半透明記録

もやもや日記

新しい読書

2011年04月04日 | 読書ー雑記








いま、『汝、人の子よ』という小説を読んでいます。画像でもお分かりの通り、ラテンアメリカの小説です。作者はアウグスト・ロア=バストス、パラグアイの人です。恥ずかしながら私は読み始めるまでこの人の名を知らず、そればかりかパラグアイの地理さえつい最近ようやく把握したところでした。ものを知らぬということは実に辛いことですが、いやでも手遅れになる前でよかった。この偉大な作家の名を知ることができてよかった。


ちょうど半分まで読んだところです。凄まじい吸引力で、昨日は夢中になって半分まで読み進めました。描かれている内容もまた凄まじく、人間がこの世界で生きることの困難と苦しみ、悲しみが溢れ出ています。これまでにも私はこういう悲惨を描いた物語を読んできて、そこに描かれている苦しみや悲しみは、たとえ物語の中のことであろうとも、作者の本当の心の底から生まれでた、本当の感情を描いたものなんだと理解してきたつもりでした。けれど、いま、前とは違ったレベルで、あれらの苦しみや悲しみ、そこからどうにかしてわずかばかり絞り出される希望が、いよいよ本当の実感をともなって私に向かってくるようです。

いま読み終えた部分のうちで、印象的だった部分を引用しておきましょう。


“そうだ、生きるということは、どれほど前方から、あるいはどれほど
 後方から眺めようと、つまりは心の奥底で執拗に焔(ほのお)を燃や
 すことなのだ。一見不可能と見えるものも達成し、最後まで持ちこた
 え、力の限界を越え絶望とあきらめを乗り越えて耐え抜かずにはおれ
 ないことなのだ。 ”
 ――『汝、人の子よ』ロア=バストス(集英社版 ラテンアメリカの文学10)




パラグアイの歴史にもまた、凄まじいところがあるようです。これを機にちょっとパラグアイという国についても勉強しておこうかな。








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