マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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中山龍王社神主成

2009年06月11日 07時50分29秒 | 奈良市へ
宵宮の龍王祭を終えた一行は八幡神社に戻ってくる。

社務所では座衆が登って会計報告。

その間、龍王社の神主の親族らは、参籠所でパック御膳などを配膳して直会の場作りに忙しい。

中央に座った龍王神主の両脇には八幡神社の神主と座の長老が座る。

席に座ると親族がお酒を注いで回る。

直会はこのようにして酒を注ぎ回るので単なる宴会ではないと座衆はいう。

八幡神社の儀式では式使(しきじ)さんがそれを勤める役目なのだが今日は親族が酒杯役。

それはこの儀式が龍王社の祭礼であるがゆえに式使は座衆とともに直会でよばれることができるのだ。

時も経過すると謡の時間。

「羽衣」や「鞍馬天狗」などが謡われる。

「鶴亀」や「猩々」などがあるが自分の好きな謡を披露する。

「千秋楽」の謡いになれば、式使は神主の前に三段に積まれた朱塗りの酒盃を差し出し酒を注ぐ。

どの大きさの盃を選ぶかは神主が決める。

最初に二献を注ぐ。

盃は手に持ったままだ。

万歳楽、万歳楽と謡も千秋楽。

もう一献注げばぐいと一息で飲み干す。

直会の場の儀式は龍王社の神主と正式に認めたとするもので、無事に宵宮祭典を終えた昇格祝いの「神主成(かんぬしなり)」と称している。

(H21. 4.16 Kiss Digtal N撮影)

中山龍王社の宵宮龍王祭

2009年06月11日 07時01分17秒 | 奈良市へ
拍子木と太鼓を打って街道を練り歩く奈良市中山町の八幡神社の宮座衆。

羽織袴の衣装を着た座衆が打ち鳴らす太鼓の音色は地区に響き渡る。

目指すは西南の方角にある龍王社で、「じょうさん」と呼ばれる山の頂きに鎮座する。

座衆の三番目に当たる龍王社の神主が拝殿前で一行を迎える。

今日は苗代作りなどで忙しくなる前の農休みで春の祭りと称する龍王祭の宵宮日。

水の神さんを祀る社に向かって般若心経を五巻唱える。

渡御と同様に拍子木と太鼓を打って心経を唱和する。

明日は本祭で同じように唱えるが神饌がスルメからタイに替わり、地区の役員らが参列することから下段の広場での祭典となる。

修祓、祝詞奏上も執行されない龍王祭の本質は戦後まもないころが最後になった「雨たもれ、雨たもれ」と太鼓を鳴らした雨乞いだという。

農生業に欠かせない雨は天の恵み。

干ばつが続けば雨を求める雨乞い行事を行っていた。

それでも降らなければ傍の秋篠川(かっては大川と呼んでいた)に神さんを投げ捨てたそうだ。

子どものころにそんな光景を覚えていると72歳の座衆は話す。

(H21. 4.16 Kiss Digtal N撮影)