ＧＷ 混雑を避け おいでください

　 新型コロナウイルスの５類以降後初となるゴールデンウィーク（GW）突入中ですが、有名観光地を
　　抱える自治体がオーバーツーリズム（観光公害）対策を相次ぎ打ち出している。　住民の日常生活を
　　守りつつ誘客を進めるため、交通網の増強やマナー強化の呼び掛け、観光客の分散などを促す。

　市バスの混雑が日常化する国内屈指の観光地・京都。４月
　２７日から５月６日までの土休日７日間、京都市は市バス
　から市営地下鉄への乗り継ぎを呼びかけている。地下鉄に
　乗り継ぐ乗客に、地下鉄に無料で乗車できるチケットを渡
　す。乗り継ぎを推奨するルートでは、市バスの料金２３０
　円だけで地下鉄に無料で乗れる。例えば、金閣寺近くのバ
　ス停から、いったん京都駅と逆方向にある地下鉄北大路駅
　までバスで移動し、京都駅までは地下鉄で移動してもらう
　ことなどを想定している。金閣寺から京都駅に向かうバス
　は市中心部を走り、市民の利用も多い。観光客は大きな荷
　物をもって乗車することも多く、混雑が課題だった。期間
　中は京都駅から清水寺への臨時バスを出して３～４分間隔
　で増便、６月からは直行バスを走らせる。平安神宮のある
　岡崎地区や嵐山などに行くバスも増便して混雑緩和を目指す。
　　観光地に設置したライブカメラの映像を流し、観光客に近座状況に合わせた訪問先選びを促がす試
　　　みも進めている。　映像は京都駅の観光案内所のモニターのほか、ネットでも公開する。
　　東寺では週末などに、僧侶の案内付きで早朝拝観できるプランを用意する。　観光客が多数訪れる
　　　時間帯を分散させる狙いだという。

　　同じく古都として知られる神奈川県鎌倉市。　市街地が狭いうえ、東京都心部から手軽に訪問でき
　　　るとあって観光客の集中が課題となっている。　駅前での外国人観光客の滞留が混雑につながる
　　　ことから、市は４月中旬から土日・休日に英語で対応できるボランティアを東口と西口に２人ず
　　　つ配置した。　案内・誘導することで、滞留解消を図っている。　ＧＷ期間中は平日の配置する。
　　　鎌倉市は同県藤沢市や国、地元の交通業者と２０２３年からオーバーツーリズム抑制に向けた協
　　　議会を開き、ＧＷ期間の混雑緩和の取り組みを検討してきた。　このほか、江ノ島電鉄は５月３
　　　～５日、鎌倉駅構外まで乗車待ちの列ができた場合、沿線住民らが優先的に駅構内に入場できる
　　　社会実験を実施する。　沿線の市民らが対象で、市発行の証明書があれば並ばずに入場できるよ
　　　うにする。　鎌倉市は自動車の交通渋滞緩和を目的に、別のエリアの駐車場に駐車し、公共交通
　　　に乗り換えて目的地に向かう「パークアンドライド」も実施してきた。　江ノ電沿線などの駐車
　　　場で利用できる。　特典として協賛店や社寺などで割引などのサービスを受けられると訴え、観
　　　光客の分散を促がす。

　　７月から登山シーズンが始まる富士山では登山客の人数規制に踏み切る。　４つの登山ルートのう
　　　ち、最も利用者の多い山梨県側の吉田ルートでは、県が５合目にゲートを設置し、通過できる人
　　　数を原則１日４０００人までに制限する。　通過時に１人２０００円の通行料を義務化する。　
　　　現在の任意の協力金１０００円とは別に支払いを求める。　午後４時から午前３時まではゲート
　　　を閉鎖する。　静岡県は通行料を徴収しないが、山小屋などに泊まらずに山頂を目指す「弾丸登
　　　山」を防ぐため、同県側の登山道近くに係り員を配置し、午後４時以降の入山を制限する社会実
　　　験を始める。

　　京都、鎌倉、富士山などは国内屈指の観光地としてインバウンド（訪日外国人）の受け入れに対し、
　　　ある程度ノウハウが蓄積している点は共通している。　一方、円安で日本への観光に注目が集ま
　　　ることで、これまでインバウンド対応に不慣れだった観光地では現地住人との予期せぬトラブル
　　　も発生しかねない。　人の動きが活発になる夏場にかけ、観光と生活を共存させるための試行錯
　　　誤が広がりそうです。