本、CD、映画日記

目標は年間読書100冊。その記録と目標管理をかねたブログです。

移動動物園

2011-05-16 05:39:45 | Weblog
■本
38 移動動物園/佐藤 泰志
39 なぜ宇宙人は地球に来ない?/松尾 貴史、 しりあがり 寿

38 「海炭市叙景」が良かった佐藤泰志さんの作品が、文庫本で何冊か再発されたので読んでいます。デビュー作の「移動動物園」から発表順に中編が3つ収録されていますが、後の作品になるほど人間関係が重層的になり、完成度が上がっています。どの作品もルーティーンワークの閉塞感と尊さが描かれている気がします。仕事は嫌だけど、その枠組みの中でしか得られない何かがあると考えさせられる作品群です。

39 宇宙人や霊的存在など超常現象から数珠や戒名といった生活に密着している宗教的素材まで、ロジカルにかつユーモラスに、その矛盾点を指摘している本です。筆者のそういったものを信じたがる人間に対する理解と、そういった人々を食い物にする霊感商法などに対する怒りが伝わってくるので、嫌味ではありません。松尾さんほど、割り切って判断できる人は少ないと思いますが、騙されないためにはある程度の合理的な知識が必要なことがよくわかります。しりあがり寿さんのイラストも適度に毒が効いていておもしろいです。いい本ですが、少し長すぎます。終盤はネタ切れなのか、ほぼ同じことの繰り返しです。もっとも、これらの超常現象のネタを調べると、ほとんど似たような構成になるので、しかたがない面もありますが。


■CD
34 Station to Station/David Bowie

 評価が高いころの、David Bowieの作品。個人的に声が好きではないのと、僕が洋楽を聴き始めた80年代半ばごろには既に俗物っぽいイメージのアーチストだったので、文句なしの大傑作「ジギー・スターダスト」以外は聴くことがほとんどないのですが、学生のときに先輩がこの作品を絶賛していたのをふと思い出し、購入しました。コンパクトにまとまった、今聴いてもチャレンジングな作風で、聴くたびに発見があります。「ジギー・スターダスト」ほどのスケール感はないですが、ピンクフロイド的に、長い曲と短い曲の組み合わせが練られていて、構成のセンスの良さが感じられます。


■映画
24 ザ・ビーチ/監督 ダニー・ボイル

 公開当初から評判があまりよくなかったので、長い間避けていましたが、大好きなダニー・ボイル監督作品ということと絶頂期のレオナルド・ディカプリオ主演作ということで、実はそんなにひどくないのでは、と思い観ましたが、やはり面白くありませんでした。集団の狂気を丁寧に描いてじわじわとその怖さを提示すべき作品なのに、現地の武装農民など、はっきりとわかる脅威をハリウッド大作的なド派手で大味な描き方をしたのが失敗の主要因だと思います。映画で使われている音楽は素晴らしいです。
コメント
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