The Wine Heat!

オテル・ド・ヤマダ ワインフォーラムの主催者であるDr.ヤマダのワインな日々の記録です。

1996 ヴィルジニー・ド・ヴァランドロー サンテミリオン・グラン・クリュ

2015-04-26 19:34:54 | ワイン
90年代を席巻したジャン・リュック・テュヌバンのワインです。

まずはここで、忘れもしない1995年のプリムールでのオハナシ。
その当時『ヴァランドロー』とかいうサンテミリオンがあるけれど、騙されたと思って買ってみて!と、ある並行輸入業者からの誘いがあった。
で、いくらなの?と聞いてみると、メドック最高値のムートンより高値の18000円とのこと。
どこの馬の骨とも分からないサンテミリオンを最高値で買う馬鹿がどこにいるのか?と返事をしたが、向こうも譲らない。
困った挙句に6本だけお付き合いをした。
それから数年たち、上京の折にとある酒販店をながめたところ、なんとその値段が20万円に跳ね上がっていた。

まあだからといって、中味がどうよ?ということは別問題として、いろんな意味で、当時のワイン界に旋風を起こしたテュヌバンではあったわけだ。

さてそのテュヌバンの当時はセカンド的な位置づけの『ヴィルジニー』である。



このワインは1997年からは独立した一つのキュベとして造られていて、セカンドとしてはこのヴィンテージが最後とのことだ。

1991年がファーストで、娘の名を冠してスタートした。
このヴィンテージは、メルロ70%でフランが30%のセパージュとのことで、97’以降は年によってそのセパージュは変るらしい。

ともかくその革命児のワインの23年の熟成を経たワインにありつくことが出来たわけだ。
しかも、一つ前の『パラッツィ』との比較も楽しかった♪

96’と97’、サンテミリオンとトスカーナの違いはあるけれど、このヴィルジニーはまだまだ凛としていた。
いわゆる、背筋が通っていた!

のっけから、石灰岩質の土っぽいニュアンスがあって、スパイシーに鼻腔を刺激し、ほどなく黒系の果実が立ち上がる。
それはそのヴィンテージのサンテミリオンではなく、実に折り目正しく、清々しい。

味わいもタンニンこそ目が細やかだが、酸味も甘みにも節度があって、むしろメドックを思わせる。
もしこのワインを当時のリリース値段で大人買いして、セラーに隠し持っていたら、これから先の数年は大人飲みで楽しめること請け合い!

他人事ながら、思わずほくそ笑んでしまった!