本、CD、映画日記

目標は年間読書100冊。その記録と目標管理をかねたブログです。

Port of Morrow

2012-05-12 09:44:04 | Weblog
■本
44 次世代コミュニケーションプランニング/高広 伯彦
45 最後の命/中村 文則
46 世迷いごと/マツコ・デラックス
47 功利主義者の読書術/佐藤 優

44 Facebookなどで「意外とよかった」という評判が多かったので読みました。本当に想像以上に面白かったです(笑)。社会学部出身の端くれとしては、マクルーハンなどメディア論的要素から論じられているところが、まず個人的にツボでした。とはいえ、アカデミックな方向に偏っているわけでもなく、媒体社の「おしながき」にはない、コミュニケーション要素に最適なメディアを発見する視点やスキルが重要と言う話など、実用性とのバランスも絶妙です。昔、先輩から「おしながき」を作るように言われて、強烈な違和感を感じた理由もなんとなくわかった気がします。冒頭の「オーダー」(発注側の方針が明確な案件)と「オファー」(発注側の方針が決まっておらずその整理も含めての解決が必要な案件)の見極めが重要であるという話など、現場での経験に裏打ちされた内容も多く参考になります。「クチコミ」、「コンテクスト」についての話もわかりやすく、先週読んだ「リッスン・ファースト!」という本よりも遥かに行動につながる本だと思います。

45 引き続き、中村文則さんの本を読破中です。「何もかも憂鬱な夜に」や「土の中の子供」といった中村さんの他の作品と比べると若干、冗長な気がしますが、本作もトラウマを抱えた生きにくさ前回の登場人物を通じて、「命」や「倫理」、「性」といったテーマに対して真っ向から取り組まれています。ストーリーとしては、ご都合主義的な「偶然」が多すぎて、ちょっと興ざめするところもありますが(巻末の解説によるとこの「偶然」も筆者のねらいである可能性があるそうですが、私にはそこまで深読みできませんでした)、サスペンス的な要素をからめつつ読ませる力量はさすがです。

46 マツコ・デラックスさんいよる女性タレントを題材にしたエッセイ。毒舌でありながら、対象に対する愛情や敬意が透けて見えるところが巧みです。論じる視点が独特で読み物としても面白いです。自己プロデュース能力が非常に高い方だと思いました。

47 佐藤優さんによる読書ガイド。タイトル通り、読書からいかに生きる上での智恵を獲得するか、という視点で書かれています。マルクス、ハーバーマスといったいかにもなチョイスから、「うずまき」、「レッド」といった漫画や綿谷りささんの小説といったちょっと意外なものまで、独特の読み解き方を紹介してくれます。佐藤さんの本を読んでいつも思うのですが、難解で膨大な本なのに、とても読みやすいところが驚きです。教養の力を感じることのできる本です。



■CD
31 Mali Music/Damon Albarn
32 Port of Morrow/The Shins
33 星空のドライヴEP/サニーデイ・サービス
34 Little Broken Hearts/Norah Jones
35 Blunderbuss/Jack White

31 引き続き、デーモン・アルバーンによるワールド・ミュージックを素材にしたプロジェクトの作品を聴いています。本作はアフリカ西部のマリ共和国のアーチストと共演した作品です。現地のヴォーカリストをフィーチャーした曲もよいですが、やはり、デーモン・アルバーンのヴォーカル曲が魅力的です。もっと、癖があるかと思いましたが、意外とさらっと心地よく聴けるポップ・ミュージックとなっています。

32 最近聴いた中で、もっとも気に入っている作品です。派手さや奇抜さはないものの、しみじみとしたセンスの良い楽曲のよさが際立ちます。ポップなのに深みがあり、ユニークだけどとっつきやすい、不思議な感覚に囚われます。親しみ深いサウンドでありながら、これまでに聴いたことのない強い個性が溢れ出ていて、いくらでも聴いていられる安心感のある傑作です。

33 サニーデイ・サービスのメジャーデビューミニアルバム。この作品に収録されていた「アニヴァーサリー・オブ・ラヴ」という曲がラジオから流れてきて、気になったの購入しました。恥ずかしくなるほどの青さが残る、渋谷系っぽい、ポップでエレクトリカルなおしゃれな作品です。この作品の延長線上に展開していたら、おそらく、サニーデイ・サービスというバンドはあっさりと消えていたような気がしますが、ここを開始点とした後々の飛躍の凄さを確認するという意味でも、聴いてよかったです。まあ、この作品はこの作品で、楽しいよい作品だとは思いますが。

34 多用なサウンドで面白い作品だとは思うのですが、ノラ・ジョーンズが期待されている音楽か、と言うとちょっと違うような気がします。もっと、シンプルで声を聴かせる構成の方がよかったような。デンジャー・マウスらによるアイデア満載のプロデュースもちょっとごちゃっとした印象が残ります。ただ、5作目ともなると同じことばかりやっていても仕方がないので、こういったチャレンジは必然だとも思います。

35 シンプルで短い楽曲が、たたみかける様に続く構成で、聴いていて心地よいです。ジャック・ホワイトのやりたいことをやりたいように作った印象で、極めてソロっぽい作品です。ホワイト・ストライプスの「エレファント」を聴いたときほどの衝撃はないですが、逆に言えば、ジャック・ホワイトというブランドがしっかり確立している証拠だと思います。


■映画
31 ノウイング/監督 アレックス・プロヤス
32 毎日かあさん/監督/小林聖太郎

31 正直残念な作品だと思います。少女が書いた大規模災害を予言した数値の羅列を解き明かしていく前半はそれなりに面白かったのですが、その予言が当たってパニックとなっていく後半はストーリーとして無茶苦茶です。地球規模の災害がテーマなのに、北米大陸の災害に偏っている気がしますし。何より、滅亡するなら予言の意味もないと思うのですが。M・ナイト・シャマラン監督的なスケールの大きな謎解きを目指したんだと思うのですが、シャマラン監督の失敗作以上に話として破綻していて、滑っています。宇宙人もあれだけ力があるなら地球人を救えよ、と思いました。ラース・フォン・トリアー監督の「メランコリア」ともよく似たテーマの作品ではありますが、この映画を観て、「メランコリア」の完成度の高さがよくわかりました。あと、やっぱりニコラス・ケイジに知的な役は似合いません。

32 原作が素晴らしいので、どう撮っても悪くなりようがないですし、子役も含めた俳優陣も手堅い演技で安心感のある作品です。ただ、ちょっとエピソードを詰め込みすぎで、また、泣かせようとしすぎかな、と思いました。西原理恵子さんの原作にある叙情と毒の絶妙なバランスが少し崩れて、叙情の方に寄りすぎているとも思いました。もっとも、映画として万人に受け容れられるには、このバランスでよいのかもしれませんが。


コメント
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