(2013.02.23訪問)
スーパーマンの力はやはり偉大です。中興の祖と仰がれる良尚法親王がその人、良尚さんは止ん事無き秘所
の出。出生がそうさせたのか歌道、書道、茶道、華道、香道、絵画には並外れた才を持ち、建築学や作庭に
通じ、大書院、小書院など書院建築を、名庭園の誉れ高い今の庭園造園をリードし、その識見、創造力はい
わば総合プロデューサーでありアートクリエーター、江戸初期に置けるただ者ではない人です。ちなみに父
上は桂離宮を創建した桂宮智仁親王、その父にしてこの子あり、稀代の創造者が今に残す数々のアートは、
このお寺の随所に見ることが出来ます。
▼小書院前の亀島。
[ 曼殊院 ]
●寺号 曼殊院 (まんしゅいん)
●宗派 天台宗
●開山 是算国師 (ぜさんこくし)
●創建 天暦年間 (947~957年)
●中興 良尚法親王 (りょうしょうほっしんのう)
●本尊 阿弥陀如来坐像
▲京都市左京区一乗寺竹之内町42 電話/075-781-5010
▲拝観料 600円
▲叡山電鉄 一乗寺駅または修学院駅下車徒歩約20分
市営バス JR京都駅から5番、地下鉄北大路駅から北8番、その他31・35・65番系統、地下鉄国際会館駅よ
り5・31・65番系統で一乗寺清水町下車、東へ徒歩20分
曼殊院門跡縁起 (曼殊院HPより抄出)
延暦年間 (728~806年) 宗祖伝教大師最澄により、鎮護国家の道場として比叡の地に創建されたのが曼殊院
のはじまりである。その後、天暦年間 (947~957年) 是算国師のとき比叡山西塔北渓に移り、「東尾坊」と
号した。また、この国師が菅原家の出生であったことから、北野天満宮が造営されると初代別当職に補され、
以後明治維新まで北野別当職を歴任することになる。寺では是算国師を曼殊院初代としている。
天仁年間 (1108~1110年) 八代忠尋大僧正が寺号を「曼殊院」と改め、北山に別院を建立された。そして明
暦二年 (1656年) に二十九代良尚親王が入寺され、現在の地に堂宇を造営したのが今日の曼殊院である。
▼参道。
▼参道。五本線が格を誇る築地塀と苔。植わっているのは全部楓、凄いことになるそうです。
▼勅使門。この前も凄いことになるそうです。秋には。
▼勅使門、中に見えるのは大玄関。
▼門札。
▼拝観通用門への参道です。
▼「その奥に媚びんよりは、むしろ竃に媚びよ」良尚さん筆の庫裡玄関の扁額「媚竃(びそう)」。
▼いきなりの中庭。
▼大書院 (重文) の一部。
▼「よこしまな心を払い、取り除け」大書院廊下の扁額「塵慮尽 (じんりょじん)」と書かれています。
この字を読める人はどんな人でしょうね。
▼大書院滝の間と奥が十雪の間。間を仕切る卍くずしの欄間。
▼この方がスーパーマン、良尚法親王さん。
▼大書院滝の間からお庭の五葉松。
▼鶴島の五葉松と根元にちょろっと見えるのがキリシタン燈籠。このお庭には五基八燈の燈籠」と称される燈籠
が置かれているそうですが、これがそのうちの一つ。
▼お庭鶴島の樹齢400年といわれる五葉松。太い幹からグッグッと伸びる枝振りを鶴に見立てています。
▼蹲。
▼障子の引手一つにも凝った杉戸の瓢箪引手。
▼蓬莱山を表すお庭。
▼燈籠。五基八燈の一つ、三重塔型燈籠か? 二基以外発見できませんでした。
▼小書院 (重文) 。
▼「閑静亭 (かんじょうてい)」彫られた扁額。この書も良尚さん筆と思いますが、読めませんでした。
▼朱の毛氈が鮮やか、小書院廊下。季節により毛氈の色が変わるそうです。
▼小書院黄昏の間の曼殊院棚。寄せ木の数がハンパじゃないみたい。
▼小書院富士の間と黄昏の間を仕切る菊透かしの欄間。
▼亀島。以前は亀形の松が植わっていたそうです。
▼鉢と受け石は亀、奥石が鶴を表す蹲。いわれれば何となくそんな感じがします。
▼富士に彩雲の釘隠し。
▼菊と短冊の釘隠し。
▼中庭。
▼ここにも感性の一端、オシャレやねェ、障子の引手。
▼谷崎潤一郎寄贈の梵鐘。
▼護摩堂。四方三間、宝形造、桟瓦葺。明暦二年 (1656年) 建立。毎月28日護摩法会。
▼蕾み固し。
▼良尚さん筆の隷書(レプリカ)。
境外弁天池に菅原道真を祀る弁天島があります。
▼弁天池の石橋。
▼弁天堂への参道鳥居。
▼先ほどの石橋を渡ります。
▼弁天堂。
▼天満宮。北野天満宮を勧請したお曼殊院のお宮さんです。
▼御朱印です。
お寺としての印象は個人的にはほとんど感じませんでした。むしろ寺院という名の美術館。お庭をは
じめ境内環境、建物、室内の凝りに凝った設えや調度、良尚さん個人の卓越した能力が、天台五箇室
門跡の一つとしての格式を強烈に高めているようです。永徳や探幽の障壁画などが各部屋を飾ってい
ます、禁写真! 残念、念、念。
お庭に下りることが出来なかったことも 残念、念、念。
▼今日午後3時頃の出町の出会いです。
庭が好きで建物が好きで、これまでその両方ともしっくりくる場所に出会えなかったのですが、こちらの曼殊院は本当に素敵でした。
私が行ったときには屋内の撮影が禁止で記憶意外に見直せず残念でしたが、
こちらのブログでポイントおさえたお写真が沢山あって、
思い出すことができてとても嬉しいです!
他の記事も拝見させていただきます!
禅刹をはじめ天台門跡など、お庭や堂宇が美しい京のお寺は、
花のお寺としても四季を通じて人気の高い所がたくさんありますネ。
ここ曼殊院はなんと云っても錦秋紅葉の綾錦でしょう。
紅葉が織りなす美の感性と、人の多さの閉口性は反比例しますが、
そこは割り切って、まだでしたら一度訪ねてみられてはいかが。
しかし紅葉名刹は京にはイッパイあるので迷いますネ。
最近はお寺の撮影環境がどこも厳しく、ここも肝心なものは撮れませんでした。
このお寺、お庭に下りる事が出来ないのも少々残念です。