半透明記録

もやもや日記

『エレンディラ』

2004年12月05日 | 読書日記ーラテンアメリカ
G.ガルシア=マルケス 鼓直・木村榮一訳(ちくま文庫)

《あらすじ》

コロンビアのノーベル賞作家ガルシア=マルケスの異色の短篇集。
”大人のための残酷な童話”として書かれたといわれる六つの短篇と
中篇「無垢なエレンディラと無情な祖母の信じがたい悲惨の物語」を
収める。

《この一文》

”---女たちがそんなとりとめのないことを考えていると、年の功で他の女たちよりも冷静な年取った女が、あの水死人をじっと見つめたあと溜息まじりに呟いた。
「顔を見ると、エステーバンという名前じゃないかって気がするね」
      ---「この世でいちばん美しい水死人」より”


はじめてガルシア=マルケスを読んだのは、10代の終わりのことでした。
それまで読んでいた小説とは全く異質の世界が存在するのだということを、強烈に教えられたのが、この『エレンディラ』でした。
ラテンアメリカ文学との出会いです。
あれから10年経って、南米の他の作家の作品も読みました。
どれもこれも面白いのが不思議で仕方ありません。
しかし、その中でもやはりマルケスを最も愛する理由を考えると、物語の面白さは言うまでもなく、もうひとつにはそのタイトルの美しさでしょうか。
例えば『百年の孤独』、『族長の秋』、『迷宮の将軍』、『愛その他の悪霊について』などなど。
『エレンディラ』所収の短篇についても「失われた時の海」、「愛の彼方の変わることなき死」。
うお~!!
まあ、私はもちろん翻訳でしか読めませんので、訳者の方が上手なんでしょうけれど、それにしても面白くてどうにもなりません。
最高傑作と言われる『百年の孤独』などは読んでしまうのがもったいないので、読まないで大事に保管してあるのでした。

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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
面白かったです! (piaa)
2005-07-26 10:20:51
というわけでTBしておきました。
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TBどうも! (ntmym)
2005-07-26 17:53:05
マルケス、面白いですよね。

何と言ってもタイトルがいつも素敵です。

私ははじめてこの本を読んだ時、びっくりして大混乱でした。

なんたる世界観!

感覚に直接働きかけるような独特の表現力にも驚きました。

しびれますね。
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