6月から漬物の衛生管理が厳しくなった。 相次ぐ食中毒を受けて法律が改正され、販売する
場合は国際基準に沿った営業許可の取得が義務化された。 管理記録の作成に加え、設備投
資が必要な場合もあり、副業としてきた個人農家のなかには販売を諦める人もいる。
大阪府泉佐野市の農産物直売所「こーたり~な」。 特産の伝統野菜「水ナス」はこれから旬
を迎えるが、人気の浅漬けは今年から店頭で見かけることが少なくなるかもしれない。 地
農家ら10事業者の漬物を扱っており、6月以降は半数ほどが出品をやめる。 水ナス農家
の女性は「何年続くか分からない商売のために設備投資はできない」と今年に入って販売を
終えた。
農家が副業で生産できる漬物は、大手メーカーとは異なる自家製の味が地域に親しまれてきた。
製造・販売するには条例で届け出制とする地域も多いが、2021年6月施行の改正食品衛
生法で保健所の営業許可を義務づけた。 3年間の経過措置が期限を迎え、6月からは許可
がなければ売ることはできない。 違反すれば行政処分や刑事罰の対象になる。
法改正のきっかけは12年に北海道で起きた集団食虫毒だ。 白菜の浅漬けが原因で腸管出血
性大腸菌O157の感染が広がり、8人が亡くなった。 その後も漬物による食中毒が相次
いだ。 厚生労働省は「衛生管理を怠れば死亡リスクがある」と説明する。
6月からは食品衛生管理に関する国際規格「HACCP(ハサップ)」に適合した管理を求める。
営業許可を得るためには▽センサー機能などで指を触
れずに水を出せる蛇口▽住宅と分離した加工場所▽水
洗いを実施して清潔さを保てる床‥‥などを整えなけ
ればならず、小規模事業者は設備投資が必要になる可
能性がある。 保健所に営業許可を申請する際は、今
後どのように衛生管理の記録を残すかを示した計画を
作ることも求められる。
農家の多くは自宅などで生産し、個人で厳しい衛生管理に対応するのは難しいと考える人も少
なくない。
一方、厚労省は「一律に基準を運用すれば、小規模事業者の生産継続への影響が大きい」とし
て改正後、保健j所を所管する自治体に通知を出すなどして、衛生管理の基準を柔軟に運用す
るよう呼びかけてきた。 「加工場所の分離」ができない場所にシートで居住スペースと区
切るなど、保健所が個別の事情を踏まえて許可の対応をするよう促しているという。
新制度の周知は行き届いていない。 埼玉県漬物協同組合の“鶴田理事長”は「法改正の内容や
必要な対応を正しく理解している人が少ない」と話す。 改正法の施行が新型コロナウイル
スの流行と重なり、事業者への説明の機会が乏しかった面もある。
厚労省は個人農家でも衛生管理を実践しやすいよう、チェックリストを付けた手引書を作成。
同省ホームページで公開し、製造工程で想定されるリスクを記録することや施設内を清潔
に保つ意識の大事さについて理解を広げようとしている。
東京農業大食品安全研究センター長の“五十君教授(食品微生物学)”は「塩分濃度が低い漬物が
好まれるようになり、微生物の制御が不十分で食中毒の発生リスクが増した」と指摘する。
生産者ごとに衛生管理のバラつきが大きい現状は是正すべきだとしたうえで「作りての理
解が進むよう国主体で周知を徹底する必要がある」と話している。
田舎のご高齢の方が漬けてくれたもののなかにはビックリするほどおいしいものがある。
何とかこういった地域独特なお漬物が食べられるよう考えて欲しいものだ・・。
場合は国際基準に沿った営業許可の取得が義務化された。 管理記録の作成に加え、設備投
資が必要な場合もあり、副業としてきた個人農家のなかには販売を諦める人もいる。
大阪府泉佐野市の農産物直売所「こーたり~な」。 特産の伝統野菜「水ナス」はこれから旬
を迎えるが、人気の浅漬けは今年から店頭で見かけることが少なくなるかもしれない。 地
農家ら10事業者の漬物を扱っており、6月以降は半数ほどが出品をやめる。 水ナス農家
の女性は「何年続くか分からない商売のために設備投資はできない」と今年に入って販売を
終えた。
農家が副業で生産できる漬物は、大手メーカーとは異なる自家製の味が地域に親しまれてきた。
製造・販売するには条例で届け出制とする地域も多いが、2021年6月施行の改正食品衛
生法で保健所の営業許可を義務づけた。 3年間の経過措置が期限を迎え、6月からは許可
がなければ売ることはできない。 違反すれば行政処分や刑事罰の対象になる。
法改正のきっかけは12年に北海道で起きた集団食虫毒だ。 白菜の浅漬けが原因で腸管出血
性大腸菌O157の感染が広がり、8人が亡くなった。 その後も漬物による食中毒が相次
いだ。 厚生労働省は「衛生管理を怠れば死亡リスクがある」と説明する。
6月からは食品衛生管理に関する国際規格「HACCP(ハサップ)」に適合した管理を求める。
営業許可を得るためには▽センサー機能などで指を触
れずに水を出せる蛇口▽住宅と分離した加工場所▽水
洗いを実施して清潔さを保てる床‥‥などを整えなけ
ればならず、小規模事業者は設備投資が必要になる可
能性がある。 保健所に営業許可を申請する際は、今
後どのように衛生管理の記録を残すかを示した計画を
作ることも求められる。
農家の多くは自宅などで生産し、個人で厳しい衛生管理に対応するのは難しいと考える人も少
なくない。
一方、厚労省は「一律に基準を運用すれば、小規模事業者の生産継続への影響が大きい」とし
て改正後、保健j所を所管する自治体に通知を出すなどして、衛生管理の基準を柔軟に運用す
るよう呼びかけてきた。 「加工場所の分離」ができない場所にシートで居住スペースと区
切るなど、保健所が個別の事情を踏まえて許可の対応をするよう促しているという。
新制度の周知は行き届いていない。 埼玉県漬物協同組合の“鶴田理事長”は「法改正の内容や
必要な対応を正しく理解している人が少ない」と話す。 改正法の施行が新型コロナウイル
スの流行と重なり、事業者への説明の機会が乏しかった面もある。
厚労省は個人農家でも衛生管理を実践しやすいよう、チェックリストを付けた手引書を作成。
同省ホームページで公開し、製造工程で想定されるリスクを記録することや施設内を清潔
に保つ意識の大事さについて理解を広げようとしている。
東京農業大食品安全研究センター長の“五十君教授(食品微生物学)”は「塩分濃度が低い漬物が
好まれるようになり、微生物の制御が不十分で食中毒の発生リスクが増した」と指摘する。
生産者ごとに衛生管理のバラつきが大きい現状は是正すべきだとしたうえで「作りての理
解が進むよう国主体で周知を徹底する必要がある」と話している。
田舎のご高齢の方が漬けてくれたもののなかにはビックリするほどおいしいものがある。
何とかこういった地域独特なお漬物が食べられるよう考えて欲しいものだ・・。