本、CD、映画日記

目標は年間読書100冊。その記録と目標管理をかねたブログです。

クワイエット・プレイス

2019-11-23 07:33:27 | Weblog
■本
108 しないことリスト/pha
109 マインド・コントロール 増補改訂版/岡田 尊司
110 催眠術の教科書/林 貞年

108 思春期の息子たちに、固定観念に囚われない生き方もあるということを知って欲しくて、買いました。他の作品を読んだ時にも感じましたが、筆者の地頭の良さと、意欲や体力がないという発言とは裏腹の行動力が印象的に残りました。世間の空気に流されずに、自分にとって何が快適で大切かを考え抜き、少しでも行動に移していくことでしか、閉塞感のある状況からは脱することができないことに、改めて気づかされます。口当たりは優しい内容ですが、実は厳しい現実と向き合い、ある種の決断を迫ってくる本でもあります。

109 人の心の不思議さについて最近興味があるので読みました。「マインド・コントロール」という言葉からよく連想される、テロリストや新興宗教の問題だけでなく、戦争や諜報機関でどのように研究され、実際に活用されてきたかの事例も豊富でとても興味深い内容でした。マインド・コントロールをかける方法や逆にそこから脱するテクニックまで細かく説明されていて、脳科学や行動心理学を背景にした、非常に奥行きの深い技術であることが理解できました。また、マインド・コントロールとそこからの救出カウンセリングに対する社会の評価の変化からは(洗脳者を拉致などの強制的方法により脱洗脳する行為への非難がアメリカでは高まっているそうです)、「自己責任」についての考え方の変化も垣間見れます。脳は刺激の極端な不足や過剰さに極めて脆い、操作されやすい基幹であるというはもっと知られるべき知識だと思います。

110 「マインド・コントロール」の流れで、その一技法とも取れる「催眠術」についても興味があったので読みました。「人の心は95%あやつれる」という極めてうさんくさい帯に対して、内容は意外と抑制的です。被験者と催眠者との間での信頼関係が再三強調されるなど、「マインド・コントロール」よりも、むしろ「カウンセリング」に近いという印象を持ちました。とはいえ、被験者の無意識にある「ありたい姿」を引き出すというよりも、暗示により被験者の無意識に「ありたい姿」を刷り込む手法なので、やはり催眠者側には一定のモラルが必要なのだと思います。催眠術のかけ方についての具体的な方法についても非常に細かく説明されていますが、正直私がこの通りできる気は全くしませんでした。極めてグレーな手法だと思いますが、カウンセリングを行う上では知っておいてもよい知識だと感じました。


■CD
27 So kakkoii 宇宙/小沢 健二

 小沢健二さんの13年ぶりの新作です。フリッパーズ・ギター時代から、ソロに至るまで、新作を出すごとに新機軸を提示してきた、小沢健二さんですが、本作は代表作「LIFE」の延長線上にある、イノセンスと幸福感に溢れた作品です。古くからのファンの期待に応えるには十分なクオリティですが、ひねくれた私としては、もう少しサプライズ的な要素も欲しかったと思います。「ヘッド博士の世界塔」でサンプリングを、「球体の奏でる音楽」でジャズを取り込んだように、新たな要素を貪欲に吸収した野心的な新作も、近々に聴いてみたいです。

 
■映画
108 太陽の季節/監督 古川 卓巳
109 ターミネーター:新起動/ジェニシス/監督 アラン・テイラー
110 クワイエット・プレイス/監督 ジョン・クラシンスキー

108 石原慎太郎さんのデビュー小説の映画化作品です。そういえば、原作も映画も触れたことがなかったので観ました。21世紀の今となっては、ありふれた話ですが、戦後10年でこの小説が発表されて、その翌年に映画化されたということを考えると、その挑発的な姿勢とその先見性は、石原慎太郎という人物の好き嫌いは別として、感嘆せざるを得ません。逗子の富裕層が、この当時でもかなり裕福な生活をしていたことが描かれている点も興味深かったです。日本版「グレート・ギャツビー」というとほめ過ぎな気もしますが、以降のいろいろな小説やドラマへの影響が垣間見られます。倫理観を徹底して排除した姿勢は、現代よりもはるかに自由を感じさえします。

109 「ターミネーター」シリーズの続編です(4までナンバリングされていたので、たぶん5作目)。世界観がしっかりとした作品ですし、アーノルド・シュワルツェネッガーもキャラクターを習熟し尽しているので、アクションシーンはもちろんのこと、キャラクターを逆手に取ったコミカルなシーンも楽しく、それなりに楽しめます。ただ、回を重ねたシリーズものの宿命として、過去作品でやっていない設定を見つけないといけないため、どうしても展開が複雑かつトリッキーなものとなってしまいます。ネタバレにになるので書きませんが、本作では、主要人物の設定をここまで変えると問題では、という箇所と、タイムパラドックスのわかりにくさで、なかなか作品世界に入り込めませんでした。せっかく、ナンバリングを外した別シリーズ化を意図しているのであれば、過去作品で登場していない人物を新たな主人公として、再出発してもよかったのかもしれません。

110 一方、こちらは、物音を立てると異星人に殺される、というシンプルな設定で最後まで押し通した傑作です。人類の英知を結集すればもう少し対策を立てられたのでは、とか、このタイミングでこの行動を取る?などの細かなツッコミどころは多いものの、音が過剰に少ない世界で、その希少な音により恐怖心を掻き立てる手法が本当に見事です。個人的にはホラー映画は苦手なものの、先週観た「IT」と同様に、ヒューマンドラマとしてもとてもよくできているので抵抗感はなかったです。細かい説明やセリフは省き、一家族とエイリアンとの戦いに絞って90分で一気にエンディングに至る潔さも含め、引き算の美学が貫かれた作品です。1アイデアを研ぎ澄ます方法論として、いろいろと参考にできそうです。
コメント
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