本、CD、映画日記

目標は年間読書100冊。その記録と目標管理をかねたブログです。

「日本」ってどんな国?

2023-04-02 07:10:03 | Weblog
■本
25 教養(インテリ)悪口本/堀元 見
26 「日本」ってどんな国?/本田 由紀

25 私も毒舌と言われることが多く、悪口に興味があったので読みました。まず、自分で「インテリ」って言うのはちょっと格好悪くないですか?(あえてのネーミングだと思いますが)。普通に「教養悪口」でよいのではと思いました。次に、こちらもあえてなのかもしれませんが、紹介されている悪口の大半が実用的ではないです(「ルンペルシュティルツヒェンじゃないんだから」なんて、そもそも覚えられないですし、噛んでしまいそうですよね)。「訓練された無能力だ!」のようにもっと実用的で切れ味鋭い悪口を教えて欲しかったです。一方、悪口をきっかけに解説される蘊蓄はどれも興味深く、この本の著者の読書量と教養の深さ、そして悪口を自虐にも振り向けるバランスのよさを感じました。「悪口」を入り口に読者の知識の幅を広げる、という試みはとてもユニークで有意義ですので、私も独自に切れ味の鋭い悪口を開発したいと思いました。

26 サブタイトルの「国際比較データで社会が見えてくる 」の通り、さまざまなデータを元に相対的に日本という国の特徴(ヤバさ)を示してくれる本です。「家族」「ジェンダー」「学校」「友だち」「経済・仕事」「政治・社会運動」をテーマに解説されていて、日本の様々な問題点が解像度高く理解できます。日本の「ジェンダーギャップ」、「経済力の低下」や「投票率の低さ」は、ニュースでも取り上げられることが多いですが、「『家族以外の人』と交流のない人の割合」の高さや、「人は信頼できるか」という問いに対して「信頼できる」と回答した割合の低さ、についてはあまり知らなかったので、危機感を持ちました。最終章にまとめられている、日本の高度成長期を支えた「戦後日本型循環モデル」(政府は経済政策にのみ重点を置き、男性の正社員がその恩恵を受けて家庭に賃金を持ち込み、家庭を支える女性が熱心にこどもを教育し、その教育によって成長したこどもたちが新たな労働力として供給される、というループが上手く回っていたモデル)が、経済の停滞により破綻している、という指摘も説得力がありました。筆者の本田さんの、日本を含む世界をよくするための運動が、どんなに果てしなく、難しくとも、「あきらめたらすべては終わり」というメッセージも、若年層向けだと思いつつも、おじさんである私の心にも響きました。その一方で、このような日本のネガティブな面だけを指摘する内容だと、「ニッポンスゴイ!」と自画自賛する人たちには届かず、分断を煽るだけでは、という危機感も感じました。「治安の良さ」や「平均寿命の長さ」(これらの指標も現場の方々の涙ぐましい努力と負担により成り立っているのだとは思いますが)など、日本のポジティブな面も含む、等身大の姿を提示しつつ、異なる見解を持つ人たちとの合意を探っていく試みも、困難ではあると思いますが、「あきらめてはならない」のだとも感じました。


■映画
21 起終点駅 ターミナル/監督 篠原 哲雄

 佐藤浩市さんが影のある中年弁護士を演じるヒューマン・ドラマです。内容も古き良き日本映画を踏襲していて(この作品は2015年と比較的新しい作品ですが)、抑制の効いた演出で、人生の機微がしみじみと描かれていて好ましいです。ただ、テレビの2時間ドラマだと評価できるのですが、お金を払って映画館に観に行くか、と言われると、そこまでの引っ掛かりはありませんでした。主人公の低位安定の生活に変化を与える、ホステス役の本田翼さんは、明るい表情のときはとてもチャーミングなのですが、暗い表情になると、とたんに演技の拙さが気になってしまいます。ストーリーの方も、主人公の愛人の自殺理由がわかるようでわからず、もやもやとした印象が残りました。映像は素晴らしく、舞台の釧路市の美しい風景が印象的です。鉄道好きの私としては、釧路駅やその駅を基点に走る列車が効果的に用いられていて、楽しめました。特徴を際立たせるために、タイトルに合わせて、駅を舞台にした映像がもっとあってもよかったかもしれません。
コメント
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