土曜日は古寺を歩こう。

寺勢華やかな大寺も、健気に法灯を守り続ける山寺もいにしえ人の執念と心の響きが時空を越え伝わる。その鼓動を見つけに…。

金勝寺、山寺のなかの山寺、素晴らしい山寺です。

2016年10月11日 | 滋賀の古寺巡り





(2016.10.08訪問)


先週に続いて迷車大和路号は迷いながら近江路を走っています。何故迷ったかそれは、相変わらず大和路号のアホナビはアホです。
名刹金勝寺を指示しないのです。
名神栗東で降りてあとは道標が有るだろうが甘かった。県道には金勝寺への道標が皆無、さてどうしよう……、
聞かなけりゃしゃーない、入ったセブンの美人オネーサンの親切なこと、おかげで以後はスイスイでした。



▼道の駅「こんぜの里」前を右に、細いですが舗装された参道山道を進むと、立派な石碑が建ってます。





[ 金勝寺 ]
●山号 金勝山 (こんしょうざん)
●寺号 金勝寺 (こんしょうじ)
●宗派 天台宗 (てんだいしゅう)
●勅願 聖武天皇 (しょうむてんのう)
●開基 良弁僧正 (ろうべんそうじょう)
●創建 天平五年 (733年)
●本尊 釈迦如来坐像(重文)
▲滋賀県栗東市荒張1394 TEL.(山上本坊) 077-558-2996 (里坊) 077-558-0058
▲拝観料 500円 朱印300円
▲拝観時間 9:00~17:00 12月から3月は9:00から16:30)
▲http://www.konsyoji-ritto.com/index.html
▲JR草津線「手原駅」下車 バス 30分 こんぜシャトルバス「金勝寺」下車(季節運行)
 JR琵琶湖線「草津駅」下車 バス 20分 金勝線「中村」下車、タクシー待機場からタクシー20分
 名神高速 栗東インターチェンジから信楽・金勝山方面へ、約25分



             ▼ドンドン進みます、内心ビクビク向こうから車が来たらどうしょう。寺号石柱が左手に。





金勝寺縁起 (金勝寺HPから抄出)
天平五年聖武天皇の勅願により、都の東北鬼門を守る国家鎮護の祈願寺として東大寺初代別当良弁僧正が開基しました。 弘仁六年嵯
峨天皇の勅願で、興福寺伝灯大法師願安により大伽藍が建立され、大菩提寺と称しました。八世紀中頃までに近江二十五別院を総括、
法相宗興福寺の山岳仏教道場でもありました。天長十年仁明天皇より、定額寺に列せられ、その折の勅願の題字が、金光明最勝王経
の金勝陀羅尼品の「金勝」であり金勝山金勝寺と改称しました。寛平九年宇多天皇は、年分度者試度の太政官符を下賜、菅原道真が
勅命により登山しまた。歴代天皇は論旨を下し、源頼朝や足利尊氏など武将は下知状を下し当山を保護しました。





途中、急カーブで曲がれない道でUターン地まで進み方向転換、相当酷い道を過ぎればあともう少々。
きれいな駐車場に入山受付があります。

▼受付を済ますとスグ参道です。







▼大きな杉が覆い深閑とした中、凛とした空気が漂い、両側は苔むす石垣が続き前方に仁王門。見たそのままですネ。







▼仁王門。三間一戸、梁間二間、入母屋造、銅板葺。左右奥の間に金剛力士が控えています。
 昨年末、杮葺の屋根を銅板葺に改装したそうですが、上下一見ミスマッチ、不揃いの美か。







▼仁王門扁額。






動の阿形さんに静の吽形さん、相当酷い状態になっていますが、玉眼だけは後補のようです。鎌倉時代。

▼右奥の間の阿形さん。仁王さんと云えども虫歯に気をつけましょう。













▼左には吽形さんが。













▼斜めに見た仁王門。







▼仁王門から数段先に本堂。







▼神仏の気があたりに漂うような緑に抱かれた山寺の本堂。







▼金勝山のテッペン近くでも、まだ秋の気配はしません。







▼本堂。桁裄三間、梁間四間、寄棟造、銅板葺、一間向拝付き。今日、正面扉は閉じられて両側の戸口からの入堂です。












            ▼堂外からの内陣撮影はやはり無理。






▼本尊釈迦如来坐像(重文)。像高2.2m、檜寄せ木造り、平安後期。
 正面から拝する2mを越えるお像の迫力は並ではありません。嘗てあったでしょう金箔も彩色も今はなく、黒漆のみが体を覆ってい
 ます。ふくよかなお顔に小さな螺髪が規則正しく並び柔らかな衣文のタッチは定朝様と見受けました。



             (本尊写真は金勝寺ポストカードをスキャン)





▼本堂。本尊サイドには開基良弁さんの木像も安置されています。







▼本堂から振り返ると仁王門が、左に二月堂への石段が見えます。







▼二月堂。桁裄三間、梁間四間、銅板葺、入母屋造、一間向拝付きの小さいお堂。
 鬱蒼の陰影の中での堂内ライティングの妙、小さいお堂だからこその渋い演出ですネ、堂内見えるのは本尊軍茶利明王立像。







▼本尊軍茶利明王立像 (重文)。像高3.6m、檜一木造り、一面八臂で二臂を胸前でクロス、後六臂に様々な武器を持っています。
 とにかくデカく圧倒的な迫力とはこのことを云うんでしょうネ。(写真は堂外から撮ってます)







▼二月堂。







▼本堂後ろに御香水館。加持修法のための清水井戸。嘗ては御所に正月祝いの水として献上していたそうです。







▼本堂裏高台にある虚空蔵堂への参道。山寺の参道らしくゾクゾク感イッパイ。







▼境内の一部が見渡せますヨ。手前大きい屋根は本堂です。







▼少しばかりの平地に建っている虚空蔵堂。例により堂内の灯りが漏れいい雰囲気です。







▼虚空蔵堂の正面。桁裄三間、梁間五間、入母屋造、銅板葺、一間向拝付。







▼虚空蔵堂内陣の須弥壇。中央本尊虚空蔵菩薩半跏像。堂内から拝見しても半跏の状態を見ることは出来ません。







            ▼本尊虚空蔵菩薩半跏像 (重文)。像高約2m、一木造、彫眼、平安時代。
             表面彩色は残っていませんが、非常に印象的な目は智慧の虚空蔵菩薩らしく、
             知的なお顔で座しています。



             (虚空蔵菩薩写真は金勝寺ポストカードをスキャン)





▼虚空蔵堂。







▼虚空蔵堂を後ろに見て、本堂の方へ戻る下り参道。







▼こんな森に囲まれた境内は夏場のフィトンは降り放題でしょうネ。







▼山寺の雰囲気。







境内から少々離れたテッペン付近に馬頭観音堂が一堂ひっそりと建てられています。

▼駐車場から馬頭観音堂への参道。







▼馬頭観音堂。方三間、宝形造、銅板葺。セキュリティばっちり、堂内を窺うことは出来ません。






            ▼本尊馬頭観音立像。このお像は新しいもの。平成九年に盗難に遭い平成二十四年像顕、
             開眼供養が挙行されたそう。
             栗東トレセンが金勝山の麓にあります。守り本尊らしいですよ。



             (馬頭観音写真は2013年5月23日付読売新聞滋賀版から借用しました)





▼駐車場からの景観。もう少し左に琵琶湖が望めますが、樹木が邪魔して撮れません。







▼ご朱印です。






山寺コンテストがあれば上位入賞間違いなし、金勝寺はそんな山寺なんです。山上までの舗装された道路は狭いですがクルマでラク
チンにお寺まで行けますが、往時は皆さん相当苦労して参拝されたそうで登山そのものと聞いており、ボクは今歩いて参拝と云われ
たら絶対に行きません。
創建当初は山岳仏教道場で相当数の伽藍が甍を競ったそうですが、今はその名残すらありません。しかし残された今ボク達が目にす
る仏像の価値は半端じゃありません。博物館や美術館に並ぶ仏像とは違う、ましてや周りが鬱蒼の森林、完全に隔離された山中の環
境、そして像容の立派さ、お堂内における臨場感にはその仏が発する気がひしひしと身に迫る思いがします。湖国の山寺に残る仏像
群、仏教文化の中心としてこの金勝寺はそれなりの力を有していたのではないでしょうか。
久々に感動の山寺でした。





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