半透明記録

もやもや日記

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『われ大いに笑う、ゆえにわれ笑う』

2008年05月22日 | 読書日記ー日本
土屋賢二 (文春文庫)


《内容》
名作「わたしのギョーザをとって食べた人へ」をはじめ「胃カメラからの生還」「妻への詫び状」「論よりだんご」「女性を徹底的に賛美する」「わたしの教えた学生ワーストテン」など、常識の垣根を取り払い、森羅万象をユーモアと諧謔で解きあかした、お笑い哲学エッセイ集。著者自身によるイラスト多数収録。

《この一文》
“一般には知られていないかもしれないが、哲学をやっている者も思索する。
   ―――「時間の効率的活用法」より  ”



実は私はユーモア・エッセイというやつが好きです。私の書棚には日本人作家による本はあまり並んでいないのですが、その少ないもののうちでもエッセイがほとんどを占めています。一番多いのは言うまでもなく内田百間先生の随筆(エッセイというよりはやはり「随筆」と言いたい)。そして次に多いのがこの土屋先生のエッセイです。なんだかんだで買い集め、気が付けば5、6冊は持っています。ついつい御布施してしまったなあ。

土屋先生は哲学科の先生ですが、内容はそんなに哲学のことを意識しなくても楽しく読めます。しかしやはり哲学科の先生だからなのか、もともとの性格がそうでいらっしゃるのか分かりませんが、細かいことをいちいち粘着質に述べられています。そのありさまはとても面白い。

「わたしのギョーザをとって食べた人へ」というお話は、土屋先生が行きつけの中華屋さんでギョーザを頼んだ時、ふと気が付くとお皿の上のギョーザが4切れしかない。なんだかいつもより1切れ足りない気がする……。隣の席には中年の夫婦らしい二人組。ギョーザは先生とその二人のちょうど中間に置いてあり……。
「ひょっとしたら食われたんじゃないだろうか、いやそれとも……」と嵐のようにわき起こる疑惑の念をやはりねちねちと書き綴ってあって爆笑です。
ギョーザたった一切れをめぐって、まあよくここまでこだわれますね。と思いつつ、気持ちは分からなくもないので、そのあたりが絶妙なんですね。


土屋先生の本はどれも読みやすく、にやっとすること請け合いです。さらに良いことには、いずれも面白いお話ばかりであるにも関わらず、読み終えてしばらくするとその内容をきれいさっぱり忘れてしまうので、何回でも楽しめるところでしょうか。私などはこの『われ大いに笑う…』を買う時、中身をぱらぱらとめくってみて、「何か以前に読んだ気がする…」と2度買い覚悟で買ってきたのでしたが、実際はまだ持っていない本であることが分かったので良かったです。要するに、いくつかのお話は内容が似ていて区別のつかないものもありそうだとも言えるかもしれません。でも面白いので、「気軽な読み物」としては最適であることは間違いないことでしょう。