半透明記録

もやもや日記

8月19日(金) 花火大会

2005年08月25日 | 旅の記録
毎年恒例のお祭りの夜。海の町、生地(いくじ)で花火大会が催される。商店街には出店が立ち並び、海岸の堤防沿いには赤や白の提灯が長々と列をなしている。この日は夕方になって激しい雨に見舞われ、花火大会の延期が危ぶまれたが、19時を過ぎて雷もおさまり、無事開催されることとなった。

地元の友人M嬢とともに会場へ向かう。出店で焼そばなどを買い、浜へと向かう。娯楽の少ない田舎のこと、しかも年に一度の花火大会とあって、小さな港町にもの凄い人出だ。漁船が何艘も海へと出ていった。どの船も色とりどりの提灯をぶら下げて、すっかりお祭り仕様に飾っている。私も一度乗せてもらったことがあるが、頭上に花火が打ち上げられるのを見られて、迫力があって面白い。ここ生地の花火は海に浮かぶ船の上から花火が打ち上げられるのだ。浜からほど近いところに少し大きな船が2隻停泊していて、筒が並んでいるのが見える。M嬢と私は、互いに少し離れて停泊している2隻の中間あたりに席を確保した。M嬢はたいへん用意がいいのでシートを持ってきてくれている。7時45分、最初の花火が上がった。

どうやら大きな尺玉は左手から上がるらしい。そして小振りな連発ものは右手から。あっちを見ては、こっちを見、テニスの試合のように忙しい。言うまでもなく、花火は大変に美しい。花火を発明した人は本当に何という偉業を成し遂げたことか。スケールがでかいぜ。夜空を一瞬だけ彩る巨大な絵を描こうというのだから、その美意識にも参る。しきりに感服していると、近くに座っていた小さい女の子が、「月が出とるよ!」と叫んだ。振り返ると、雨上がりの雲の切れ間から山際に大きな丸い月が懸かっているではないか。何という美しさ。前方の花火、後方の満月。(恐らく満月だったと思う)

卒倒しそうな美しさにしびれていると、海上を2台の船が疾走してゆく。先頭には巡視船、続いて提灯を下げていない普通の漁船のように見える船の2台である。もの凄く飛ばしている。何だ、何だと見ていたら、いきなりすぐ目の前の海上で花火が炸裂し、火の粉は我々の頭上に落ちてきそうだ。「!!」 M嬢も私もあんまり驚いて声も出なかったが、しばらくして落ち着くと大変に盛り上がってきた。目の前で花火が爆発したぞ! 2台目の船から投げ落としているのかもしれない、と話し合う。それであんなに飛ばしていたのか。船は見物客がいるあたりを駆け抜けて、3、4発の衝撃を与えては皆を喜ばせていた。楽しい演出に拍手喝采。

最後はテーマ曲に合わせての連発。曲は何故か『スター・ウォーズ』。何故だ。だがしかし、とても盛り上がった。最近の花火は種類が多いなーとか、機関銃のような恐ろしい速さで打ち続けてるけれど一体どういう仕組みになっているのかとか、音楽にぴったり合わせているけどこれまたどういう仕組みなんだろうかとか、見所が多く楽しかった。赤や緑の花火が次々と上がって、祭りの盛り上がりも最高潮に達した。本当の最後に白い小さな花火が2、3発鳴って、花火大会は終了した。

花火、爆発する魂、一瞬の輝き。我々はどうしてこんなにも花火に惹き付けられるのだろう。花火見物というのは後には何も残らないけれど、残らない故にかくも洗練された遊びとなり得るのかもしれない。

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