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江戸川乱歩 (創元推理文庫)
《あらすじ》
東京の大宝石商の一家を恐怖のどん底へと突き落とす無気味な数字の通信。日一日と減っていくその数は、いったい何を意味しているのか。一家に異常なまでの復讐心を抱く怪人〈魔術師〉とは何者? 玉村家からの依頼を受けて保養先から帰京するなり、賊の手にかかって誘拐された名探偵明智小五郎の運命やいかに!? 壮絶な結末に至るまで息つく間もなく展開される波瀾万丈の物語。
《この一文》
“「どうもしない。君たちを一人残らず縛り上げて、牢屋へぶちこもうというわけさ」
明智がほがらかに言い放った。 ”
明智がほがらかに言い放った―――。
って、ほがらか過ぎやしませんか。明智氏の爽やかっぷりは、なにかいちいち鼻につきますね。いやいや、これは真剣な物語なのだから、笑ってはいかん、笑っては…。と思いつつ、この作品はかなり笑えました。面白すぎるでしょう、ぷぷ。
そう、秋なのでミステリーが読みたい(と、なんにでも「秋なので」を付ける私)。と思い、前々から読みたかった作品を読みました。
江戸川乱歩はもっと不気味な作品がたくさんあるのですが、明智シリーズのなかでもとりわけ良く出来ていると言われる『魔術師』をとうとう読みました。たしかにこれは良く出来ています。例によってこれでもか!と盛り上がりますし、明智氏はどうやら若い女性(もちろん美女)に弱いらしいことも発覚。のちに妻となる文代さんとの出会い編です。そういうロマンスもあるのですね。盛り上がりますね。
「賊の手にかかり…」(賊!)とか「ええ、うるさいっ。すべたの知ったことか」(すべた!)とか「稀代の毒婦」(ど、毒婦!!)なんていう言葉にはなかなか出会えませんよね。そういう意味でも面白い! やっぱ江戸川乱歩は面白いなあ。
しかし、私の個人的な趣味からすると、『孤島の鬼』のほうが面白かったでしょうか。あれは泣きますね。瀬戸内海の無人島、鍾乳洞で水責め、そして報われぬ恋情……。あれは面白かった。江戸川乱歩らしい毒々しさもあったし。あれくらいがいい。もっと恐いのは私は怖くて読めませんし…。
うむ。でもまあ『魔術師』も面白かったな。これの続きは『吸血鬼』ということらしく、明智と文代さんのロマンスもいっそう発展するようなので、ここはひとつ読んでおきたいところです。
ところで、この創元推理文庫の『魔術師』には、作品連載当時の紙面がそのまま再現してあるのか、章の区切りのところに《編集部より》みたいなメッセージが入っています。これがいちいち爆笑ものでした。とくに笑ったのが、こちら。
“ 何たる怪奇、何たる驚異、こんなに面白い探偵小説はまったく天下に二つとはありません。乱歩先生も一生懸命、工夫に工夫を凝らして苦吟又苦吟、万事を擲(ナゲウ)って本篇の執筆に専念されておるわけですから、号一号、とてもとても堪らぬほど面白くなってまいります。どうぞ刮目してお待ち下さい。 ”
乱歩先生も一生懸命がんばっているんですよ。全てを擲っているんですよ。ぷぷー! ああ、おかしい。いいなあ、こんな盛り上がり主義の雑誌があったら、ぜひとも読みたいところです。熱くて、いい!
ちなみに「刮目(カツモク)する」という言葉の意味が「目をこすってよく見る」であったことをこないだ知りました。「目をよく見開いて」だと思ってました(そしてそれは「目を皿のようにして」の方だった。私は「皿~」の意味は「目を平たくして見る」だと思ってた。…「平たく」って……?)。
恥。
《あらすじ》
東京の大宝石商の一家を恐怖のどん底へと突き落とす無気味な数字の通信。日一日と減っていくその数は、いったい何を意味しているのか。一家に異常なまでの復讐心を抱く怪人〈魔術師〉とは何者? 玉村家からの依頼を受けて保養先から帰京するなり、賊の手にかかって誘拐された名探偵明智小五郎の運命やいかに!? 壮絶な結末に至るまで息つく間もなく展開される波瀾万丈の物語。
《この一文》
“「どうもしない。君たちを一人残らず縛り上げて、牢屋へぶちこもうというわけさ」
明智がほがらかに言い放った。 ”
明智がほがらかに言い放った―――。
って、ほがらか過ぎやしませんか。明智氏の爽やかっぷりは、なにかいちいち鼻につきますね。いやいや、これは真剣な物語なのだから、笑ってはいかん、笑っては…。と思いつつ、この作品はかなり笑えました。面白すぎるでしょう、ぷぷ。
そう、秋なのでミステリーが読みたい(と、なんにでも「秋なので」を付ける私)。と思い、前々から読みたかった作品を読みました。
江戸川乱歩はもっと不気味な作品がたくさんあるのですが、明智シリーズのなかでもとりわけ良く出来ていると言われる『魔術師』をとうとう読みました。たしかにこれは良く出来ています。例によってこれでもか!と盛り上がりますし、明智氏はどうやら若い女性(もちろん美女)に弱いらしいことも発覚。のちに妻となる文代さんとの出会い編です。そういうロマンスもあるのですね。盛り上がりますね。
「賊の手にかかり…」(賊!)とか「ええ、うるさいっ。すべたの知ったことか」(すべた!)とか「稀代の毒婦」(ど、毒婦!!)なんていう言葉にはなかなか出会えませんよね。そういう意味でも面白い! やっぱ江戸川乱歩は面白いなあ。
しかし、私の個人的な趣味からすると、『孤島の鬼』のほうが面白かったでしょうか。あれは泣きますね。瀬戸内海の無人島、鍾乳洞で水責め、そして報われぬ恋情……。あれは面白かった。江戸川乱歩らしい毒々しさもあったし。あれくらいがいい。もっと恐いのは私は怖くて読めませんし…。
うむ。でもまあ『魔術師』も面白かったな。これの続きは『吸血鬼』ということらしく、明智と文代さんのロマンスもいっそう発展するようなので、ここはひとつ読んでおきたいところです。
ところで、この創元推理文庫の『魔術師』には、作品連載当時の紙面がそのまま再現してあるのか、章の区切りのところに《編集部より》みたいなメッセージが入っています。これがいちいち爆笑ものでした。とくに笑ったのが、こちら。
“ 何たる怪奇、何たる驚異、こんなに面白い探偵小説はまったく天下に二つとはありません。乱歩先生も一生懸命、工夫に工夫を凝らして苦吟又苦吟、万事を擲(ナゲウ)って本篇の執筆に専念されておるわけですから、号一号、とてもとても堪らぬほど面白くなってまいります。どうぞ刮目してお待ち下さい。 ”
乱歩先生も一生懸命がんばっているんですよ。全てを擲っているんですよ。ぷぷー! ああ、おかしい。いいなあ、こんな盛り上がり主義の雑誌があったら、ぜひとも読みたいところです。熱くて、いい!
ちなみに「刮目(カツモク)する」という言葉の意味が「目をこすってよく見る」であったことをこないだ知りました。「目をよく見開いて」だと思ってました(そしてそれは「目を皿のようにして」の方だった。私は「皿~」の意味は「目を平たくして見る」だと思ってた。…「平たく」って……?)。
恥。
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