本、CD、映画日記

目標は年間読書100冊。その記録と目標管理をかねたブログです。

ビジョンとともに働くということ

2022-07-23 07:12:18 | Weblog
■本
58 プーチンの野望/佐藤 優
59 ビジョンとともに働くということ/山口 周、 中川 淳

58 ロシアの専門家である佐藤優さんが、ウクライナ問題をどう考えられているのかを知りたくて読みました。表紙に書かれているように「残虐なロシア」、「悲劇のウクライナ」という単純な二元論では表せない、この問題の歴史的経緯を知ることができて参考になりました。これも表紙に書かれていて、佐藤さんもよく強調されている、相容れない価値観を持つ相手でも、その「内在論理」を理解することが、状況分析や問題解決に役立つスタンスであることも学べます。プーチンがウクライナの一部勢力を「ネオナチ」と決めつけている点にも、一定の歴史的整合性があることも理解できました。ただ、プーチンの「内在論理」が理解できても、それを容認することとは別です。ですので、その解決法について、佐藤さんの具体的なお考えをもう少しお聞きしたかったという不満も残りました。佐藤さんが今後ロシア関係で飯を食っていくために、ロシアの情報通との関係を悪化させたくないのか、若干ロシア寄りの分析が多い印象なのと、この本の出版元の潮出版社と関係が深い創価学会に対する忖度がひどいので(ウクライナ問題の解決に創価学会の教えが有効、という結論にはかなりがっかりしました)、それこそ佐藤さんの「内在論理」を理解した上で読むべき本だと思います。

59 大好きな山口周さんの本を久しぶりに。本作は、工芸品販売をチェーン展開されている、中川政七商店代表取締役会長の中川淳さんとの対談本です。山口さんが、同社の社外取締役をやられているという点は割り引かないといけないですが、タイトル通り、同社が「日本の工芸を元気にする!」というビジョンに基づき、素晴らしい経営をされていることがよくわかります。マーケティングから哲学まで、山口さんの知識の引き出しの多さも堪能できます。個人的には「ビジョンとミッションとパーパスの違いを一生懸命に理解しようとしている人もいるでしょうけど、そんなものは本質的な問題ではないので気にしないほうがいいですよ」とういう発言が、ビジョンを元に経営されている中川さんから出たということに共感しました。たまにこれらの言葉の差異を得意げに説明しマウントを取りにくる、自称マーケターの人がいらっしゃいますが、そういう「飛び道具トラップ」に陥らないようにしたいと思いました。結局は山口さんがこの本で述べられている「お金を儲ける以外にも、人々の共感を引き出せるような崇高な目的や理念」に基づき、行動できるような個人や組織がこれからの社会に求められているのだと思いました。


■映画
42 アラベスク/監督 スタンリー・ドーネン

 グレゴリー・ペックとソフィア・ローレン主演による、「シャレード 」のスタンリー・ドーネン監督のサスペンス映画です。一言で言えばいろいろと空回りした残念な作品です。謎解き要素はチープで、監督のセンスが見せつけられるトリッキーな映像は滑りまくっています。何より、脚本とメインキャストが合っていません。メインキャラクターが、衝動的に行動する軽い人間である一方で、グレゴリー・ペックやソフィア・ローレンの演技はかなり重厚です。「シャレード 」のオードリー・ヘプバーンのように、まだ、初々しいイメージが残っている俳優が演じていれば、もう少し違った印象になっていたのかもしれません。1966年公開作品なので、時代背景が異なることの違和感が影響している面も否定できませんが、主演二人の熱演が作品のクオリティに繋がっていない印象が強いです。
コメント
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