(2010.12.18 訪問)
一休寺からドキワクしながら観音寺に向かいます。南に僅かな距離、周囲一面畑
地が広がり、両側に桜並木を従えて一本道がまっすぐお寺につづく何とも長閑な
田舎道と云う感じ、桜と菜の花の春は、相当華やかに彩られることでしょう。参
道とも農道ともつかない小道の先に、本堂と鐘楼が見え隠れしてきます。いよい
よ待望久しい十一面観音の傑作に会うことができる。
ド ♪ キ ♪ ワ ♪ ク、 ド ♪ キ ♪ ワ ♪ ク。
▼本堂遠景。
[ 大御堂 観音寺 ] おおみどう かんのんじ
●山号 息長山(おきながさん)
●寺号 大御堂 観音寺(おおみどう かんのんじ)
●宗派 真言宗智山派
●開基 義淵僧正
●開山 良弁僧正
●一世 実忠和尚
●本尊 十一面観音菩薩立像(国宝)
大御堂 観音寺縁起
白鳳期、天武天皇の勅で義淵さんが開基。その後聖武天皇の勅で良弁さんが伽藍
を整備、良弁さん高弟の実忠さんが一世住職として繁栄の基礎を築いたそう。そ
のころの寺名は「普賢教法寺」といい壮大な大寺だったそうです。実忠さんは東
大寺二月堂のお水取りをはじめた方として有名です。普賢教法寺の名残はこの地
の地名「普賢寺」として残っています。
▼縁起。
▼参道
この道が、ピンクとイエローに染まるころ、さぞやの感でしょうネ。
▼本堂。
この堂内にあのお方がいらっしゃいます。
▼十一面観音菩薩立像(国宝)
木芯乾漆造、漆箔、像高173cm。
早速、ご住職がお厨子の扉を開けて下さいます。拝したとたん△○+♡々▽☆〼…
お顔の漆箔は剥げ落ちていますが、その落ち方がキレイ、黒漆の地が見事に光っ
ています。両目はキリッと開き、やや大きめの白毫がお顔を引き締め、実に柔和
で優しいお顔です。頭上の小面はそれぞれの役割相がはっきりと窺え、頭前面中
央の阿弥陀如来化仏の彫技も丁寧さが光ります。通常観音菩薩は宝冠台を付けて
いますが、このお像は付けておらず、お顔から上、宝髻部分が実にシンプル。条
帛や天衣は流れのリズム感アリアリ、プロポーションはボクなどが何も云うこと
はありません。言葉が出ません。
小川光三さんの写真集「南山城の古寺」から。
国宝の十一面観音菩薩像は全国で七体、このお像と奈良桜井の聖林寺十一面さん
はほとんど時代差がなく8世紀後半、同じ木芯乾漆造、像高209cm。よく比較され
る十一面さんです。時代はいくらか下がりますが平安前期の作に向源寺(渡岸寺
観音堂)の十一面さんがいます。こちらは木造、像高194cm。いずれがアヤメか…
で人気三分、皆さんはどのお方に惚れますか?
▼鐘楼。
▼本堂前に石塔笠がポツンと。
▼鐘楼脇に建てられている石碑。
この地からお水取りの主役、竹を送り込んだとか。
本堂ではご住職から流暢で丁寧な説明を受けました。
ご本尊はやや高い位置に祀られているので見上げないと拝せないことと、後姿が
拝せないのが残念念念。欲ですね。
しかしお賽銭を奮発したことは云うまでもありません。