goo blog サービス終了のお知らせ 

土曜日は古寺を歩こう。

寺勢華やかな大寺も、健気に法灯を守り続ける山寺もいにしえ人の執念と心の響きが時空を越え伝わる。その鼓動を見つけに…。

王龍禅寺から霊山寺を訪ねる。

2010年02月01日 | 奈良の古寺巡り
1月30日(土)、またまた富雄川沿いの県道7号線を走りました。
この日は、16日に訪ねた長弓寺から僅かの距離、富雄川対岸西にある王龍禅寺と
少し南に下ったバラの霊山寺を訪ねました。
この富雄川沿いの地には歴史的に奈良時代に遡る由緒伝承を今に伝え、生駒東麓
矢田丘陵を背後に、山岳修行の寺院や神社が多くその法灯を灯し続けています。

王龍禅寺
海龍山王龍禅寺は黄檗宗の寺として江戸時代に復興したと云います。歴史は古く
聖武天皇の勅願寺院で、往時の寺勢はかなり盛大であったと伝えています。
杵築橋を西へ渡り、目印は飛鳥カンツリー倶楽部の看板、間違えることはありま
せん。このお寺は特異な環境の中に在ります。ゴルフ場のコースにすっぽり包み
込まれ、お寺の周辺のみ自然環境が残され、鬱蒼の樹林が緑のグラデーションを
深々と見せ、恐らく緑が芽吹き盛んになるシーズンには、山内は大樹が多く濃い
緑に覆われてこぼれ陽も通さない幽玄で深閑な森を見せてくれるのでは。この日
は冬枯れでそのイメージはありません。参拝者はご夫婦連れお二人だけでした。

王龍禅寺山門
ゴルフ場の道路に面して駐車場があり、山門は両袖を付けた独特の姿です。




禅寺独特の石柱「不許葷酒入山門」意味は言わずもがなですね。


山門を入ると石畳と石段の参道が続き、こぼれ陽に映えた苔の緑が鮮やかです。






本堂が見えてきました。




本堂です。
ご本尊は金銅仏や木彫仏ではありません。巨石(高さ4.5m、幅5.5m)に刻まれ
た磨崖仏で高さ2.1mの十一面観世音菩薩立像、脇侍に不動明王を従えています。
この日は残念ながら本堂内扉は閉じられ直に拝することは出来ませんでしたが、
格子越しに僅かにお顔をだけを拝しました。本堂前に説明板が添えてあります。




大黒堂。
本堂左手の急な石段を上がると開かれた台地があり、新しい小さいお堂が建って
います。大黒天を祀ると云うだけで由緒は全く判りません。


大黒堂横の羊歯(しだ)群落は見事です。台地左法面にビッシリ群生しています。
一葉1mはあるでしょう。


隠沼という小さな池の真ん中に石造りの蛙がコチラを睨んでいました。


ヤマモモの木
お寺南門右奥に写真では判りにくいですが奈良市指定の樹齢約300年ヤマモモの
巨木があります。門横に説明板が添えてあります。


ゴルフ場という作られた自然に抱かれるように、古の自然が共存している不思議
な環境に王龍禅寺は在り、市にとっても貴重な自然樹林で植生も豊富といいます。
開発の波を敢然と拒否する心意気、樹相鬱蒼の時、もう一度訪ねたいお寺です。
続いて霊山寺へ向かいます。