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《内容》
アニメ大国チェコで作られた、短編アニメーション・アンソロジー。
「ワンナイト・イン・ワンタウン」:ある町のある夜の風景を描いたオムニバス。(監督:ヤン・バレイ)
「3人のフーさん」:畑で帽子を栽培している3人のフーさん。軍隊に畑を荒らされて…。(監督:ブベニーチェク)
「マシュキンはコシュキンを殺した」:突然家の中に入ってきたコシュキンに、マシュキンは出て行くように嘆願するが…。/「ブラッディ・ヒューゴ」:コマ撮りで描く西部劇のパロディ。体操のあん馬にまたがる悪漢ヒューゴ!(以上監督:アウレル・クリムト)
このあいだ(といっても4ヶ月前)シネフィルイマジカで放送されていたのを録画していたので、ようやく観てみました。『チェコアニメ新世代』、なるほど新世代なのでしょうかね。うん。やっぱりチェコらしい感じです。
私が一番面白かったのは、アウレル・クリムト監督の「ブラッディ・ヒューゴ」。西部劇ならぬ【東部劇】といった風情の、悪漢ヒューゴの脱走から最期までを描いたアニメーションです。
これは、実写を使ったアニメーションなのですが、人物の動きがすごく面白かったです。移動する時に足が全く動きません。滑るようにするすると移動していく。このあたりで、ああ、これは普通に撮影された動画ではなくて、やっぱりアニメーションなんだなーと思わされます。セピア色な画面もいいですね。
でもって、ストーリーもいい。主人公のヒューゴがとにかく悪い奴なのですが、スピード感溢れる彼の悪者ぶりには爽快感さえ漂います。全体的に愉快で明るく、とても楽しい作品でした。ブラックユーモアっていいですね。
次に良かったのは、ブベニーチェク監督の「3人のフーさん」。中国人のフーさんとフーさんとフーさんは、仲良く畑を耕しているのですが、その作物は役人の帽子!(帽子がそのまんま畑に実っている……;)ところが、収穫した帽子を役所に売りにいくと、役人たちは吊られていて……というお話。これまたブラックで素晴らしい。これは面白かったです。細部のユーモアが冴えていて、とても気持ちがいいです。手描きのアニメーションも味わいがあっていいですしね。
その次に良かったのは、またまたアウレル・クリムト監督の「マシュキンはコシュキンを殺した」。とにかく、タイトル通りのお話。マシュキンはコシュキンを殺してしまいます。でも、そうね、仕方ないよね。たしかにコシュキンはうざいよね。と、そんな同情さえ覚える明るい暗黒物語です。こちらは人形によるアニメーション。
最後に「ワンナイト・イン・ワンタウン」(ヤン・バレイ監督)。これは、このオムニバスのなかではもっともチェコらしい作品だったかもしれません。迫力のある人形によるアニメーションです。
音感の乏しいアコーディオン弾きが、音楽に合わせて動き回る切断された耳を自分の耳とを取り替えるのだが事態は意外な展開を迎えるというお話、誰もいない夜のカフェに入った男の前に音楽とともに突如幻のように幾人かの客が現れるお話、酒壜から飛び出した精が酒飲み二人組の望みを次々と叶えてくれるお話、の不思議で幻想的な3つのエピソードを含んでいます。
結構面白かったのですが、表現がかなりグロテスクで恐ろしかったです。耳をずばっと切断しちゃうところとか…ぎょえー!
やっぱアニメって面白い。