
(2010.10.2 訪問)
般若坂からR369号を柳生方面へ走ります。田園風景が次第に山間道へとかわり、
両側に山が迫ってきますが気持ちのいい山容で、ほどなく左手に圓成寺名石標が
見えます。
[ 圓成寺 ] えんじょうじ
山号 忍辱山(にんにくせん)
寺号 圓成寺(今は円成寺と表記する例が多いようです。)
宗派 真言宗御室派
本尊 阿弥陀如来坐像 (重文)
圓成寺縁起
平安中期開山命禅上人が十一面観音を祀られたのが始まりで、その後迎接上人が
阿弥陀堂を建て阿弥陀如来を安置。ついで仁和寺の寛遍僧正が東密(真言密教)
の忍辱山流を始められたのが寺歴の始まりと言うようです。そのご山間寺院の悲
哀はこのお寺にもおよび、兵火や明治の悪法廃仏棄釈で寺勢はガタガタ、今の境
内と建物を残すのみになったと云います。
●寺名石標。

●庭園。石標横の参道石段を下りると見事な浄土式苑池庭園が広がっています。


●楼門。入母屋檜皮葺き二層楼門(重文)。浄土から石段で入山する形をとって
いますが通行は出来ません。

●楼門扁額。山号の忍辱山と揮毫されています。

●本堂(阿弥陀堂)。
向拝付き寝殿造り。中央階段左右に舞台が設えられています。(重文)
堂内中央の四本柱に聖衆来迎菩薩が描かれ極彩色が残り内陣須弥壇上御厨子に本
尊阿弥陀如来坐像を祀っています。壇の四隅には四天王像が安置され中央須弥壇
の周囲は回ることが出来ます。

●本尊阿弥陀如来坐像。
少し目を下に向けているので、大いなる瞑想に見え非常に穏やかなお顔です。お
体は漆箔が十二分に残っています。坐高145.4cm半丈六坐像。(重文)

●本堂舞台。

●本堂扁額。

●本堂前に咲く萩。

●多宝塔。
本尊大日如来坐像。どなたもがご存じの仏師運慶渾身の初作と云われています。
漆箔状態は決して良いとは云えませんが、像姿の安定感、お顔の若々しさなど若
き運慶全身全霊の鑿さばきが偲ばれます。しかし本当に二十四~五歳の青年の作
とおもいます?どうでしょう父大仏師康慶さんの関わり具合は…。
塔は平成二年再建。

●護摩堂。

●鐘楼と青もみじ。


●左春日堂と右白山堂。
圓成寺の鎮守社。鎌倉前期の春日造り。(国宝)

●境内から楼門。

●楼門の組み物。

●十三重石塔と宝篋印塔。
境内西隅に今にも崩れそうに建っています。宝篋印塔は比較的新しいもののよう
です。お寺の若い僧に訊ねましたが由緒は判りません。

苑池庭園南畔から中之島を通して楼門を見ると本堂が望めます。見事な一直線は
相当計算された結果でしょう。周辺を包む緑の樹叢もやがて錦秋の時が来れば見
事に変身するのでしょうネ。
それでは萩のお寺、新薬師寺に向かいます。