goo blog サービス終了のお知らせ 

みどりの一期一会

当事者の経験と情報を伝えあい、あらたなコミュニケーションツールとしての可能性を模索したい。

スーパームーンの前夜、十四日月(じゅうよっかづき)の月/ワカサギのからあげ。広島牡蠣のバター焼きと木綿豆腐の田楽。

2016-11-14 20:48:56 | 花/美しいもの
スーパームーンのきょう11月14日は雨の予報だったので、
昨日、庭に出てお月さまを写しました。

スーパームーンは「月が一年で最も地球に近づくときの満月」で、
きょうの月は、「68年ぶりの特大の満月」で「ウルトラスーパームーン」。

前日となる昨日の月は、月齢でいうと「13」。
満月前夜のため、待宵の月(まつよいのつき)と言います。
小望月(こもちづき)・十四日月(じゅうよっかづき)ともよぶそうです。。

とても大きくて明るすぎて、露出がうまく合わせられなくて、
ボケボケになってしまいました。

応援クリック人気ブログランキングへ してね 

こめ油のビンの封を切ったので、久しぶりの揚げ物です。

4時間の講師を依頼されている講座の資料づくりで
神経もつかったので、気分転換も兼ねてのお料理。

まずは、ワカサギのからあげ。
ワカサギを買ってきたときに、片栗粉をつけて冷凍しておきました。

凍ったままのワカサギを、
 そのまま油にいれて揚げます。  

カラっと浮いてきたらできあがり。  
しっぽを下にして油きり。



少し残った油で、お刺身にしたボタンエビの殻のからあげも作りました。
  

翌日の夕食は、広島牡蠣のバター焼きと木綿豆腐の田楽。
  

最後まで読んでくださってありがとう
クリック してね
 

 記事は毎日アップしています。
明日もまた見に来てね
  






コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

11月13日(日)のつぶやき

2016-11-14 01:09:12 | 花/美しいもの
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

心温まるホットワイン 果汁でアレンジ/甘くて皮がつるっとむける栗「ぽろたん」

2016-11-13 20:47:40 | ほん/新聞/ニュース
一か月ほど前に収穫して、冷蔵庫に氷温保存しておいた
「ぽろたん」を食べることにしました。

 ぽろたん/ポロタン<栗の品種(旬の食材百科) 
■ぽろたんとは?
●電子レンジ調理で渋皮がつるっと剥ける画期的な栗
栗の品種 ぽろたん/ポロタン
ぽろたんは1991(平成3)年に茨城県つくば市の農林水産省果樹試験場(現独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構)において、「209-5」(「森早生」×「改良豊玉」×「国見」)に「丹沢」を交配し、その実生の中から選抜・育成された和栗の一種で、渋皮がつるっと綺麗に剥けるという画期的な特徴を持った品種として2006(平成18)年に命名、登録申請、翌2007(平成19)年10月に品種登録されました。・・・・・・(以下略)・・・・・・・・


まずは切り目を入れて、電子レンジで加温。

皮はきれいに剥けましたが、加熱時間が長かったのか、
少し実が堅くなりました。

アルミホイルにくるんで焼き栗も作りましょう。
切れ目を入れるのを忘れたので、はぜました。

ホクホクと甘くておいしいです。

あとはぜーんぶ、蒸し栗にしました。

わたし的には、定番の蒸し栗がいちばん好きですね。
切れ目を入れなかったのですが、鬼皮も渋皮も面白いようにきれいに剥けます。

今年の栗はこれでおしまい。
蒸し栗の残りは冷蔵庫に入れて、少しずつ食べます。
来年はもっとたくさんとれますように!

応援クリック人気ブログランキングへ してね 

中日新聞の生活面に、ホットワインことが載っていたので、
久しぶりに、夕食でホットワインをつくって飲みました。

赤ワインにと自家製ハチミツ、レモン汁を入れて、
レンジで沸騰しない程度に温めました。
スパイスとフルーツを入れるのが基本だそうですが、
夜に飲むので、刺激のあるスパイスは入れませんでした。。

飲むと、からだがポカポカあたたかくなりました。
一口味見したつれあいは「養命酒みたい」と。

わたし、市販のホットワインも養命酒もきらいじゃないです(笑)。

  心温まるホットワイン 果汁でアレンジ
2016年11月11日 中日新聞

 寒さが身に染みるこの季節、体が温まるホットワインはいかが-。欧州では家庭でも一般的な飲み方で、アルコールを飛ばせばお酒が苦手な人も飲みやすい。ワインの新酒、ボージョレ・ヌーボーが十七日に解禁されるのを前に、専門家に作り方を聞いた。

 「ホットワインは体が温まるので、冬のイベントでもよく飲まれます」。名古屋市東区のワインバー「サミュゼ・アン・トゥラヴァイヨン」を経営するソムリエの島幸子さん(56)はそう話す。

 島さんによると、ホットワインは温めたワインにオレンジなど果物の果汁、香辛料、はちみつなどを加えた飲み物。欧州では家庭で飲むだけでなく、スキー場やクリスマスイベントの会場などで販売されており、寒い季節の定番として広く親しまれている。

 作り方は店によってさまざま。沸騰させずにアルコールを残したり、アルコールに弱い人にも楽しんでもらうため、強火で沸騰させてワインに火をつけ、アルコールを飛ばしたりする場合もある。同店シェフの大城マチ子さん(58)は「どれだけ飛ばすかはお好みで」と話す。アルコールを気にしないなら、香辛料などを入れたワインをレンジで温めるだけでもいい。

 香辛料はシナモンや黒こしょう、クローブ、ローリエなど。加える果汁はオレンジやレモンなどかんきつ系の果物が一般的だが、リンゴやイチゴを使ったり、甘みを加えるのにはちみつの代わりに砂糖を使ったり。大城さんは「シナモンが苦手なら入れなくてもいい。正解、不正解はないのでいろいろアレンジして」と話す。

 ワインは白ワインを使うこともあるが、香辛料を入れるので、赤の渋みが強いタイプが合う。赤ワインは開けてから日がたつと酸味が増すが、オレンジやはちみつなどで味を調えるので、飲み残しでもおいしく味わえる。島さんは「ボージョレ・ヌーボーも全部飲めなかったら、一週間後ぐらいにホットワインにしてみては」と勧める。

 ビタミンやミネラルが豊富で、ヨーロッパでは昔から薬としても飲まれていたというワイン。香辛料や果汁を加えて温めたホットワインは、発汗作用やリラックス効果も期待でき、海外では卵酒のように風邪の引き始めに飲む人も多い。

 寝る前に香りを楽しみながら飲むとぐっすり眠れそうだが、屋外で白い息を吐きながら温かいホットワインを味わうのも楽しい。ただし、沸騰させてもアルコールはゼロにならないので、飲んだ後は車の運転を控えた方が良い。
 (寺西雅広)

◆レシピ
【材料】2人分
赤ワイン 300~400ミリリットル
A(オレンジ果汁30~40ミリリットル、はちみつ適量)
B(シナモン、八角、ネズの実、クローブ、黒こしょう、ローリエ適量)
レモン果汁  一搾り

【作り方】
 <1>ワインを鍋に入れ、強火にかける。
 <2>沸騰したら、鍋を傾けて気化したアルコールに火をつけるか、ライターなどで着火した後に弱火にする。ワインの火が消えたらAとBを加える。
 <3>香りが出たら火を止め、レモンを一搾り。
 <4>香りをより楽しむなら、香辛料を入れたままワイングラスへ。気になる人は取り除いて注ぐ。
 


最後まで読んでくださってありがとう
クリック してね
 

 記事は毎日アップしています。
明日もまた見に来てね
  



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

11月12日(土)のつぶやき

2016-11-13 01:08:24 | 花/美しいもの
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

秋色!イエローのピラカンサ/辺野古移設、再考の時 トランプのアメリカ(下)

2016-11-12 20:21:56 | 花/美しいもの
ピラカンサにびっしりついた実が、
あかるい黄色に色づいています。

まっ先にピラカンサに秋がやってきました。。
  
枝がぼさぼさでツルも巻きついたりしていたので、
伸びすぎた枝を切ったり、余分な枝を整理してやりました。

おとなりのニシキギも赤く色づいてきました。

裏(北側)から見たところ

ついでに、蜜柑の木に陽がよく当たるように、
伸びてかぶさった百日紅の枝も剪定してやりました。

自分では切ることができない、横に長く伸びたギンモクセイの太い枝は、
チェンソーで切ってもらうことにしました。



切った枝の重さで樹が裂けないように、
まず10センチくらいのところで切ってから、

つけ根のところで切り戻して、切り口に癒合剤を塗っておきます。

ドウダンツツジの上にかぶさって
陰になっていた枝がなくなって、明るくなりました。


応援クリック人気ブログランキングへ してね 

中日新聞の社説の連載「トランプのアメリカ」は
(下)で「辺野古移設、再考の時」です。

 社説:辺野古移設、再考の時 トランプのアメリカ(下)
2016年11月12日 中日新聞

 一九九六年の日米合意以来、二十年も膠着(こうちゃく)状態が続く沖縄の米軍普天間飛行場移設問題。米国の政権交代はこの問題を再考する絶好の機会だ。

 米国の対日専門家によると、米政府にはこんな危惧もある。

 普天間飛行場の移設に伴い、地元の反対を押し切って沖縄県名護市辺野古に新基地建設を強行することは、日米同盟を揺るがしかねない。政治的コストが高すぎて、同盟は持続可能なのか-。

沖縄米軍基地の脆弱性
 最近では米国の安全保障問題の専門家の間で、沖縄に集中する米軍基地が持つ脆弱(ぜいじゃく)性への懸念も出てきた。技術の向上著しい中国のミサイルの射程に沖縄が入るようになったからだ。

 有力軍事シンクタンクのランド研究所は昨年九月に出した報告書で、中国のミサイルが「最前線にある米軍基地からの効果的な作戦遂行に障害となる」とその脅威を指摘した。

 報告書は台湾有事を想定した場合、中国による太平洋地域の米軍基地へのミサイル攻撃では、二〇〇三年までは米国は「大きな優位」に立っていたが、一七年には「不利」に逆転すると評価した。

 中国は沖縄も射程に入れる短距離弾道ミサイルを約千四百発保有し、命中精度は五~十メートルの誤差に収まる。嘉手納基地は比較的小規模なミサイル攻撃でも数日間運用停止になり、集中攻撃を受ければ数週間の閉鎖に追い込まれる、と分析している。

 このため、フィリピンやベトナムなどとの軍事協力の強化や、太平洋地域での基地分散の必要性を提言した。

 今年一月には別の有力シンクタンク・戦略国際問題研究所(CSIS)は普天間飛行場の辺野古移設が「最善の選択肢」とする報告書を議会に提出した。

しがらみがないだけに
 報告書は同時に、嘉手納基地や韓国、グアムの計四カ所の主要空軍基地がミサイル攻撃に弱く「これらの基地が紛争の初期段階で機能不全に陥れば、戦闘能力回復に困難を伴う。脆弱性は不安定性でもある」という評価を下した。

 移設計画の見直しを唱える安全保障の専門家もいる。

 ジョージ・ワシントン大のマイク・モチヅキ教授らは六月、米紙に寄稿し、国と県による法廷闘争が決着するまでにはなお十年かかり、日本国内の基地反対の政治勢力はさらに強力になる公算が大きいとの見方を示した。

 そのうえで、在沖海兵隊(定員一万八千人)をグアムのほかに米本土カリフォルニア州にも移転し、三千人規模まで削減することを提唱した。

 そうすれば滑走路のある大規模な基地は不要となり、海兵隊キャンプ・シュワブ(名護市など)に埋め立てを伴わないヘリパッド(ヘリコプター離着陸帯)を新設することを代案として提案した。

 海兵隊削減によって抑止力が低下するとの懸念には、兵器を積んだ事前集積船を日本に停泊しておけば、有事には兵員を空路で急派することで即応できるとした。

 辺野古移設見直しには、既得権益を守りたい米軍の抵抗が強い。しかも、過去にいくたびも日米両首脳が確認を重ねてきた合意事項だ。そうした抵抗や重みをはねのけることができるのは最高指導者だけだ。

 日米両政府は「辺野古移設が唯一の解決策だ」と繰り返すが、トランプ氏は政治や軍事にしがらみがないだけに、そうした先入観はなく、思い切った決断ができるのではないか。

 もっとも、同盟関係の軽視をいうトランプ氏が、日米安保体制の解消に動くのならば、移設問題もおのずと消滅する。

 〇九年十一月に訪日したオバマ大統領は都内での演説で「米国は太平洋国家だ」と表明した。

 アジア太平洋経済協力会議(APEC)に加盟する二十一の国・地域は、世界全体の国内総生産(GDP)の六割、人口は約四割を占める。オバマ氏はこの地域に関与していくことが米国繁栄の道だと判断。世界戦略の軸足をアジアに移す「アジア・リバランス(再均衡)」政策を打ち出した。

戦略的なアジア構想を
 その柱は環太平洋連携協定(TPP)と、海・空軍の全体の六割に当たる戦力を、二〇年までに太平洋地域に重点配備する米軍再編の両輪からなる。

 これに対し、トランプ氏は大統領就任当日にTPP離脱を表明すると言っている。TPP発効は難しくなった。

 それでも、米国が成長センターのアジアから後退するのは国益にならないという判断が米国では支配的だ。トランプ氏がその点を理解し、戦略性のあるアジア構想を描けば、地域の安定にもつながるだろう。 


最後まで読んでくださってありがとう
クリック してね
 

 記事は毎日アップしています。
明日もまた見に来てね
  



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

11月11日(金)のつぶやき

2016-11-12 01:08:50 | 花/美しいもの
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

トランプのアメリカ:民衆の悲憤を聞け(上)/孤立主義に未来はない(中)/「トランプ大統領」の衝撃 保護主義に利はない

2016-11-11 20:24:50 | ほん/新聞/ニュース
ブリ大根の煮汁でおからをつくりました。
最近、けっこうおからを作ることがおおいです。

おいしい出汁がとれる煮魚がおおいからでしょうか。

  
岐阜産枝豆とおからで、まめまめしく(笑)。
  
翌日は、カツオのたたきとボタンエビ、

ヤリイカとスルメイカの刺し身も、とお魚料理が続きます。。
  

応援クリック人気ブログランキングへ してね 

後半は今日も、
アメリカの大統領選の社説。
中日新聞の「トランプのアメリカ」(上)(中)と、
朝日新聞の社説、「トランプ大統領」の衝撃 保護主義に利はない、です。
トランプショックが続き、これからのアメリカへの懸念が広がっている。

  社説:民衆の悲憤を聞け トランプのアメリカ(上)
2016年11月10日 中日新聞

 変化を期待して米国民は危険な賭けに出た。超大国のかじ取りを任されたトランプ氏。旋風を巻き起こした本人には、それを果実に変える責任がある。

 支配層への怒りが爆発した選挙結果だった。ロイター通信の出口調査によると、「金持ちと権力者から国を取り返す強い指導者が必要だ」「米経済は金持ちと権力者の利益になるようゆがめられている」と見る人がそれぞれ七割以上を占めた。

現状打破への期待
 トランプ氏はその怒りをあおって上昇した。見識の怪しさには目をつぶっても、むしろ政治経験のないトランプ氏なら現状を壊してくれる、と期待を集めた。

 逆に、クリントン氏はエスタブリッシュメント(既得権益層)の一員と見なされ、クリントン政権になっても代わり映えしないと見放された。

 政策論争よりも中傷合戦が前面に出て「史上最低」と酷評された大統領選。それでも数少ない収穫には、顧みられることのなかった人々への手当ての必要性を広く認識させたことがある。トランプ氏の支持基盤の中核となった白人労働者層だ。

 製造業の就業者は一九八〇年ごろには二千万人近くいたが、技術革新やグローバル化が招いた産業空洞化などによって、今では千二百万人ほどにまで減った。失業を免れた人も収入は伸びない。

 米国勢調査局が九月に出した報告書によると、二〇一五年の家計所得の中央値(中間層の所得)は物価上昇分を除いて前年比5・2%増加し、五万六千五百ドル(約五百七十六万円)だった。

 六七年の調査開始以来、最大の伸びだが、最も多かった九九年の水準には及ばず、金融危機前の〇七年の時点にも回復していない。

取り残された人々
 一方、経済協力開発機構(OECD)のデータでは、米国の最富裕層の上位1%が全国民の収入の22%を占める。これは日本の倍以上だ。上位10%の占める割合となると、全体のほぼ半分に達する。

 これだけ広がった貧富の格差は、平等・公正という社会の根幹を揺るがし、民主国家としては不健全というほかない。階層の固定化も進み、活力も失う。

 展望の開けない生活苦が背景にあるのだろう。中年の白人の死亡率が上昇しているというショッキングな論文が昨年、米科学アカデミーの機関誌に掲載された。それによると、九九年から一三年の間、四十五~五十四歳の白人の死亡率が年間で0・5%上がった。

 ほかの先進国では見られない傾向で、高卒以下の低学歴層が死亡率を押し上げた。自殺、アルコール・薬物依存が上昇の主要因だ。

 ピュー・リサーチ・センターが八月に行った世論調査では、トランプ支持者の八割が「五十年前に比べて米国は悪くなった」と見ている。米国の先行きについても「悪くなる」と悲観的に見る人が68%に上った。

 グローバル化の恩恵にあずかれず、いつの間にか取り残されて、アメリカン・ドリームもまさに夢物語-。トランプ氏に票を投じた人々は窒息しそうな閉塞(へいそく)感を覚えているのだろう。

 欧州連合(EU)離脱を決めた英国の国民投票でも、グローバル化から取り残された人々の怒りが噴き出した。グローバル化のひずみを正し、こうした人たちに手を差し伸べることは欧米諸国共通の課題だ。

 トランプ氏は所得の再配分よりも経済成長を促して国民生活の底上げをすると主張する。それでグローバル化の弊害を解消できるかは疑問だ。対策をよく練ってほしい。

 女性や障害者をさげすみ移民排斥を唱えるトランプ氏は、封印されていた弱者や少数派への偏見・差別意識を解き放った。そうした暴言は多民族国家である米社会の分断を、一層進行させることにもなった。

 オバマ大統領は「先住民でない限り、われわれはよその土地で生まれた祖先を持つ。移民を迎え入れるのは米国のDNAだ」と語ったことがあるが、その通りだ。米国が移民を排除するのは、自己否定に等しい。

夢追える社会実現を
 米国の今年のノーベル賞受賞者七人のうち、ボブ・ディラン氏を除く六人が移民だ。移民は米国の活力源でもある。

 国を束ねる大統領として、トランプ氏は自身の言動が招いたことに責任をとらねばならない。顧みられることのなかった人々への配慮は、人々の怒りを鎮め、分断を埋めることにもつながる。

 米国の抱える矛盾があらわになった大統領選だった。国民が再びアメリカン・ドリームを追うことのできる社会の実現をトランプ氏に期待したい。 


  社説:孤立主義に未来はない トランプのアメリカ(中)
2016年11月11日 中日新聞

 米大統領は国際社会で主導的役割を果たすべき指導者だ。内にこもって孤立しては、自国の未来も描けないことをトランプ氏は悟ってほしい。

 オランド仏大統領が「不確実時代の幕開けだ」と言うように、国際問題の知識も浅く政治経験もない超大国の次期指導者が何を言い出すか、世界中が身構えている。

内向きの国内世論
 まず心配なのは、トランプ氏の孤立主義だ。

 ブッシュ前政権は国際問題へ過剰に武力介入した。反面教師としたオバマ大統領は「米国は世界の警察官ではない」と宣言する。アフガニスタンとイラクという二つの戦争に疲れた米社会の気分を受けての発言だった。

 トランプ氏もオバマ氏と全く同じことを言っているが、中身は大きく違う。トランプ氏はリーダーの役割を放棄し、世界の面倒なことに首を突っ込むのは一切やめようという姿勢だ。

 しかも、地球温暖化対策の新たな国際的枠組みのパリ協定からの脱退を主張するように、身勝手ぶりが目立つ。それがトランプ流の「米国第一主義」なのだろう。

 ただ、社会の空気は敏感にかぎ分けている。ピュー・リサーチ・センターが十月、「米国は自国の問題に専念すべきか、問題を抱える他国を助けるべきか」を米国民に聞く世論調査をしたところ、「専念すべきだ」とする人が54%に上り、一九九五年の41%から13ポイント増えた。「助けるべきだ」は41%だった。

 このうちトランプ支持者の七割が「専念すべきだ」と答えた。孤立主義は潮流に合っている。

 実は米国は一七七六年の建国当初、旧世界の欧州と一線を画する孤立主義を標榜(ひょうぼう)した。

 初代大統領のワシントンは「なぜ、われわれの平和と繁栄を欧州の野望や抗争、利害、気まぐれに絡ませなくてはならないのか。外部世界との恒久的な同盟関係を避けるのがわれわれの真の政策だ」と辞任のあいさつで語った。一八二三年にはモンロー第五代大統領が欧州との間の相互不干渉を説いた「モンロー宣言」を出した。

 転機になったのは第一次大戦だ。ウィルソン第二十八代大統領は参戦を決断し、国際連盟の設立をはじめ理想主義的目標を掲げた。ところが、大戦後発足した国際連盟に米国は加盟せず、孤立主義や保護貿易主義に傾斜。結果的にファシズムの台頭を許した。

同盟は貴重な資産
 トランプ氏は内向き世論に乗って、先祖返りを志向する。だが、米国が閉じこもってしまえば、国際社会は一層乱れ、結局、米国の国益にもならない。

 シリア内戦は北部の要衝アレッポで、アサド政権とその後ろ盾のロシアが民間人を巻き込む空爆を続け、国連は「歴史的規模の犯罪」(ゼイド人権高等弁務官)と非難する。和平協議は行き詰まり、欧州を疲弊させている難民問題の展望も開けない。

 膨張主義の中国は仲裁裁判所の判決後も南シナ海の軍事拠点化を進めている。いずれの問題に対処するにも米国は欠かせない。

 トランプ氏の同盟を軽視する姿勢も気掛かりだ。日本や韓国などを指して「米国は彼らを防衛しているのに、彼らは対価を払っていない」と事実誤認に基づく主張を繰り返す。

 在日米軍の駐留経費の増額を要求してくることが予想されるが、安全保障は目先の損得勘定で測るべきものではない。

 中国やインドなど新興国の追い上げによって、米国は経済的にも軍事的にも、かつてのような群を抜いた存在ではなくなっていく。

 だからこそ他国との同盟関係を強化し、足らざる面を補うことが必要になる。米国が今後も国際問題で中心的な役割を担うために、同盟は貴重な資産だ。

 逆に同盟を弱体化させれば、再三唱えてきた「偉大なアメリカ」は遠ざかるだけだ。

危険な保護貿易主義
 トランプ氏は自由貿易を目の敵にするが、保護主義に走れば相手国も報復関税で対抗する。第二次大戦後の世界経済秩序は、その反省に立って築かれたことを忘れてはなるまい。

 日本や韓国の核保有容認論は、仮の話としても核軍拡競争を招くだけだし、米国の安全保障費用も膨らむだろう。

 歴代共和党政権で外交・安保政策を担当した元高官ら五十人が八月に出した共同声明は、トランプ氏が「米史上最も無謀な大統領になり、国家の安全保障を危険にさらす」と強く警告した。

 トランプ氏は優秀実務の外交・安全保障の陣容をそろえ、その進言に耳を傾けてほしい。そうでないと、世界も米国民も安心はとてもできない。 


  社説:「トランプ大統領」の衝撃 保護主義に利はない
2016年11月11日(金)付 朝日新聞

 米大統領選に勝利したドナルド・トランプ氏は「米国第一主義」を掲げており、政策面で内向き志向を強めそうだ。

 通商政策では自由貿易の推進に否定的で、保護主義へかじを切ることが懸念される。だが、世界第一の大国が自国の目先の利益にとらわれた行動をとれば、世界経済の足を引っ張り、米国の利益にもならない。

 大統領就任後100日間で実施する政策をまとめた「有権者との契約」では、環太平洋経済連携協定(TPP)について「離脱を表明する」と明記した。カナダやメキシコとの北米自由貿易協定の再交渉や中国製品への関税強化なども訴える。

 12カ国が加わるTPPは、日米両国が国内手続きを終えないと発効しない仕組みだ。日本ではTPP承認案が衆議院を通り、国会での手続きが進んだが、発効は困難な情勢だ。

 トランプ氏の主張は、自由貿易を重視する共和党主流派の伝統的な政策と相いれない。上下両院で共和党が多数を握ることになっただけに、トランプ氏の訴えがどこまで具体化するかは不透明ではある。

 だが、世界経済は低成長に陥り、国際的な経済摩擦が相次ぐ。英国の欧州連合(EU)離脱決定に続き、トランプ氏の言動と政策が反グローバル化をあおることになれば、世界経済は本格的な停滞に陥りかねない。

 ある国が輸入品への関税を引き上げ、相手国も高関税で対抗する。貿易が滞って景気は冷え込み、失業者も増える。そうした悪循環が世界大戦まで引き起こしたことへの反省から、戦後の自由貿易体制は出発した。

 今世紀に入って世界貿易機関(WTO)での多国間交渉が行き詰まるなか、自由化の原動力は二国間や地域内の自由貿易協定(FTA)に移った。とくに規模が大きい「メガFTA」が注目され、その先陣を切ると見られてきたのがTPPだった。

 貿易や投資の自由化には、競争に敗れた産業の衰退や海外移転による失業など、負の側面がともなう。恩恵を受ける人と取り残される人との格差拡大への不満と怒りが世界中に広がる。

 だからといって、自由化に背を向けても解決にはならない。

 新たな産業の振興と就労支援など社会保障のてこ入れ、教育の強化と課題は山積する。大企業や富裕層による国際的な税逃れへの対応も待ったなしだ。

 自由化で成長を促し、経済の規模を大きくする。同時にその果実の公平な分配を強める。トランプ氏を含む各国の指導者はその基本に立ち返るべきだ。 


最後まで読んでくださってありがとう
クリック してね
 

 記事は毎日アップしています。
明日もまた見に来てね
  



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

11月10日(木)のつぶやき

2016-11-11 01:10:17 | 花/美しいもの
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

米大統領選 トランプ氏が勝利 「驚くべき番狂わせ」/危機に立つ米国の価値観/世界の漂流を懸念する 

2016-11-10 20:53:39 | ほん/新聞/ニュース
トランプ氏がアメリカ大統領選挙で勝ち、世界中がおどろいた昨日から、
一夜明けて、朝刊各紙の一面トップはもちろんこの記事。

今日のニュースもこの話題ばかり。
ということで、TVニュースを見ないようにしていました。
とはいえ、
10年毎日書いてきたブログは、やっぱりこの記事しかないですね。

昨日の夕方のNHKニュースと、
きょうの朝日新聞と毎日新聞の社説をアップします。

中日新聞は「民衆の悲憤を聞け トランプのアメリカ(上)」なので、
(下)が出てから、まとめて紹介します。

米大統領選 トランプ氏が勝利 「驚くべき番狂わせ」  
2016.11.9 NHKニュース

アメリカ大統領選挙は過激な発言で話題を集めてきた共和党のトランプ氏が民主党のクリントン氏に勝利し、アメリカメディアは「驚くべき番狂わせだ」と伝えています。トランプ氏は「分断の傷を修復し、ともに結束していくときだ」と演説し、次期大統領として激しい選挙戦で分断された国の融和をはかる考えを示しました。

アメリカ大統領選挙は8日、全米で一斉に投票が行われました。
アメリカのABCテレビによりますと、トランプ氏は28州を制して、当選に必要な過半数を超える278人の選挙人を獲得し、民主党のクリントン氏に勝利しました。

過激な発言で話題を集めてきたトランプ氏は、「アメリカを再び偉大にする」というスローガンを掲げ、現状に不満を抱く有権者から支持を得ました。

トランプ氏は日本時間の9日午後5時前に次の副大統領になるペンス氏や家族とともに地元ニューヨークで支持者の前に姿を現し、「先ほど、クリントン氏から電話を受け、われわれの勝利を祝福するものだった」と述べ、勝利を宣言しました。
そのうえで「クリントン氏はこれまでこの国に尽くしてくれた。今こそこの分断の傷を修復し、ともに結束していくときだ」と述べ、激しい選挙戦で分断された国の融和をはかる考えを示しました。
また、「あなた方をがっかりさせないと約束する。われわれは素晴らしい仕事をしていく。あなた方の大統領になれることを楽しみにしている」と述べ、次期大統領就任に向けた決意を表明しました。

一方、民主党のクリントン氏は18州と首都ワシントンを制して218人の選挙人を獲得しましたが、トランプ氏から「既存の政治家」と位置づけられたほか、「富裕層の代表」とも見られ、国務長官在任中に私用のメールアドレスを公務に使っていた問題が再燃したこともあり、幅広い支持を得られず、トランプ氏におよびませんでした。

アメリカメディアは「アウトサイダーのトランプ氏が有権者の不満を力に変えて驚くべき番狂わせを実現した」と伝えています。

トランプ氏は、政治家として公職に就いたことがなく、軍人としての経験もない初めての大統領になります。

最高齢の大統領誕生へ
トランプ氏は、1946年6月14日生まれの70歳で、これまでで最も高齢の大統領になります。
これまで、最高齢で大統領に就任したのは、第40代、ロナルド・レーガン元大統領です。1981年1月に就任したときの年齢は、69歳と349日でした。トランプ氏は、来年1月20日の就任式を、70歳と220日で迎えるため最高齢の大統領が誕生することになります。

政治家・軍人の経験なし
これまでに、政治経験がなく大統領になったのは、アイゼンハワー元大統領など3人で、トランプ氏はアイゼンハワー元大統領以来、56年ぶりとなります。ただ、アイゼンハワー元大統領は大統領に就任する前、軍の最高司令官を務めていますがトランプ氏は軍人としての経験もなく政治経験、軍人としての経験がともにない初めての大統領になります。

2人目の外国生まれのファーストレディー
トランプ氏の妻、メラニアさんは、2人目の外国生まれのファーストレディーとなります。
これまでに、アメリカ以外で生まれたファーストレディーは、第6代のジョン・クインシー・アダムズ元大統領の妻、ルイーザ夫人、ただ1人でした。メラニアさんは、旧ユーゴスラビアのスロベニア生まれで、アメリカに渡ってファッションモデルとなったあとトランプ氏の3度目の妻となりました。


応援クリック人気ブログランキングへ してね 

  社説:トランプ氏の勝利 危機に立つ米国の価値観
2016年11月10日(木)付 朝日新聞
 
戦後の国際秩序を揺るがす激震である。

 自由と平等、民主主義、法の支配、開かれた市場経済といった普遍的価値観を、国家として体現してきたのが米国だ。

 2度の大戦や独裁政治への反省から、多くの国々や市民もその価値観に共感してきた。米国もまた、大国として支援の手を世界に差し伸べてきた。

 「自由なアメリカへのあこがれ」こそが、軍事力や経済規模では測れない米国の真の強さであったはずだ。

 そうした価値観に反する発言を繰り返してきた共和党のドナルド・トランプ氏が、米国の次期大統領に就く。

 「内向き」な米国の利益優先を公言する大統領の誕生で、米国の国際的な指導力に疑問符がつくことは間違いない。

 トランプ氏が選挙戦で訴えた「強い米国を取り戻す」ことを真剣に望むのなら、いま一度、米国の価値観に立ち戻って信頼を築き直してもらいたい。

 国際社会には将来への不安が広がっている。平和と安定をめざす世界の共通の意思を確認するため、日本を含む主要な民主国家が、どれだけ結束できるかも問われよう。

 ■世界を覆う動揺
 衝撃の選挙結果だった。しかし、予兆はあった。

 国境を越えて、人やカネ、情報が自在に行き来する。冷戦後に加速したグローバル化の波は、世界中で社会や経済のありようを大きく変えた。

 流れに乗れた人は豊かになる半面、取り残された人は少なくない。異なる文化や宗教をもつ人も身のまわりに増える。

 そうした格差と変化が生む社会の動揺に、各国の政治はきちんと向き合ってきただろうか。

 フランスやドイツで「移民排斥」をあおるポピュリズム政党が支持を広げ、東欧ではナショナリズムが勢いづく。英国は欧州連合からの離脱を決めた。

 それでも、米国は、反グローバル化の潮流に抗する「最後のとりで」になると信じていた人は少なくあるまい。

 08年の金融危機で沈んだ米国経済も、今では株価が持ち直し、失業率は約5%にまで下がった。多くの先進国が低迷を続ける中、米国はグローバル化の「勝ち組」に見えた。

 だが、その足元にも同様の現実が広がっていた。中間層の所得がほとんど伸びないかわり、富裕層はますます富み、格差の拡大に歯止めがかからない。

 「イスラム教徒が米国の安全を脅かす」「不法移民が雇用を奪う」。敵を作り、対決を自演したトランプ氏の手法は、露骨なポピュリズムそのものだ。

 ■政党政治への不信
 トランプ氏は既成政治を「特権層と癒着した庶民の敵」に仕立て、ヒラリー・クリントン氏をその一部として攻撃した。

 自分の声がないがしろにされているとの閉塞(へいそく)感から「チェンジ」を求めた国民が、政治の刷新を渇望するのは理解できる。

 その意味で、米国政治こそが最大の敗者と見るべきだろう。

 思えば、オバマ政権の任期後半は、民主党と共和党の対立が泥沼化し、新しい政策はほとんど打ち出せなかった。

 中間層から脱落する人々、世代を超えて貧困に滞る人々、教育や就職など機会が平等に与えられない人々……。

 それらの声に耳を澄まし、解決への効果的な選択肢を示す。そんな役割を果たすはずの政党政治が狭量な分断の政争に明け暮れ、機能不全に陥っている。それは日本を含む多くの国も自問すべき問題だろう。

 当選したトランプ氏も、具体的な処方箋(せん)を示していない。

 社会保障の充実、税逃れを許さない公正な課税など、中間層の視点に立った政策を地道に積み上げねば、この勝利の期待はたちまち失望に転じるだろう。

 ■米国の役割の自覚を
 出口が見えない中東の紛争、秩序に挑むような中国やロシアの行動、相次ぐテロ、北朝鮮の核開発など、国際情勢はますます緊張感をはらんでいる。

 地球温暖化や難民、貧困問題など、世界各国が結束して取り組むべき課題も山積する。

 従来の米国は、こうした問題に対処する態勢づくりを主導してきた。しかし、トランプ氏がそれを十分に把握しているようには見えない。

 それを象徴するのが、同盟国にコスト負担を求めたり、日韓などの核武装を容認したりするなど、同盟関係への無理解に基づく発言の数々だ。

 米国の役割とは何か。同盟国や世界との協働がいかに米国と世界の利益になるか。その理解を早急に深め、米外交の経験と見識に富む人材を最大限活用する政権をつくってほしい。

 日本など同盟国はその次期政権と緊密な関係づくりを急ぎ、ねばり強く国際協調の重みを説明していく必要がある。

 トランプ氏を、世界にとって取り返しのつかないリスクとしないために。


  社説:米大統領にトランプ氏 世界の漂流を懸念する
毎日新聞2016年11月10日

 まさに怒濤(どとう)のような進撃だった。

 米大統領選で共和党のドナルド・トランプ候補の当選が確定した。予備選の段階では泡沫(ほうまつ)候補とみられたトランプ氏は圧倒的な強さで同党の候補者指名を獲得し、本選挙でも知名度に勝る民主党候補のヒラリー・クリントン前国務長官を破った。

 多くの米紙はクリントン氏を支持し、トランプ氏の大統領としての資質を疑問視した。投票前、ほとんどの米メディアはクリントン氏の勝利を予測したが、たたかれるほど強くなるトランプ氏は世論調査でも支持率を正確に測れなかった。潜在的な支持者(隠れトランプ)が多く、逆境になるほど結束したからだろう。

超大国の歴史的な転換
 「私は決して皆さんをがっかりさせない」。勝利集会でトランプ氏はそう語った。クリントン氏から祝福の電話を受けたことも明かした。混迷の大統領選はこうして決着した。

 米国の民意は尊重したいが、超大国の変容は大きな影響を及ぼす。メキシコ国境に不法移民流入などを防ぐ壁を造る。イスラム教徒の入国を規制する。国民皆保険をめざすオバマケア(医療保険制度改革)は即時撤廃し、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)にも地球温暖化対策の「パリ協定」にも断固反対--。こうしたトランプ氏の方針は国内外の将来を一気に不透明にした。

 日米関係も例外ではない。同氏は米軍駐留経費の全額負担を日本に求め、それが不可能なら核武装も含めて米軍抜きの自衛措置を取るよう訴えてきた。米国が主導する軍事組織・北大西洋条約機構(NATO)にも軍事費の負担増を要求し、「嫌なら自衛してもらうしかない」というのが基本的なスタンスだ。

 英国が国民投票で欧州連合(EU)離脱を決めたことに続く、大きな衝撃である。第二次大戦後の世界は冷戦とソ連崩壊を経て米一極支配の時代に入り、米国の理念に基づいて国際秩序が形成されてきた。

 その理念がかげり、利益誘導型のトランプ流「米国第一」主義が先行すれば国際関係は流動化する。経済にせよ安全保障にせよ国際的なシステムが激変する可能性を思えば、世界漂流の予感と言っても大げさではなかろう。

 だが、米国は単独で今日の地位を築いたのではない。故レーガン大統領にならって「米国を再び偉大な国に」をスローガンとするのはいいが、同盟国との関係や国際協調を粗末にして「偉大な国」であり続けることはできない。その辺をトランプ氏は誤解しているのではないか。

 そもそも、なぜトランプ氏が勝ったのか。10月末、フロリダ州で開かれた同氏の集会では、元民主党員の40代の男性が「民主党のクリントン政権は女性スキャンダルにまみれ、オバマ政権の『チェンジ』も掛け声倒れだった。もう民主党には期待できない」と語った。これはトランプ支持者の代表的な意見だろう。

 8年に及ぶオバマ政権への飽きに加えて、クリントン氏の「私用メール問題」で米連邦捜査局(FBI)が選挙中に再捜査を宣言したことも選挙に影響したのは間違いない。

 だが、クリントン氏の決定的な敗因は経済格差に苦しむ人々の怒りを甘く見たことだ。鉄鋼や石炭、自動車産業などが衰退してラストベルト(さびついた工業地帯)と呼ばれる中西部の各州は民主党が強いといわれ、ここで勝てばクリントン氏当選の目もあった。

米国の民主主義どこへ
 実際はトランプ氏に票が流れたのは、給与が頭打ちで移民に職を奪われがちな人々、特に白人の怒りの表明だろう。米国社会で少数派になりつつある白人には「自分たちが米国の中心なのに」という焦りもある。教育を受けても奨学金を返せる職業に就きにくく、アメリカンドリームは過去のものと絶望する人々にもトランプ氏の主張は魅力的だった。

 政治経験がなくアウトサイダーを自任する同氏は富豪ではあるが、経済格差などは既成政治家のせいにして低所得者層を引き付けてきた。米国社会の不合理を解消するには既成の秩序や制度を壊すしかない。大統領夫人や上院議員、国務長官を歴任したクリントン氏は既成政治家の代表だ--という立場であり、徹底したポピュリズムと言ってもいい。

 それゆえ従来の秩序を壊した後にどう再建するのか、その道筋が見えにくい。候補者討論会も低次元な批判合戦に終始し「最も醜い大統領選」と言われた。トランプ氏は今後、より具体的な政策を示してほしい。

 共和党の指導部はトランプ氏の女性蔑視発言などに嫌気がさして大統領選の応援を控えた。だが、よき伝統を重んじる同党は、米国の力で世界を変えようとしたネオコン(新保守主義派)や「小さな政府」を求める草の根運動「ティーパーティー(茶会)」などと協調するうちに方向性を失い、トランプ氏という「怪物」を出現させたようにも見える。

 今回の選挙は2大政党の一方が機能不全に陥ったとはいえ、民主主義の一形態ではあった。今後、トランプ氏と共和党は団結できるのか、クリントン氏の支持者との融和は可能なのか。米国の民主主義が真価を問われている。


 中日春秋(朝刊コラム)
2016年11月10日 中日新聞

 トランプ氏の成功の象徴トランプ・タワーは、ニューヨークにそびえる高層ビルだ

▼当初は六十三階建てにする計画だったが、行政の指導で五十八階建てになった。しかし、トランプ氏は「六十八階建て」だと称している。最上階の五十八階を六十八階と呼ぶことにしたのだ

▼トランプ・タワーは芸術的な外観を持つ老舗デパートを壊して建設された。その解体工事で働かされたのは不法移民。移民らは文句を言えば強制送還だと脅かされ、長時間、低賃金で酷使されたという(ワシントン・ポスト取材班『トランプ』)

▼トランプ氏の虚飾、強引さ、冷酷さを象徴するようなトランプ・タワー。昨年六月、このビルで大統領選への出馬表明をした彼は、メキシコからの不法移民は犯罪者だとなじり、国境に巨大な壁を造ると宣言した。米国民は、中国や日本との貿易で「いつも打ち負かされている」と演説し、仕事が奪われていると危機感をあおった

▼米国の記者マイケル・ダントニオ氏は著書『熱狂の王 ドナルド・トランプ』で、トランプ陣営は人々の恐怖を巧妙に利用することで、選挙戦を勝ち進んだと分析している。テロや犯罪への恐怖、グローバル化の中の貿易戦争の恐怖、不法移民による失業の恐怖…

▼米国民はそんな彼に、超大国のかじ取りを任せ、核の発射ボタンを託した。大統領選の勝者は「恐怖」かもしれぬ。 


最後まで読んでくださってありがとう
クリック してね
 

 記事は毎日アップしています。
明日もまた見に来てね
  



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

11月9日(水)のつぶやき

2016-11-10 01:10:19 | 花/美しいもの
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする