半透明記録

もやもや日記

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アニメ『ベン・トー』(全12話)

2012年01月12日 | 映像(アニメーション)


 →→ TVアニメ「ベン・トー」公式サイト



《あらすじ》
戦って、喰え!!
半額シールが舞う時『狼』たちの咆哮が上がる!

寮の近くのスーパーに入った主人公・佐藤洋は、目の前で半額シールを貼られた弁当に手を伸ばした直後、凄まじい戦いに巻き込まれてしまい意識を失う。そして目が覚めたときには、すでに半額弁当は消えていた。たまたまその場にいた同じ学校の白粉花と出会い、翌日からスーパーに通い詰めた彼らは、《氷結の魔女》と呼ばれる女生徒槍水仙からスーパーで起きている半額弁当を争奪する人々の話を聞き、自らも半額弁当争奪戦に足を踏み入れることとなる。
佐藤は彼らと技を競い、自らの誇りと生活を懸けて、今夜もまたスーパーで激しい戦いを繰り広げる。
庶民派青春学園シリアス・ギャグアクション、開幕!


《この一言》

“ 「スーパーに悲しい涙は似あわない」 ”

    ――第12話「国産うなぎ弁当 790kcal」より





前期のアニメの中で私が一番安心して楽しめた作品でした。このバカバカしさが清々しい! ありがとう、狼たち!!


というわけで、『ベン・トー』です。タイトルからも分かるように、弁当にまつわる熱い物語です(いや、分からないかな?^^;)。弁当と言っても、ただの弁当ではなく、ここで取り上げられるのは「スーパーの半額弁当」であります。我々も買い物時によく目にするあの赤い半額シールを貼られた「半額弁当」を狙って、狼たちが死闘を繰り広げるんですね(スーパーの売り場内で!)。

さらっと「狼たち」とか書きましたが、狼ってなんだよ!? って感じですよね。狼というのは、町のスーパーで日々繰り広げられる半額弁当争奪戦に参加する猛者たちのことです。その中でも有力な狼には「ふたつ名」が与えられていて、《氷結の魔女》とか《湖の麗人》とか《魔導師(ウィザード)》などとカッコ良く呼ばれているわけです。ぶふっ!…だめだ、この段階で既にかなり笑えますwww 〈ガブリエル・ラチェット〉とかなんだよ、無駄に格好良過ぎ!wwww

ところが、笑えるんだけれども、狼たちの戦いには確かにカッコ良いところがありありとして、舞台がスーパーの中だということを時々忘れる…スーパーという極めて日常的な舞台が、狼たちによって突如「戦場」という非日常空間へと移行させられてしまうのですね、これはすごい! マジウケる! 笑!!

更に、狼たちにも縄張りがあるようで、時々お隣の地区から偵察に来たり遠征に来たりもします。

また、狼としての戦闘スタイルにも色々あって、孤高の一匹狼もいれば、集団戦闘タイプもあり、卑劣な頭脳戦を展開するものもいたりします。物語の中では正々堂々と己の肉体でライバルを蹴散らすような狼が一目置かれる存在として扱われているあたり、やはりシリアスバトルアニメといったところでしょうか(たとえ戦場が名曲『おさかな天国』の流れるそのへんのスーパー店内だとしても!)。

 *『おさかな天国』とは:
  「さかなさかなさかなー さかなーをたべーると~」
  という、一度聴いたら忘れがたいあの歌のこと。
  水産庁が作ったらしいですぜ…!


こんな感じで、この『ベン・トー』という作品は非常にバカバカしくて笑えるのですが、各所に細かな設定が仕込んであって、作者の作品への思い入れを感じられるようでしたね。ここでは「狼」についてしか書きませんでしたが、作中では半額シールを貼ってくれるスーパーの係の人を「半額神」と呼ぶことや、「半額弁当をめぐる戦いの掟」についても解説されていて、設定が真剣に細かい! 笑、笑!!


原作は、アサウラさんの同名小説(集英社スーパーダッシュ文庫刊)。イラストは柴乃櫂人という方です。2008年から刊行されているライトノベル。

私はまだ原作を読んだことはないのですが、『ベン・トー』が面白いという噂はかねてより聞いておりました。アニメが面白かったので、いずれ原作の方も読んでみたいところです。聞くところによると作者のアサウラさんは、どうも面白い人っぽい。それは作品を通じても伝わってきていましたが、このセンスは実に私好みであります!

原作を読んでいないのでアニメ版のみの印象で語らせてもらいますが、この作品には下ネタやお色気ネタがしばしば入ってきたりしますが、総じて上品な感じがします。この上品さはどこから来るのか少し考えてみましたが、キャラクターがいいんですね。

まずは主人公が加入した同好会(ハーフプライサー同好会=言うまでもなく半額弁当をゲットすることを目的とした同好会)の槍水(やりずい)先輩が凄くいい女の子です。かなりの人格者。この作品のなかでは一番まともなクールビューティー。

主人公の佐藤は異常に丈夫なハードゲーマーだし、同級生の白粉(おしろい)さんは佐藤の戦いぶりを観察しながら、日夜妄想小説(『筋肉刑事(マッスル・デカ)』)を書き綴り(←めっちゃ面白そうな小説なので、ぜひ読みたい!)、いつも佐藤がスーパーで一緒になる「茶髪」「坊主」「あごひげ」の三人組も良い感じだし、佐藤の従姉の著莪(しゃが)さんは可愛いし、魅力的なキャラクターで溢れています。

また、佐藤たちは戦いを通じてさまざまな狼たちと出会うことになりますが、セコい奴はいても、悪人はいない。みたいな。みんな半額弁当を手に入れたいだけなんだっ…! みたいな。そういうところがいいんですね。ハハハハハハ!
半額弁当争奪戦に一切関わらない登場人物もいくらかいますが、白梅さんという女の子が過激に暴力的なのを除けば、いずれもほのぼのとした味わいのある人々でしたかね。でも白梅さんは私は嫌いじゃない。ルックスがいいので私は全てを許す!
どうもアニメ版と原作とでは人物設定にいくらか違いがあるらしいとも聞いたので、その違いを比べてみるのも楽しそうですね。



というわけで、この作品は徹底的に明るく爽やかな笑いどころに満ちていました。ああ、いいよ、こういうの大好きですよ!
原作はまだ続いているようなので、アニメの方もぜひ続きを作ってほしいなあ♪