったので分からなかったが(試着室の中にはなかった。鏡は扉の外側にくっついていたことに愚かな私は思い至らなかったので、とんでもなく似合ってなかったかもしれない)、サイズはちょうどだった上に、物欲スイッチは黒猫ブローチによって既に解除されていたので買うことにした。それにしても、丈が短い。髪をもうすこし短くしたほうが似合うだろうか。それとも、もはやそういう次元の問題ではないのだろうか。まあ、いい。

河原町から烏丸方面まで歩いた私は、さらにジュンク堂にも入る。岩波文庫の復刊シリーズが色とりどりだ。くすくす。『リイルアダン短篇集』ね。ふふふ。いいね。あ、『O侯爵夫人』もよいかもしれない。くくく。……ああっ、しかしお金がもう足りない! 涙をのんでこの日はゴーゴリの『ディカーニカ近郷夜話(後篇)』(←(前篇)はなかった……)とヴォルテールの『バビロンの王女/アマベッドの手紙』のみを買う。ああ、なんと面白そうなのか! でも、出来ればあれもそれも欲しかったな。

残りのお金で、なんとか帰りの切符を買うことができた。しかしもう財布はほとんど空だ。使い切った。うむ。小旅行らしい、実によい1日であった。

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