土曜日は古寺を歩こう。

寺勢華やかな大寺も、健気に法灯を守り続ける山寺もいにしえ人の執念と心の響きが時空を越え伝わる。その鼓動を見つけに…。

比叡山延暦寺横川、角大師の素顔とは。

2015年05月22日 | 滋賀の古寺巡り



(2015.05.16訪問)


幾多の天台名僧が選んだという修行の地横川、西塔から奥比叡ドライブウェイを北へ横川地域へ向かいます。
相変わらず憎たらしいシトシト雨が降ったりやんだり、霧靄がドライブウェイを覆って来たり、消えたり…。
対向車のライトが見えるとホッとしつつ下ること約15分、パッと開けた駐車場が見え横川到着です。参拝の
方々はあまり見当たりません。
         
▼まるで奈落に向かってるような……。

 



[ 比叡山延暦寺 ]
●山号 比叡山(ひえいざん)
●寺号 延暦寺(えんりゃくじ)
●開基 伝教大師最澄(でんきょうだいしさいちょう)
●開創 延暦七年(788年)
●宗派 天台宗総本山(てんだいしゅう)
●本尊 薬師如来立像(秘仏)東塔根本中堂にお祀り
▲入山料 東塔、西塔、横川の三地域共通入山券700円 駐車場無料
▲拝観時間 東塔地区 8:30~16:30 (12月、1月、2月は時間は変わります)
      西塔、横川地区 9:00~16:00 (12月、1月、2月は時間は変わります)
▲滋賀県大津市坂本本町4220 Tel.077-578-0001
▲http://www.hieizan.or.jp/
▲1994年「古都京都の文化財」としてユネスコ世界遺産に登録
▲JR「京都駅」からJR湖西線「比叡山坂本駅」江若バス「ケーブル坂本」坂本ケーブル「延暦寺駅」徒歩8分
 京阪「三条京阪駅」から京阪京津線「浜大津駅」京阪石山坂本線江若バス「ケーブル坂本」坂本ケーブル
 「延暦寺駅」徒歩8分
 京阪「出町柳駅」から叡山電鉄「八瀬駅」八瀬ケーブルロープウェイ「比叡山頂」シャトルバス「延暦寺
 バスセンター」
▲横川地域へは延暦寺バスセンターおよび西塔からのバスを利用できます。


▼拝観受付を済ますとすぐ、横川中堂が見えてきます。





[延暦寺横川縁起] 元三大師堂HPより抄出
比叡山横川は、比叡山のなかでも最も北に位置し、修行の地にふさわしいまさしく深山幽谷の地。慈覚大師
円仁様が日本天台の根本経典である法華経八巻を納められ、比叡山横川の歴史がはじまりました。
天長三年(829年)のことでした。



▼変な空模様でも横川中堂の朱は映えてます。





▼特徴的な懸け造りの下を通り正面へと回ります。





▼横川中堂。横川の中心伽藍。嘉祥元年(848年)三代座主慈覚大師円仁さんが首楞厳院(しゅりょうごんいん)
 として建立。
 桁行九間、梁間七間、入母屋造、銅板葺、鉄筋コンクリート造。昭和四十六年(1971年)再建再興。





         ▼入口正面に黄金の聖観音さんが迎えてくれます。





▼本尊聖観音菩薩立像(重文)。像高170cm、榧材寄せ木造、平安藤原期。
 堂内南向きに内陣の須弥壇が一段下がって設えられて、正面に本尊聖観音菩薩立像がお立ちです。
 本尊は正面から拝観はでき、やや腰を捻り裳の揺れが僅かにあるようで動きの感じは受けますが、お厨子
 前面のガラスの映り込みなどで詳細はわかりませんでした。





▼堂内を一周します。壁面には奉納された観音小像がところ狭しと。





▼横川中堂から東に参道を行くと立派な鐘楼。工事囲いがされてますので、修理に入るのかも知れません。





天台宗中興の祖とされている、第十八代天台座主、慈恵大師良源さんのお堂へ行きましょう。

▼元三大師堂への参道です。





▼霧靄の演出が幽玄の世界を醸して……、元三大師堂の山門。





▼元三大師堂(四季講堂)。承応元年(1652年)て再建。
 叡山堂塔伽藍の整備や教学的隆盛を図り天台宗中興の祖とされている、第十八代天台座主、慈恵大師良源
 (元三大師)さんの住房だそうです。良源さんはおみくじの創始者で、全国元三大師信仰の中心拠点です。
 慈恵大師良源さんは一月三日に遷化されたので「元三大師」と世に称されているんです。





         ▼元三大師と書かれた大師堂扁額。





▼お堂正面、中に見える障子戸内は内陣。
 祈祷、回向、おみくじなど相談者のみが内陣への入堂が出来ます。





▼いろんな奉納額が掲げられています。





         ▼山門の横に建てられている「元三大師と角大師の由来」石碑。



大師は疫病流行の難儀を救済しようと、鏡前で禅定に入ると大師の姿が鬼の姿に変わった。弟子が写し取り
お札にして各戸に配り戸口に貼ると一切の厄難が退散した。それ以来このお札を「角大師」と称し魔除けの
護符として崇められている」ということが書かれている石碑です。



▼その護符がこれです。一枚500円、高いか安いかは結果を見て……。
 帰って「玄関に貼ろか」とうちの奥さんにいうと、「アンタの部屋に貼っとき」と云われました。





         ▼もう一つの石碑。





浄土信仰発祥の地へ行ってみましょう。

▼恵心僧都源信の舊跡。
 座主良源さんに師事した恵心僧都源信さんはここに籠り、仏道修行やかの「往生要集」を著述、浄土教の
 基礎を築いた名僧です。





▼美しい三間四方、宝形造りのお堂です。





北端の杣道を通り、元三大師廟に。

▼かなり荒れ道沿いに大師の御廟が祀られています。これは拝殿(だと思います)。
 ユニークな拝殿、桁行四間、寄せ棟の窓のないお堂、内部は判りませんが、向拝が右寄りに一間が付く変
 なお堂。実は拝殿というのはボクが思うだけで実際は判りません。





▼玉垣に囲まれた御廟です。





▼これが本当に良源さんの墓標なのか、宗祖廟と中興祖の廟、この大きな違いは何なんだろう。





▼横川中堂に対面する小高いところに建つ朱が美しい根本如法塔。穴太積み基壇に建つ多宝塔。
 三代座主慈覚大師円仁さんが自ら書写の法華経を納める宝塔が起源。横川発祥の聖跡でもあるそう。
 大正十四年(1925年)再建。





▼横川中堂でいただいた御朱印です。





比叡山横川の地は東塔、西塔地域と違って叡山に幾多ある谷筋の一所、相当下ったところにあります。円仁
さん良源さんや源信さんなど天台名僧が修行の地として選んだ鬱蒼樹林に囲まれた峻厳な聖地、名僧が籠っ
た修行の地を今ボクたち現代人が歩いても、信仰と祈りの空間イメージは悠久の時を経た現在、往時を偲ぶ
ことは中々出来そうにないように思えます。



▼帰り道まだドライブウェイは靄っています。山中越を京白川通りまで下ると青空でした。







↓ ポチッと押していただければたいへん嬉しいのですが。

神社・お寺巡り ブログランキングへ