土曜日は古寺を歩こう。

寺勢華やかな大寺も、健気に法灯を守り続ける山寺もいにしえ人の執念と心の響きが時空を越え伝わる。その鼓動を見つけに…。

妙感寺、完全無欠の千手観音菩薩、一見の価値。

2016年10月17日 | 滋賀の古寺巡り





(2016.10.15訪問)


迷車大和路号はまたまた近江路を走っています。ナゼ今週も近江路か、それは寺友から湖南市に「完全無欠の千手観音」がいらっし
ゃると云う情報が有り、疑いつつもそれではと云うことで名神栗東で降り湖南市を目指しているのであります。しかし相変わらず迷
車大和路号のアホナビはアホです。湖国には親切な方が多い、今度はJR草津線の三雲駅でタクシーの美人ドライバーに、妙感寺の場
所を尋ねたと思って下さい。なんと丁寧な教え方、さすがタクシードライバー、その後は迷うことなく一発到着です。



            ▼参道口の寺号石標は妙感禅寺、碑も刻字も立派なものです。





[ 妙感寺 ]
●山号 雲照山 (うんしょうざん)
●寺号 妙感寺 (みょうかんじ)
●宗派 臨済宗妙心寺派 (りんざいしゅうみょうしんじは)
●開基 微妙大師 (みみょうだいし)
●創建 伝 建武三年 (1336年)
●本尊 千手観音坐像
▲滋賀県湖南市三雲1758 TEL 0748-72-7640
▲拝観料 境内自由 朱印300円
▲拝観時間 9:00~17:00 12月から3月は9:00から16:30)
▲札所 湖南二十七名刹十番札所 近江西国三十三カ所霊場第三十三番札所
▲JR草津線 「三雲駅」 下車 タクシー 10分 
 JR草津線 「三雲駅」 下車 バス 10分 妙感寺下車徒歩3分
 名神高速 「栗東IC」から約30分



▼駐車場から境内へ、左右に小さいながらもきれいなお庭に囲まれた放生池。





妙感寺縁起 (妙感寺パンフから抄出)
雲照山妙感寺は、南北朝時代、大本山妙心寺第二世微妙大師によって創建。大師は建武中興の元勲萬里小路中納言藤原藤房卿その人
であり、後世、新田義貞、楠木正成とともに建武の三忠臣と讃えられた方です。藤房卿は大徳寺開山の大燈国師に就いて参禅し、建
武元年(1334年)三十九歳で出家。妙心寺開山無相大師(関山慧玄)に就いて修行、正平十五年(1360年)に妙心寺のニ祖となり、
四十二歳の頃、知行地であったこの江州三雲の郷に草庵を結びその後、後醍醐天皇念持仏の千手観音を泰安する持仏堂を建立された
のが妙感寺のはじまりです。大師は八十五歳で遷化、現在の開山塔がその墓所です。




▼十人前はありそうなアライが寄ってきました……、いかんいかん邪念はいかん。







▼石橋を渡ると正面に大きなお堂が。







▼方丈です。桁裄六間、梁間五間、寄せ棟造、銅板葺。
 元は仏堂ではなく、兵火で焼失後再建の際、中興の愚堂国師が後水尾天皇中宮東福門院の御殿を下賜されたそうで、中宮御座の間
 と愚堂国師安居の間があるそうです。













▼きれいに整備が行き届いたお庭から見た方丈。






            ▼中宮東福門院の御殿を表す木札。






▼方丈裏。







▼方丈庭園。まだ造園進行中かナ。







▼左手本堂前の手水鉢。ビックリする水の勢い。







▼境内左手、石段上に本堂らしくない小さな本堂 (観音堂)。桁裄三間、梁間三間、入母屋造、本瓦葺。







▼本堂 (観音堂)。







▼本堂扁額。







▼本堂内陣須弥壇上に噂の本尊千手観音がお坐りです。

                





▼本尊千手観音坐像。像高164cm、檜寄木造、玉眼。法衣は金泥仕上。南北朝。仏師不詳。      
 約700年と云う径時にも関わらず、全身一点の欠けもなく非常にリアル、法衣の金泥など未だ光っています。
 お顔が躯に比べ大きめで若干全体のバランスをくずしていますが、それ以外はお見事、素晴らしい千手さんです。

 





▼胸飾は胸に直接描き、金箔押しで瓔珞を表現。手の混んだ細かい造作でビックリします。







▼非常に厳しいお顔と玉眼はやや下向きで、一身に衆生救済を願っているようです。 


















            ▼右脇手。






            ▼左脇手。


 
            いずれの脇手にも持物が握られていますが、こうアップで撮るとちょっとグロ感が。




▼本堂天蓋。







▼本堂後堂の中央須弥壇上に閻魔さん、左脇には中興愚堂国師が祀られています。



(堂内写真は許可をいただいています)





▼逆光の本堂。きれいなゴーストを狙ったんですが……。






            ▼境内口に建つ開基微妙大師の廟所の石柱。






▼開基微妙大師の廟所。







▼廟所の開山五輪塔。







▼小さな五輪塔や板碑などが集められている一角,大きな南無阿弥陀仏碑が。






            ▼裏山登り口に三段の不老の滝。






▼この木段を上って行くと奥之院、と云っても磨崖仏が有るだけなんですが……、







▼イヤイヤ上ると……、







▼もう少し上ると……、







▼ちょっとばかり粗末な小屋の中に、二人の童子を連れたお地蔵さんの磨崖仏が鎮座。






            ▼御影石の巨岩に彫りだされています。像高173cm、鎌倉後期。
             右手に錫杖左手には宝珠を持ち、船形光背を彫り込み半浮き出しの像で蓮華坐にお立ちです。






            ▼左、謎の童子。






            ▼右、謎の童子。



     平安末の偽経「仏説延命地蔵菩薩経」が説く延命地蔵の脇侍、掌善、掌悪の二童子ではないかと推測されているそうです。




            ▼お地蔵さん上半身アップ。






▼お顔です。惜しいかなお顔だけが摩耗が進んでいるようです。







▼ご朱印です。






ここ妙感寺のご近所には湖南三山も控えており、各お寺は決して大きくないんですが、歴史を紡いできた自負でしょうか仏像をはじ
めとする宝物がさりげなく置かれ、非常にオープン、人情の機微、そこに住む人々の心の豊かさ、強いては湖国の奥深さを近江路を
走っていると強く感じます。湖北、湖東、湖南、そして湖西には魅力的な古刹が数多く点在。これからは湖国の古刹巡りが増えそう
です。

次はもう少し東に走ってみます。 





  ↓ ポチッと押していただければたいへん嬉しいのですが。

神社・お寺巡り ブログランキングへ