本、CD、映画日記

目標は年間読書100冊。その記録と目標管理をかねたブログです。

羊と鋼の森

2018-09-22 06:45:26 | Weblog
■本
76 外資系コンサルの知的生産術/山口 周
77 羊と鋼の森/宮下 奈都

76 ビジネスに必要な知的インプットとその処理(プロセッシング)、そしてどのようにアウトプットしていくかについてのノウハウや心構えについて、コンパクトにまとまったとても良い本です。話題になった「世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?」の作者による本だけあって(書かれたのはこの本の方が先なようですが)、ロジカルさと感覚的な面(山口さんは「論理」・「倫理」・「情理」とおっしゃっています)のバランスへの配慮がとても巧みだと思います。山口さんが広告代理店からコンサルファームに転職されたというキャリアをお持ちなためかもしれませんが、いろんな業種や立場の人に参考になる知恵が偏りなく詰まっていると思います。紹介される99個ある心得一つ一つの分量も適切で読みやすいのでお勧めです。

77 評判に違わない素晴らしい職業小説だと思います。76で紹介した本とこの本とで、新社会人に必要な心構えはほぼ網羅できているのではないでしょうか?自分が好きだと思える仕事に出会えた奇跡と、その好きな道に才能があってもなくてもやり続けるという、静かでかつ強い意志の貴さが学べます。調律師という一般の人に取ってなじみの少ない職種を、ここまで魅力的に描ける作者の力量が見事です。主人公の同僚もみな個性的で、仕事に取組む姿勢は人それぞれで一つの正解があるわけではない、というニュートラルな描かれ方にも共感します。ピアノ好きの双子の女子高校生と主人公の若手調律師との、その技術や姿勢を認め合うことによる心の交流の描き方も見事で、恋愛感情が妙に安っぽくさえ感じます。迷いながらも精進していけば、いつか自分の進むべき道が見つかるという勇気が湧いてくる本です。


■CD
14 Collapse EP/APHEX TWIN

 テクノ系の作品はあまり聴かないのですが、APHEX TWINの作品は大好きです。スリリングでトリッキーな展開を見せつつも不思議と聴きやすく、基本はダウナーな印象ですが時折挑発的に牙をむいてくる、二律背反的な作品です。この「静かな狂気」が癖になります。それでいて、聴き手を置き去りにしない包容力があるところも魅力なのだと思います。


■映画 
71 君の膵臓をたべたい/監督 月川 翔
72 ちびまる子ちゃん イタリアから来た少年/監督 高木 淳

71 先週読んだ原作小説に続き、実写映画化作品も観ました。メインキャストを演じた二人の若い俳優さんは、原作とは若干イメージが違うものの(特に男性の方は陰のある美男子というよりも、もう少し複雑な人格のイメージでした)、みずみずしい演技をされていたと思います。もともと登場人物の少ない作品なので、この二人の若手俳優だけで集客が見込めるか不安だという大人の事情もあったのかもしれませんが、正直言って、別キャストによる大人になってからのエピソードは不要だと思いました。時系列の移動により流れがかなり悪くなりましたし、大人になってからのエピソードはあまりにもリアリティがなさ過ぎます。原作をそのまま映画化しろと言うつもりは全くないですが、学生時代のエピソードを新たに付け加えるなど、メインキャスト二人の交流をもう少し丁寧に描いて欲しかったです。アニメ映画化作品の方はどんな感じなのでしょうか?

72 さくらももこさんの死去に驚いて、原作漫画は読んでいたものの、アニメ映画化作品の方はまだだったので観ました。花輪君のスケールの大きすぎる金持ちぶりは本作でも全開ですし、丸尾君に対するなぜか理不尽に不当な扱いも懐かしかったです。外国から訪れた新しい友人もみな個性的で、さくらももこさんのキャラクター造形力の巧みさに、あらためて感心しました。ストーリーのメインとなる、イタリア人少年のおじいさんのエピソードも、長編作品にありがちなくどさがなく、抒情性とギャグのバランスの取れた、子どもから大人まで楽しめる作品になっていると思います。
コメント
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