みどりの一期一会

当事者の経験と情報を伝えあい、あらたなコミュニケーションツールとしての可能性を模索したい。

岐阜県の裏金問題が全国ニュースに!取材も続々/新聞各紙、「週刊ポスト」の記事より

2006-08-22 13:55:26 | 岐阜県裏金問題
まずは
一期一会のクリックを

昨日は、福井県の「ジェンダー図書排除事件」のことが、
中日新聞の特集「核心」に載った。
今日は、岐阜県の「裏金問題」の記事が朝日新聞「時々刻々」で、
「巨額裏金 岐阜県ドロ沼」として大きく取り上げられた。
いずれも、わたしたちが当事者としてかかわっている「事件」。

特に、岐阜県の「裏金」の使い道とされている、
「訴訟費用」や「ミニコミ誌」は、いずれも
「県民ネット」として取り組んできたものばかり。
情報誌には脅され、裁判に時間とエネルギーをかけてきたけれど、
こういうカラクリだったのか!!
「ドロ沼」というよりは、腐臭を放ち、
ズブズブと沈む「底なし沼」だと思うんだけど!


朝日新聞「時々刻々」(2006.8.22)

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巨額の裏金 揺れる岐阜県 組織ぐるみ、解明遠く
 
 「官官接待」など自治体の不正支出が問題になってから10年以上たった中、岐阜県が組織的に巨額の裏金を作り、その一部を県職員組合の口座に隠していたことが発覚した。「処分に困り、燃やした」。あきれた実態が次々明らかになり、県民の怒りは募るばかり。梶原拓前知事の関与も指摘されている。古田肇知事は、弁護士による検討委員会が近く公表する調査結果をもとに今後の対応を決め、区切りをつけたい考えだが、市民団体は徹底調査を求める構えだ。

 「400万円焼いた」証拠なし 組織ぐるみ遠い解明 
 「一刻も早く納税者に金を返して欲しい」「責任者を処分しろ」
 裏金問題が発覚した先月5日以降、岐阜県庁には抗議の電話やメール、ファクスが殺到し、21日夕までに2700件を超えた。「死ね」「腹を切れ」など脅迫めいた言葉を浴びせる電話もあり、心労で体調を崩す職員も出たという。
 こうした抗議が増えたきっかけは、県の内部調査チームが今月3日に公表した調査結果だった。
 94年度の裏金の総額は約4億6600万円。不適正な会計をチェックする役割の監査委員事務局(100万円)、出納事務局(400万円)を含め、県のほぼすべての課や室で、カラ出張や食糧費、タクシー代の架空請求などで裏金作りが行われていた。
 また、98年度の裏金は総額4億4100万円だったが、このうち半分を超える額が県幹部の指示で、県職員組合の口座に集められた。現在の残高は1億4600万円。県立高4校のPTA会費など計1300万円の「表の金」まで、各校の担当職員が裏金と誤解して振り込んでいた。
 最も批判が集中したのは、報告書の中で、6人の職員が計約500万円の裏金を焼いたり、一般ごみに混ぜて捨てたりしたと指摘されたこと。1人で400万円焼いたとされる職員が勤める県教育委員会の幹部は「本人への聞き取りでは、前任者から引き継いだが、処理に悩み、思い余って不要な書類と一緒に焼却したようだ」と説明する。
 ただ、県庁内では「金を焼いた」との説明を信じる向きは、ほとんどない。ある幹部は声を潜めて言う。
 「焼却はあくまで、事情聴取に対する本人の主張。着服したとしても証拠がない。もっと詳しく調べないと県民の怒りは収まらないだろう」

 隠し口座「放置を了解」 
 「改革派」前知事にも矛先
 なぜ、これまで岐阜県で裏金問題が表面化しなかったのか。
 県の報告書などによると、裏金作りは、梶原氏が知事に就任した89年2月以前から行われていたとみられる。しかし、梶原氏は95年から97年にかけ、県議会で再三、「他県に見られるような乱脈な食糧費の支出はなかった」などと答弁し、組織的な裏金作りを否定。95年には情報公開条例を施行し、むしろ「健全さ」をアピールしていた。
 梶原氏は、強いリーダーシップで地方分権を唱え、政府の三位一体改革をめぐっては、全国知事会会長として「闘う知事会」の先頭に立った。ただ、その手腕には「ワンマン」との批判もくすぶる。「知事に耳の痛いことを直言する幹部はいなかった」(県職員)。結果的に各地の自治体が改革を進める一方、ウミを出して再出発する機会を失った形になった。
 そうした体質が、県の組織再編前の99年や金融機関のペイオフ一部解禁を控えた01年、裏金の存在が表面化しないように、県幹部の指示で職員組合の口座に集中的に隠すということにつながった。
 しかも組合の口座は、県の監査はもちろん、情報公開の対象でもない。95~99年度に中山間農業技術研究所(当時)などで実験用に栽培した農産物の販売収入を裏金にして停職処分を受けた職員ら7人の生活費として約1100万円も「助成」されていたことも、今回初めて明らかになった。
 8日、問題発覚後初めて記者会見に応じた梶原氏は一転、「知事就任当時、『公然の秘密』だった裏金作りは十分承知していた」と裏金の存在は認めた。
 しかし、当時の副知事である森元恒雄参院議員(自民党)が「しばらく事態の推移を見守ることには、知事の了解を得ていた」と裏金隠しへの関与をうかがわせたことには「やましいことは一切していない」と強く否定した。
 裏金問題については、県が依頼した3人の弁護士による検討委員会が今月末にも、「だれが責任を負うべきか」「裏金の返還方法をどうするか」などについて提言をまとめる。県は検討委の調査結果によっては刑事告訴も辞さない構えだ。
 しかし、市民団体「くらし・しぜん・いのち岐阜県民ネットワーク」事務局の寺町知正・岐阜県山県市議は、県の対応に懸念を抱く。「今の検討委の体制や調査期間を考えると、梶原氏の就任以前まで裏金を把握するのは無理。これで調査が打ち切りになることは許せない」。

 90年代半ば 各地で発覚
 官官接待や職員の私的飲食などの費用を作るため、カラ出張や食糧費の不正請求を重ねる――。こうした手口での裏金作りは90年代半ば、全国各地で発覚した。当時明らかになった不正額は、北海道約77億円、福岡県約61億円、秋田県約44億円にのぼる。
 これまで発覚した自治体では、当時在職した元職員や現職の管理職らが毎月の給料などから天引きの形で穴埋めするケースが多かった。96年に会議費などの不正処理が発覚した東京都は、OBと管理職らに自主的な返済を呼びかけ、不正額の約7億円に利子を加えた約8億円を同年12月に完済したが、いまだに返済が続く県もある。
 それでも公金の不正処理による裏金作りは絶えない。最近も、議会や警察での発覚が相次ぎ、静岡県警では04年、カラ出張で約1300万円を捻出(ねんしゅつ)していたことが判明。北海道警でも同年、捜査用報償費で約11億円の裏金を作っていたことがわかり、OBや職員が返済する計画を公表した。

(浅野さんのコメントを追記)裏金の「におい」直視しない傾向
 浅野史郎・前宮城県知事の話
 裏金があって、その「におい」を感じても、トップは見ないふりをしてしまうものだ。知事時代に発覚した食料費の不正支出から私が逃げなかったのは、すでに情報公開制度があり、市民オンブズ マンが情報公開請求していたからだ。「もう逃げられない」という認識があったからこそ全庁的な調査に踏み切った。こうしたシステムをきちんと作っておくことが大事だ。
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岐阜県の裏金問題のことは、
昨日発行の「週刊ポスト」(9月1日号)にも載った。
と昨夜、取材のあった新聞記者に聞いたので、
今朝、コンビニで買ってきた。



『週刊ポスト』は、時々うどん屋さんで読むくらいだけど、
新聞より構成も中身も、ずっとおもしろい。
実はわが家にも取材にみえて、ともちゃんのコメントも載っている。

 

 『資金調査チームは8月3日、内部調査結果を公表したが、使途の中には、やみ金まがい、と県民の批判を浴びるケースもある。多重債務職員に500万円も貸し付けていたからだ。
「くらし・しぜん・いのち岐阜県民ネットワーク」代表の寺町知正氏が指摘する。「多重債務者に金を貸すのはヤミ金業者ぐらい。にもかかわらず、県の職員組合はプールした裏金で貸し付けをやっている。しかも無利子。県民の中には、心ならずも多額の借金を抱え、生活に窮している人がいます。ところが税金で暮らす県職員は生活が破綻しても裏金で救われる。こんバカな話しはありません」
 この他、懲戒処分を受けた職員の「生活費の貸付け及び助成」として総額2500万円の支出がある。非行職員さえ「裏給与」で支えられているのだ。
 岐阜県人事委員会によれば、同県職員の平均年収は626万2000円。これに対し、同県を含む東海地方の民間の平均年収は437万2000円に止まっている。ただでさえ官民の給与格差は歴然としているのに、役人たちはどこまでもカネにあざといようである。』(「週刊ポスト」(9月1日号)P52より)

 
今回の事件、わたしたちは当事者に近いんだけど、
なぜか岐阜の記者の取材は少なくて、東京からの取材が多い。

切り口や視点も東京発の記事のほうが、シッカリしている。
と思っていたら、大谷昭宏さんのこんなコラム(P56)も見つけた。

-メディア ウオッチング-
<各紙「岐阜県裏金問題報道>
地元紙のスクープで発覚後もキワモノの話題が出るまで動かない
全国紙記者の取材姿勢を問う




 『 岐阜県庁がこれほどの裏金を組合口座などに隠したのは、1994年。組合も組合なら、それから12年、地元のブロック紙をはじめ、全国紙各紙の岐阜県庁担当記者はその間、何をしていたのか。
 数年前、梶原拓前知事時代の知事定例会見の一部始終をビデオで見る機会があったのだか、その最後に広報担当者が「本日の知事との会食は○○亭の××会席を用意してございます」と言ってまわっているのを見て腰を抜かしそうになった。
 ○○亭の××会席も裏金から出ていたのか。裏金問題では、官公庁や自治体を取材する記者たちの取材姿勢も問われている。(ジャーナリスト・大谷昭宏)。』(「週刊ポスト」(9月1日号)より)


さすが鋭い視点である。
梶原さんが知事になってからずっと、岐阜県相手に訴訟をしたり、
裏金の問題を訴え続けてきたけれど、県の腰巾着のような記者や、
よいしょ記事ばかり書く記者もたしかにいた。
反対に、梶原知事の政策を検証しようとした記者は、
知事の圧力で配転させられたりということもあった。

裏金問題を取り上げる記事が減ってきていることも気がかりだ。
マスコミ各紙が、どこまで本気でこの問題に取り組もうとしているのか、
わたしも、見届けたいと思う。

とはいえ、社会面トップでとりあげている読売の記事を紹介したい。

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岐阜県 裏金で政治団体誌、90年代後半に2000万円  

 岐阜県庁の裏金問題で、県が1990年代後半、県内の政治団体などが発行する情報誌の購読料を裏金から支払っていたことが19日、わかった。
 支払総額は2000万円前後に上る。県は、裏金を充てた経緯について、当時の関係者らから事情を聞いている。
 県や裏金の口座を管理していた県職員組合関係者らによると、情報誌を購読していたのは、県庁内の13課と県教委。判明しただけで、95年度から97年度にかけて、情報誌は約30種に及んでいた。購読料には、94年度に県全体で旅費や食糧費を架空請求したり、カラ雇用したりして作った裏金約4億6600万円の一部が充てられていた。裏金は当時、職員組合の口座に集約される前で、各課などの庶務担当職員が管理しており、必要に応じて各課が現金で支払う慣例になっていた。県の調査チームは「通常の予算では出しにくい部分について、裏金を使っていたのではないか」とみている。
 情報誌購読を巡っては、市民グループが98年、「情報誌購入に県費が支出されたのは不当だ」として、梶原拓前知事ら県幹部32人を相手に、購読料約2000万円の返還を求めて提訴。2003年、市民グループの主張に沿う形で県幹部らが約1000万円を県に返還することで和解が成立した。
 県は98年4月に、購読の必要性を判断する「県購読審査会」を設置し、以後、「問題になるような情報誌の購読はない」(県広報課)としている。
(2006.8.20 読売新聞)
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昨日の中日新聞社説も、
裏金問題とはちょくせつ関係ないようだけど、
問題の核心に近い論点だ。 

「役人はとかく事なかれ主義に走りがちだ。
「個人情報は隠すもの」という風潮は、法の趣旨を大きく逸
法を隠れみのにしたような隠ぺい主義は許されない。
意図的な情報隠しが横行するようでは、
制度の見直しは急務と言わざるを得ない。」

特に、社説の結びの言葉には、
よくぞ書いてくれたという思いで、強く共感する。

岐阜県も懲戒処分した公務員名を市民には公表せず、
陰にかくれて、裏金で救っていたのだから。

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法を隠れみのにするな
 官僚の経歴ばかりか懲戒免職者の名前まで非公表…。個人情報保護法を隠れみのにするような官庁の対応に、日本弁護士連合会が法の改正を求めたのは当然だ。情報公開法を忘れてもらっては困る。

個人情報保護
 今月十五日号の「市議会だより」から、市議会議員の資産報告が消えてしまった。茨城県つくば市での出来事である。
 昨年施行された個人情報保護法をきっかけに、「議員の資産は個人情報で保護されるべきだ」という意見が議員側から続出した結果である。議会事務局で閲覧できるとはいえ、全戸配布される広報紙から議員資産という重要情報が消えたのは、情報公開の流れからは大きな後退だ。
 同法施行後、世の中でいわゆる過剰反応や不適切対応、便乗事例が横行しているのは、周知の事実だ。
 例えば、懲戒免職の公務員が匿名となるのは、「不適切対応」の典型例といえる。
 国土交通省関東運輸局では、約四百万円の公金を着服し、懲戒免職となった職員名を公表しなかった。職務上の地位を悪用した事件である。氏名の非公表は、納税者に対する説明責任の放棄に等しい。
 官僚の経歴情報などの出し渋りや情報隠しも進んでいる。政策決定を行う幹部公務員の年齢や出身地、天下り先などの情報は、任期を知る上でも、特定地域や特定企業などへの利益誘導をチェックする上でも重要なものだ。行政の透明性を曇らせる法運用であってはならない。
 日弁連は先月下旬、法改正を求める意見書をまとめた。個人情報の種類などによって、保護する利益よりも提供する利益のほうが大きい場合は、情報提供できるよう新たに条文を加える。また、行政機関個人情報保護法に例外規定を設け、国会議員や公務員など「公人情報」の優先的提供を可能にする、などの内容だ。
 もともと法施行後、三年をめどに見直しを検討する予定で、内閣府国民生活審議会の個人情報保護部会が幅広い見地から検討を続けている。金融や医療など分野別ガイドラインの周知徹底を図る必要があるのはもちろんだが、世の中の混乱ぶりを考えてみれば、もっと法改正の足を速めるべきだろう。
 役人はとかく事なかれ主義に走りがちだ。「個人情報は隠すもの」という風潮は、法の趣旨を大きく逸脱するものだ。社会の匿名化は国民の知る権利を奪うことにもつながる。
 法を隠れみのにしたような隠ぺい主義は許されない。意図的な情報隠しが横行するようでは、制度の見直しは急務と言わざるを得ない。
中日新聞社説(2006.8.21)
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「核心」ジェンダー関連図書、撤去の背景に迫る/中日新聞(8/21記事)

2006-08-21 10:57:23 | 「ジェンダー図書排除」事件
まずは
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今日の中日新聞にジェンダー関連図書排除事件に関して、
「核心」に「福井・男女参画本撤去の背景 やまぬ圧力 行政委縮」
という、バックラッシュをふまえた鋭い切り口の特集記事が載った。



記事を書かれたのは、福井支社の栃尾敏さんと北村剛史さん。
栃尾さんは、長年、原発問題に取り組み、
現地福井から特集記事を署名入りで発信し続けている。
わたしも何度かお話したことがある。

余分な説明はいらないと思うので、
ぜひ記事をお読みください。

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 福井・男女参画本撤去の背景
やまぬ圧力 行政委縮

 福井県生活学習館が、ジェンダー(社会・文化的性差)をテーマにした上野千鶴子東大教授(社会学)の著書などを「公共施設にふさわしくない」という一部からの指摘で、ひそかに書架から撤去していた問題が波紋を広げている。著者や女性団体は、古代中国の・秦の始皇帝が行った言論弾圧になぞらえ「福井発・焚書坑儒(ふんしょこうじゅ)事件」と呼んで、討論会開催や公開質問状を出すなど徹底抗戦の構え。「男女共同参画」の取り組みに対し、全国的に目立つ「巻き返し」の動きが″事件″の背景にあるようだ。(福井支社・栃尾敏、北村剛史)

「家族の関係を軽視」「女性優遇おかしい」

 「内容が過激で不適切」と指摘した蔵書リストを作成、県に働きかけて撤去のきっかけを作ったのは、県の男女共同参画推進員の男性会社員(51)。今年初め、一日かけて生活学習館の書棚を調べ、リストを作成した。
 取材に対し「家族や夫婦の関係を軽視し、シングルマザーや離婚を肯定する本が多くあった。中高校生も来る公共施設にふさわしくない」とリスト提出の理由を説明している。二十八人いる推進員の一人として「あくまで個人の立場で」と話す。
 男性は推進員になった時からこの問題に熱心で、昨年11月、「不適切な図書」を生活学習館から排除するよう県に申し入れ、県側にあっさり拒否された。
 それから四カ月後のことし三月、本は撤去された。県の方針がかわったのはなぜか。

■館長の不在に
 「知っていれば、絶対にさせなかった」。今年三月まで生活学習館館長を務めた政野澄子さんは悔しがる。牧野さんは元県連合婦人会長で「県庁外」からの登用。″外様″の政野さんの関与を避けようとしたかのように、撤去作業は政野さんが出張中の三月、本庁の直接指示で県職員が行ったという。事前・事後報告はなく、政野さんが知ったのは館長退任後の四月だった。
 撤去を指示したのは本庁の総務部男女参画・県民活動課の前課長(女性)。上司にあたる杉本達治県総務部長は会見で「(推進員が)本の内容が問題だと何度も繰り返し訴えてきた、と聞いている」と釈明。「撤去ではなく(指摘された本の)内容確認だけだった」と苦しい弁明に終始した。
 前館長の政野さんは、異例の書籍撤去につながったのは複数方面からの「圧力」が原因とみる。
 推進員が最初の撤去要請をする一カ月前の昨年十月、県議会で自民党の有力議員が生活学習館にある上野教授の著書を名指しで批判した。こうした圧力が重なり、今回の事件を引き起こしたとみられる。
 事情を知る県職員は「推進員からの再三の撤去要求に担当課が音を上げ、影響を深く考えずに応じた。ますい対応だった」と明かす。
 「考えが気にいらんなら、言論で戦えばええやないですか」
 今年六月、大阪府立女性センター。男女共同参画や人権問題に取り組む市民団体、個人が主催した「福井・ジェンダー図書撤去事件」緊急集会で、上野千鶴子教授は関西弁で怒りをぶつけた。

■全国的に拡大
 男女共同参画やジェンダーフリーへの攻勢は、福井だけではない。▽男女共同参画推進センターがジェンダーフリーの用語を記載した市広報紙を図書コーナーから一時撤去(東京都調布市)▽女性センターの設置条例が否決され閉館(千葉県)-など、全国で相次いでいる。
 大阪での緊急集会でも、関西の自治体の男女共同参画関係者たちが「講師選びに本庁部長の許可が必要になった」「女性優遇はおかしいと議会から圧力が」と現状報告。動きの底流には「国家と家族を守れという、国家統制回帰の流れがある」との指摘があった。
 主催したメンバーの森屋裕子さんは「全国的に行政の自粛が目立つ。福井ではそれが先鋭的な形で出た。今、声を上げないと大変なことになる」と危機感を募らせる。
【ジェンダー関連本撤去問題】
福井県生活学習館(福井市)が今年3月、県の男女共同参画推進員(計28人)の一人がリストを作成し、「内容が過激で不適切」と蔵書の一部の排除を求めたのを受け、職員が書架から150冊を撤去。事態に気づいた県内外の女性議員らが抗議し、5月に戻した。撤去された本の著者と支援団体は、リストの詳細について情報公開請求したが、県は非公開に。提訴の構えを見せると突然、今月11日に公開された。請求した側は納得せず、県に対して抗議文と公開質問状を出した。
■福井県公開のリスト(主な書籍名・原文のまま)
▽スカートの下の劇場(上野千鶴子)▽1.57ショック(同)▽女という快楽(同)▽なりたい自分になれる本(同)▽ジェンダーの社会学(江原由美子)▽フェミニズムの主張(同)▽もう「女」はやってられない(田嶋陽子)▽従軍慰安婦の話(西野瑠美子)▽離婚判例ガイド(二宮周平)▽エイジズム(樋口恵子)▽結婚はバクチである(福島瑞穂)▽サブカルチャー神話解体(宮台真司他)
(中日新聞 2006.8.21)
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この事件が起きて以来、わたしは情報公開請求の当事者として、
本庁の職員に事実関係の聴き取りをつづけているが、
場当たり的な対応と無責任さにあきれ果てている。
今回の事件は、本庁の事なかれ主義と隠蔽体質が原因だけど、
統一教会に関係のある有力自民党議員を後ろ盾にした
一男女共同参画推進員の圧力に屈したというよりは、
むしろ、迎合しているのでは?と感じさえする。

そもそもなぜ女性政策を後退させようとする意図を持った
組織に所属する人が男女共同参画推進員に委嘱されたのか?
推進員の委嘱の権限は知事にあり、現場の生活学習館にはないという。
むしろ前館長は、数年前からバックラッシュを繰り返す
この人物を警戒していたというのに・・・・?

わたしも今回生活学習館サイドの聴き取りをして、
図書の撤去が起きた生活学習館は、現場の苦悩を抱え、
バックラッシュを何とか食い止めたい
という思いを持っていると、強く感じている。
わたしたちの行動は生活学習館を批判したり
攻撃したりするものではない。わたしは、
女性政策の唯一の拠点である生活学習館を、
図書を、利用者の知る権利を、バックラッシュ派から守りたい。

今回の事件で出てきた、約800枚の公文書を元に、
すべての事実関係をていねいに精査分析して、
いつ、どこで、だれが撤去を意思決定をしたのか、
背景にあるものを含めて問題を明らかにしたい。

そして、8月26日の抗議集会には、
事件の問題点を指摘するだけでなく、対抗するアクションとして、
福井の人たちも参加できる、次の一手を提案する予定。

あなたも是非、抗議集会とアクションにご参加を!

ところで、
本が届きました。



『「ジェンダー」の危機を超える!
徹底討論!バックラッシュ』

(若桑みどり・加藤秀一・皆川満寿美・赤石千衣子編著/
青弓社/1600円+税)



3月25日に、一連のバックラッシュに抗するために
東京で開催された「ジェンダー概念考えるシンポジウム」の記録です。
本の紹介記事はこちら(8/16)

届いてすぐに読んだ。
読みながら、シンポのアツイ一日が心に浮かぶ。
とってもいい本だ。

当日、所用でシンポに参加できなかった上野千鶴子さんが
序章に「『渦中の人』から」を寄稿している。

今回の、ジェンダー図書撤去事件にも関係する、
その章の、結びの一部(p31~32)を紹介したい。
 
 バックラッシュ派が市民運動の言語や手法を学んでいることは知られている。請願、ロビー活動、署名、市民参加・・・・変革の理論的な武器であった構築主義でさえ、バックラッシュ派は取りこんでしまった。とはいえ、そのような方法や理論自体が間違っているわけではない。変革の道具は、反動の道具にも使われる。というだけのことである。だとすれば、わたしたちにやるべきことは次の二つしかない。
 第一に、つね方法においても言語においても、反動派の一歩先を制することである。対抗勢力はいずれ保守派に追いつかれ、陳腐化する。ここまでくれば安心、という状態は存在しない。わたしたちはいつでも変化にさらされていることを自覚するべきだろう。
 第二に、たとえもぐらたたきのような徒労に思えようが、バックラッシュ派のいちいちの動きに、一つひとつ、その時・その場で対抗手段を講じていくことである。そうでなければ獲得した成果の足元は掘り崩され、換骨奪胎されていくことを食い止められないばかりか、バックラッシュ派に知らないうちに侵食されてしまうことになるだろう。バックラッシュ派の勢力はそれほど大きくないにもかかわらず、メディアでも政治でも行政でも、声高な主張のおかげで大きな勢力に見えている。そして失点をおそれる官僚と「不作為」をおそれる中間派とは、声の大きいほうにひきずられる傾向がある。多数派を巻き込んで潮目が一気に変わってしまえば、それに対抗するのは難しい。そうなる前に、いちいちの「反動攻勢」に対して、「待った」をかけ、横車は許さないというアクションを示すことが必要だ。 
 今回の国分寺事件だけでなく、昨年の鹿児島県議会での吉野正二郎議員(自民党)の問題発言への抗議、福井県女性センターでのジェンダー関連図書150冊の開架図書からの撤去事件とその現状回復(注7)、千葉県議会での女性センター設置条例否決への抗議、東京都男女平等参画審議会委員への高橋史郎氏の就任に対する憂慮表明など、ここ短期間のうちにいくつものアクションがとられ、そのうちの一部は着実に成果を上げてきた。フェミニズムはこれまでもノイズを発信してきたし、それからもノイズを発信しつづけることだろう。わたしたちは論争を怖れないが、互いに敵対したり排除しあったりしている余裕はないのだ。
 こういう問題に直面するといつも思い出すアジアのあるフェミニストの言葉がある--
 わたしたちは、絶望しているひまなんか、ないのよ。

(注7)福井県の図書撤去事件は、①男女共同参画推進員という行政への市民参加のしくみを利用し、②そのうちのたった一人のクレームによって百五十冊の書籍が撤去されるという点でバックラッシュ派にとってはきわめて省エネの動きであり、③しかも一人のクレームに行政が反応したという点で、官僚のことなかれ主義をよく示したものである。これに対して敦賀市議会議員の今大地晴美さんらによる住民監査請求のような正統の手続きがとられると、行政はただちにそれに対応せざるをえなくなり、百五十冊の書籍は開架書棚に戻った。その後今大地さんを中心として福井県に百五十冊の書籍リストの情報公開を求めたところ、六月十二日に福井県ち自明で、「非公開決定通知」を、それに対するさらる公開請求に対して、七月十五日に一部公開(すべての書名・著者名・出版社名を黒塗りで抹消したもの)の文書が届いた。関係者はさらなる抗議を準備中である。
(『「ジェンダー」の危機を超える!』より)
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上野さんのことばに、強く共感する。



市民運動は、あらゆる政策において、権力に対峙し、
声高に叫ぶものに対し、現場から一つひとつ着実に、
「正攻法」の異議申し立ての運動と経験を重ねてきた。

あなたも、わたしも、いままさに「渦中」にいる。

声を上げるのに、遅すぎる、ということはない。

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コメント (3)
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可憐な花ストレプトカーパス/なばなの里

2006-08-20 11:18:06 | 花/美しいもの
まずは
一期一会のクリックを

先日「なばなの里」に行ったとき、
「ベゴニアガーデン」で、とっても可憐な花を見つけた。

ストレプトカーパス(イワタバコ科)

まず、純白の花に目をうばわれた。


  

  

このストレプトカーパスは
「花がいたむので手をふれないでください」と書いてあるほど
繊細な花で、セントポーリアと同じような性質で
温室で育てる代表的な花だそうだ(知らなかった!)。

  

  

よく見ると、紫を基調にして、薄紫から赤紫、
ピンク、ラベンダー色etcといろんな花が咲いている。

オーキッドレース
  
ハッピーガール
  


   
マムズプラント               スターダスト
  

  

  

淡い紫系の花も、繊細でうつくしい。
  

  

ほかにも約150種もあるという、
ストレプトカーパスは暑さ寒さがにがての花。
花いっぱいの温室の中で、外の暑さをしばし忘れた。


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「ジェンダー図書排除リスト」問題に関する抗議集会8/26

2006-08-19 08:12:14 | 「ジェンダー図書排除」事件
福井の「ジェンダー図書排除リスト」問題に関する抗議集会まであと1週間。

わたしは主催者側なので準備などでバタバタしていて、
ゆっくりお花を撮っている余裕がありません。
お花を見に来てくださった方、ごめんなさい。

  
八重マツバボタン
  
ほふく性ペチュニア・ブリエッタ↑

まずは
一期一会のクリックを


以前に提訴集会としてご案内しましたが、
「情報非公開処分取消訴訟」がなくなりましたので、
抗議集会として内容を若干変更して開催します。

-------------------------- 転送歓迎 -----------------------------

「ジェンダー図書排除リスト」問題に関する抗議集会のご案内

 わたしたちは、今年の3月末に福井県生活学習館から153冊のジェンダー関連図書が排除された問題に取り組んできました。問題の「150冊の図書リスト」が8月11日付けで、とつぜん全面公開されたことにより「情報非公開処分取消訴訟」の必要がなくなりました。
 8月26日は提訴の予定日で、当初は「提訴集会」を開催するつもりでしたが、図書リスト全面公開に伴い、きゅうきょ「ジェンダー図書排除問題を問う」抗議集会に変更して開催したいと考えています。
 つきましては、以下に改めて、8月26日の集会のご案内をさせていただきます。
 8月26日は午後1時半から、福井県民会館にて、第一部「ジェンダー図書排除事件を問う~福井でいまなにが起きているか」に変更。第2部は予定通り「どこが危ない?!『結婚帝国 女の岐れ道』続編~ここまで危ない、結婚・夫婦・子ども」を開催します。第3部のリレートークは、公開されたリストの関係者にも参加を呼びかけていますので、時間を拡大して、情報公開請求者、排除本の著者・編者・編集者、現地・福井県で活動している人たち、集会参加者からアピールしていただく予定です。
 また、あらたな事実も判明しており、公開質問状の回答も届く予定なので、当日はお誘いあわせのうえ、ご参加いただきますようお願いします。

 -福井発・焚書坑儒事件を問う!-
どこがあぶない?!「結婚帝国 女の岐れ道」続編
ちづことさよこの爆笑トーク
~ここまで危ない、結婚・夫婦・子ども~

と き:8月26日(土)午後1時30分(開場1時)~4時半
ところ:福井県民会館・大会議室

(JR福井駅から徒歩5分)
福井市大手3丁目11-17 TEL0776-23-8400
参加費:無料(定員180名)

第1部
「ジェンダー図書排除事件を問う~福井でいまなにが起きているのか」

今大地はるみ 「福井発・焚書坑儒~わたしたちの抗議運動」 
寺町みどり  「事件のなにが問題か?~事実関係に即して」
寺町知正 「情報公開etc~制度を使ってまもる、ひらく、かえる」
上野千鶴子 「バックラッシュに抗して~後退のサインを見逃すな」

第2部
爆笑トークセッション
どこが危ない?!「結婚帝国 女の岐れ道」続編

~ここまで危ない、結婚・夫婦・子ども~
上野千鶴子+信田さよ子

第3部
リレートーク
わたしも言いたい「福井発・焚書坑儒」


主催: 福井「ジェンダー図書排除」究明原告団および有志
連絡先:寺町みどり T/F 0581-22-4989
共催:「女性を議会に 無党派・市民派ネットワーク」
--------------------------------------------------------------------


ご自分が関係者であるとお考えの方、
図書撤去や情報非公開処分にみられるバックラッシュを憂慮される方、
他人事ではないとお感じの方・・・どうぞご参加ください。

排除本の著者・編者・編集者(出版社)などの関係者、
現地・福井県で活動している方たちに、
リレートークをお願いしたいと考えていますので、
参加される予定の方は、みどりまでご一報ください。

また、メッセージをお寄せいただければ、会場で紹介します。

この問題をひとりでも多くの方に知らせたいと願っていますので、
是非、お知り合いやおともだちに転送して下さい。




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バナナウリ・オチウリ・銀泉ウリ、直播ウリとれました/ふしぎなたまご

2006-08-18 17:08:02 | おいしいもの/食について
まずは
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5月にホットキャップのなかに種を直播した、
バナナウリ・オチウリ・銀泉ウリがとれはじめた。

夏野菜アラカルト(2006.5.18)

種を蒔いたまま放任してたのだけど、
ともちゃんが見てきたら、畑にごろごろあるらしい。
畑で腐りはじめてるのもあるので収穫してきた。

  
オチウリ・バナナウリ     銀泉ウリ
  
タイガーメロン    過熟のウリたち

  
今日のお昼ご飯はウリ、瓜、うりざんまい。
うりの味見で、おなかが一杯になってしまった。

バナナ瓜は、果肉がホッコリしてて甘い。
食感もバナナみたいだけど、皮が薄くて日持ちはよくない。
果肉がオレンジの落ち瓜は、みずみずしくて香りがよい。
甘みが強くと日持ちがいちばんよいのは、
菊メロンとの交配種で白い縦じまの銀泉ウリ。
独特の食感もやみつきになりそう。
バナナウリと落ち瓜は、種を売ってないので、
来年のために、種をとることにした。

今日は、おいしい話がつづきます。

ところで、

これはなんでしょう?


これは、たまごです。

なんのたまごでしょう?

切って見ると、黄身が黒い!


小さなたまごのなかに黒胡麻がいっぱいの
「ゴマ菓子(誤魔化し)」です。
  

これは、

  


銀座たまやの「東京たまご ごまたまご」


黒胡麻たっぷりで、とってもおいしいです。


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タカサゴユリ・セイロンライティアが咲きました。

2006-08-17 18:11:51 | 花/美しいもの
まずは
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今年もタカサゴユリが咲きました。

タカサゴユリは鉄砲ユリとよく似た
大きな白い花を咲かせる「帰化植物」です。
鉄砲ユリより葉が細く、花が咲く時期が遅いのですが、
鉄砲ユリとの交雑種もあるようです。

タカサゴユリ(ユリ科)

  

  

  

近所にはたくさん咲いているのですが、
なぜかわが家の敷地内には一本もありません。

夏草が茂り始めた玄関横も整理して、
安売りの苗を植えました。



昨年のセイロンライティアの鉢は、
雪の下じきになって枯れてしまったので、
今年は軒の下に植えました。
セイロンライティアは夏から秋まで咲きつづける
清楚な白花で、大好きな花です。

  
紫紺野牡丹とセイロンライティア(2006.10.1)

こちらは、紫紺野牡丹花色より花色が薄い、
野牡丹。つぎつきに咲きます。



  

売れ残りの五色トウガラシ。150円なり。
  

地面に植えたら、なんだかいい感じになりました。

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『「ジェンダー」の危機を超える!徹底討論!バックラッシュ』3/25ジェンダー概念シンポの記録集。

2006-08-16 18:19:50 | ジェンダー/上野千鶴子
まずは
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「ジェンダー概念を話し合うシンポジウム」
の記録集が出来上がりました。


 
「ジェンダー概念を考えるシンポジウム」レポート(3/28)


『「ジェンダー」の危機を超える! 徹底討論!バックラッシュ』
若桑みどり/加藤秀一/皆川満寿美/赤石千衣子・編著
青弓社ライブラリー45/定価:1,600円+税

------------------------------------------------------------------------
【紹介】
バックラッシュに反撃する! 男女平等や性の自己決定を主張し市民権を得ているジェンダーという概念に対して、全国で曲解や歪曲に基づく批判=バックラッシュが巻き起こっている。それらの反動性を徹底的に批判し、ジェンダー概念の深化を探る。

【目次】
刊行にあたって 米田佐代子
はじめに 皆川満寿美/赤石千衣子

序章 「渦中の人」から 上野千鶴子
 1 経過――いくつものアクターが関与して日の目を見た事件
 2 評価――バックラッシュがもたらした逆説的貢献
 3 背景――根が深い反動派の動き
 4 見通し――絶望しているひまなんかない

第1部 「ジェンダー」をめぐるポリティクス
第1章 ジェンダー概念の有効性について 江原由美子
 1 問題の所在と本稿の目的
 2 学問におけるジェンダー概念
 3 ジェンダー研究の展開とジェンダー概念
 4 ジェンダー概念の有効性
 5 「ジェンダー」に対する攻撃をどう考えるか

第2章 「ジェンダー」「ジェンダーフリー」の使い方、使われ方 井上輝子
 1 運動・教育・行政用語としての「ジェンダー」「ジェンダーフリー」の登場
 2 「ジェンダー」「ジェンダーフリー」の用語法
 3 「ジェンダー」「ジェンダーフリー」使用法についてのいくつかの考察

第3章 バックラッシュの流れ――なぜ「ジェンダー」が狙われるのか 若桑みどり
 1 前提――アメリカにおけるバックラッシュ
 2 ジェンダー・バックラッシュの流れ
 3 バッシングの主たる対象
 4 バックラッシュ・キャンペーンの「主体」は誰か
 5 なぜ彼らはジェンダーを攻撃するのか
 6 ジェンダー攻撃の論点批判
 7 まとめ

第4章 「現場」からの声
 1 「ジェンダーフリー」教育の現場から 兵頭貴子
 2 性教育へのバッシング――学校の現場から 高村あい

第5章 言葉を力に――市民と行政と学界のはざまで 丹羽雅代
 1 「セクシュアル・ハラスメント」概念の獲得が女性たちにもたらしたもの
 2 教育現場での性差別を問題にすることの困難
 3 東京女性財団発行物『ジェンダーチェック』への違和感
 4 なぜ多くの女性センターや女性行政担当が『ジェンダーチェック』にとびついたの   か
 5 バックラッシュに抗して

第6章 ことばは生きている、あるいは、よりよき相互理解のために 加藤秀一
 1 ねらい
 2 「ジェンダー」概念について
 3 おまけ――「ジェンダー」「ジェンダーフリー」という言葉の問題
 4 最後に

第2部 「ジェンダー」の何が問題なのか――3・25シンポジウム全体討議

第3部 バックラッシュに抗うまなざし
 1 フェミニストの一部がどうしてジェンダーフリー概念を避けるのか 伊田広行
 2 トランスジェンダーからの攪乱的問いかけ、ジェンダー概念再考 金井淑子
 3 ジェンダーフリー・バッシングと「日本の伝統」 加納実紀代
 4 ジェンダーフリー教育が意図したもの 舘かおる
 5 「国家とジェンダー」を問う 鶴田敦子
 6 学習・思想をめぐる市民と行政 細谷 実

おわりに 若桑みどり
--------------------------------------------------------------------------

当日のパネリストだけでなく、上野千鶴子さんや
金井淑子さん、加納実紀代さん、舘かおるさん、鶴田敦子さん
も加わって、読むのが楽しみ。
23日が発売日だそうですが、待ち遠しい思いです。

3月のシンポがもう本になるなんて、
編集にたずさわったみなさま、ほんとにご苦労様。

------------------------------------------------
PS:
1月になくなった連れ合いの父親の初盆なので、
近しい人から、お供えが届く。
マスクメロンと完熟巨峰をありがたくいただいた。

  

庭には、昨年植えたワレモコウの赤い花が咲き始めた。
花は清楚だけど、株は背丈ほどの高さになり、
地下茎でドンドンふえるという。
植えるところを間違えたみたい。

  

ワレモコウ(バラ科) は、
「吾木香」「割木瓜」「吾亦紅」など、
いろんな漢字が使われる。

「吾も亦(また) 紅(くれない)なりと
ひそやかに」 高浜虚子



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「女性センター図書選定基準」を入手/福井県男女共同参画審議会議事録(5/22,7/3)も。

2006-08-15 17:19:32 | 「ジェンダー図書排除」事件
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福井県生活学習館(ユーアイふくい)で、
154冊の図書が一時撤去されていた事件について
「5月2日以降のすべての文書」について、
第3次の情報公開請求していたところ、
今日71枚の公文書が郵送で届きました。

ほとんどがこの事件に対する県民個人や団体からの意見です。
一部公開されたもの7件は、撤去に批判的な意見ばかり。
「全面非公開」で、黒塗りの紙もでてこないものも多く、
電話で担当課に聴き取りしたところ、合わせると53件。
撤去のときと同じく、戻す判断をしたときも、
「意思の経過がわかる文書」はなにもありません。

このなかに、
「女性センター図書選定基準」なるものを見つけました。
福井県生活学習館の設置の翌年に施行されたものらしい
のですが、11月28日に、男女参画・県民活動課長が、
「書籍の選定に当たっては、全国の男女共同参画センターにおける
推薦・紹介の状況や女性問題専門書店での取り扱いを参考にしており・・・」
と「選定基準はない」ととれる回答をしているので
なんとも不思議な感じです。使われてなかったのかしら???




-------------------------------------------------------------------
             女性センター図書選定基準

次の1~6のいずれかに該当する図書を購入対象とする。
ただし※は購入対象から除外する。

1 「ふくい女性ソフィア」および「ふくい女性大学」の講師から推薦のあった図書
2 国立婦人会館に収蔵されている図書のうち、「女性・女性問題」に分類されるもの
3 女性問題図書総目録(女性問題図書総目録刊行会発行)に記載されている図書のうち、「女性論」「男性論」「女性史」「家・家族」「性・からだ」「労働」のいずれかの項目に分類されるもの
4 女性の社会参加を促進するために必要と考えられる図書のうち、本館の女性センター図書の分類(「女性問題・男性問題」「女性史」「性・からだ」「家・家族・福祉」「仕事・労働」「教育・その他」)に該当し、理解が比較的容易で女性問題の入門者が読むのにふさわしい図書
5 女性問題を研究する上で必要な歴史的文献
6 福井県の出身、あるいは福井県に縁の深い女性問題運動家・研究者、文学者の活動に関する著作や文献

※特定の女性団体等の歴史をテーマにした図書
※文学全集等、一般の図書館で閲覧可能な図書
※健康法等、単に技術・ノウハウを開設した図書

附則
平成8年3月3日施行
平成9年1月15日改正
---------------------------------------------------------------------------

この図書選定基準を読む限り、150冊の本には、
排除されなきゃいけない理由は何もありませんね。

ところでこの間、5月と7月に
福井県「男女共同参画審議会」が開かれていたはずで、
審議会の議事録を探したのですが公開文書に入っていません。
「なぜこの議事録が入ってないのですか?」と尋ねると、
「公開請求した日にはできていなかった」とのこと。
今日までにはできている議事録を資料提供してもらいました。

以下は、5月と7月の議事録です。
5月の分は、HPで公表しています。

  

 
第一回「男女共同参画審議会議事録」
----------------------------------------------------------------------
●男女共同参画審議会議事録
1 開催日時
  平成18年5月22日(月)13:30~15:30
2 開催場所
  県庁特別会議室(7階)
3 出席者
 (1)委員 10名(全員出席)
 (2)事務局
    杉本総務部長、田島男女参画・県民活動課長、男女参画・県民活動課員、
    福井県男女共同参画推進会議幹事課
4 審議内容

       ( 略 )
委員: 生活学習館における不適切な図書についての大枠の説明があったが、不適切な図書とは具体的に話せない内容なのか。
事務局: 図書の問題に関しては新聞等で報道されているが、本のタイトル、著者名は公表を控えている。
事務局: 不適切とは、撤去を申し入れた本人が言っていることであって、県は、不適切とは考えていない。ただ、人権侵害、個人の誹謗中傷や個人攻撃、犯罪奨励等、中身そのものが公益を著しく阻害することはいけないので確認をした。しかし、一切、その中身がどうかとかしていないし、図書をしまって見せないようにしたわけでもなく、その作業のため一旦、引いていたのであり、本人が自分で公表されているものが、報道されているのであって、県として、図書の検閲とか中身のチェックのために撤去したことは、一切ない。
委員: 言われている図書は、公立図書館にも置いてあるのか。
事務局: 生活学習館は男女共同参画センターとして、男女共同参画に関する専門図書の品揃えは、一般図書館よりは多い。
委員: 指摘を受けた図書は、専門書ということか。
事務局: 150冊の中身は、専門書かといえば、いずれも公刊されており、どこの図書館に置いても問題のない図書である。公立図書館にあるかどうかはわからないが、あってもおかしくない。生活学習館としては、男女共同参画について調べたい時は、どこの図書館よりも充実しており、ここに来れば県立図書館で調べるよりは充実している蔵書にしようと努めている。
会長: このような図書の問題については、当審議会で話をしてもらうことが必要でないかと思う。当委員会の委員は男女共同参画にかかる重要事項についての調査、審議、建議、県施策に関する苦情申出に対して意見を言う役割がある。図書の移動については、県が申入れを受けて決定し、一旦後ろに引っ込めて確認をした後に、元に戻したのだが、この件をめぐり公開質問状などが幾つか出されているということの新聞報道等がされているが、審議会でその旨についてどのようなことがあったのか、知らせてもらうことは必要であると思う。
事務局: 本日の審議会で、資料等を示して説明させてもらえばいいのか。
会長: 次回の審議会で示してもらえればいい。
会長: 相談苦情の内容で、図書の内容が不適切と言っているのは、他人の人権を侵している、誰か個人を誹謗中傷しているという申し出があったということか、また、報道されている150冊の本のリストは、本人が示したものなのか。
事務局: 申出の内容は、個人にかかる内容なので詳細には言えないが、本人の考え方によるとおかしいのでないかということである。本人とのやりとりの中で、意見があったことを真摯に受け止め、別の観点から本当に不適切なものがあるのかどうか確認することにし、その確認のための期間があったということである。
 どの本なのかについては、マスコミでの一部報道もあるが、県は一切公表していない。本人が公表している報道もあるが、県が別の観点で確認しているにもかかわらず、図書の内容が不適切であるがごとく県が調べているとの扱いをされることを心配しており、県は一切公表していない。
会長: 本人の申出とは違う観点での対応で行ったというが、たまたま対応時期が一致したということか。
事務局: たまたま、一致したというか、本人が不適切と言ってきていることに対し、本人の考え方があると思うが、県として人権に関することに関しては確認する必要があると考え、購入時にも確認しているが、再度、確認をしたのである。
会長: 苦情申出の回答にもあるが、図書を肯定的に読むか、否定的に読むかは、読む人の自由である。この件はその後続があって議論になっているところだと思う。
(次回審議会:7月3日開催)
-----------------------------------------------------------------------

 
----------------------------------------------------------------------
●平成18年第2回 男女共同参画審議会 議事録
1 開催日時
  平成18年7月3日(月)13:30~15:30
2 開催場所
  県庁特別会議室(7階)
( 略 )

事務局:  前回審議会の会議録を資料として添付しており、県ホームページで公表する。・・・・・・・・
 生活学習館の図書に関して、経緯を報告する。
 昨年11月に県民A氏から男女共同参画の推進に不適切との苦情申出書が知事あてに提出された。県からA氏に11月28日付けで、「多様な情報の提供は必要なのでご理解いただきたい」と回答。その後、県とA氏間でやりとりがあり、その過程で図書リストの提出があった。(1月~2月中)。生活学習館では、申出に対応するため、再確認をすることにし、作業の都合で書棚から図書を取り出し事務室へ移した。一時的な措置で貸出を求められれば、いつでも閲覧・貸出ができる体制を整えていた。確認作業後、5月15日の休館日に図書をすべて書棚に戻している。5月には新聞各紙で報道され、県民からのメール、FAXによるご意見をいただいた。県では、男女共同参画に関する考え方は様々で、これらに関する情報の提供は学習する上で必要と考えている。図書の購入に際しては、選定基準に基づき適正に購入しているが、今後は、外部委員を含めた委員会に諮りながら多様な情報の提供を適切に行っていきたいと考えている。
会長: 今回は、男女共同参画の推進の仕方について、一部問われたことと、公共図書館での図書の取り扱い方に関連することで、県内外から多くの意見が出ているが、今後、県では男女共同参画社会基本法、県推進条例等に沿う妥当な対応をお願いしたい。
 県条例第21条に苦情手続きがあり、苦情にどう対応するかは知事の判断とある。審議会としては、知事の判断に事後的に説明を求めることは今後もある。どの苦情の案件について、審議会に諮るかは明確でないが、今回のような案件を蓄積していくことで、明確になるのではないかと思う。
-------------------------------------------------------------------------


午後になって、
8月11日に福井県図書撤去事件で非公開になっていた
ジェンダー図書が「公開」されたが、その関連の
新聞各紙の記事が今大地さんからFAXで届いた。
まだ紹介していないもののみ、本文をアップします。

 

日刊県民福井2006.8.12)

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県、153冊の一覧全面公開 フェミニズム関連図書撤去
東大教授ら提訴取りやめ

 県生活学習館がフェミニズム関連の書籍を一時撤去した問題で、県は11日、「(撤去を要請した)リスト作成者が公開に同意した」などとして153冊の一覧を全面公開した。これまでに著者や市民団体から3件の情報公開請求があり、県は書名や著者名を黒塗りにして「一部公開」としていた。突然の方針転換に、公開を求めて提訴する方針を表明していた著者の一人、上野千鶴子・東京大教授らは『非公開はそもそも違法だった』と批判している。
 杉本達治総務部長らが記者会見し、リストを公開。「県の情報は原則公開で、リスト作成者や著者の一部も公開を望んだ。県民の関心も高く、総合的に事情が変化したと判断した」と説明。一方で、これまでの実質非公開については「個人情報をみだりに公開しないという観点から妥当だった」とした。
 上野教授らは提訴を取りやめるが、一連の経過について抗議文と、一時撤去の不当性を問う公開質問状を西川知事あてに送った。リストを公開請求した他の2団体も「早く全面公開するべきだった」「もっと説明責任を果たすべきだ」とした。
 上野教授らは26日午後1時30分に福井市の県民会館で予定していた提訴集会を、他の著者にも呼びかけ抗議集会として開く。
(2006.8.12 読売新聞)
------------------------------------------------------------------------

 
(朝日新聞 2006.8.12)
(中日新聞 2006.8.12)

-------------------------------------------------------------------------
ジェンダー関係リスト、一転公開 
県、同意得られたと

 福井県生活学習館(福井市下六条町)が県民からの指摘でジェンダー(性差)関係の書籍約150冊を一時撤去し、そのリストを非公開にしていた問題で、県は11日「(リストを作って指摘した)本人から同意が得られた」などとして、リストを一転公開した。公開を求める訴訟を準備していた社会学者の東大教授、上野千鶴子さんらのグループは提訴を取りやめる方針だが、「撤去に関して説明や謝罪がない」と反発を強めている。
 公開されたリストには上野さんの「スカートの下の劇場」「性愛論」「女という快楽」や「フェミニズム論争」(江原由美子さん著)「離婚判例ガイド」(二宮周平さん)「結婚はバクチである「一時撤去で、リストにある著者、翻訳者、編集者、出版社の権利が侵害された」とする抗議文を県に提出。「当初の非公開決定が違法だったのではないか」などと詳しい説明をするよう求めている。(平野光芳)
(毎日新聞 2006.8.13)
---------------------------------------------------------------------------


上限の一万字を超えそうなので、今日はこのへんでさようなら。
ふーっつかれたー。ではまた。


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夏の花たち/トーチリリー・カクトラノオ・千日紅・百日草・日々草

2006-08-14 11:54:18 | 花/美しいもの
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お花のランキングに登録してるのに、あれこれ忙しくて
お花をアップする暇がなかったので、
早起きして、家の周りの花を撮ることに・・・。

久しぶりの田んぼには、稲がスクスクと育って
葉に朝露を光らせて、いい感じ。


畦には、どこから種が飛んできたのか、百日草が咲いている。

  

  
ちなみにこちらは、庭の千日紅と、
  
「なばなの里』で撮った日日草。
  

カラカラお天気もひと段落で、昨夜は雨がふったらしい。
夏の花、グラジオラスがひときわ朝日に映えている。
  

昨年植えたカクトラノオも花をつけ始めた。
  

どんな過酷な条件でも、夏の間中、
つぎつぎに花芽を伸ばすトリトマ(トーチリリー)
たいまつのようだから「たいまつユリ」ともいう。
  

散歩でひと汗かいたので、
さちさんから届いた「完熟飛騨桃」を食べた。
    
ほどよく冷えて、甘くておいしい。
  

こちらは、選挙講座前日の夕食のおかず。
  
夏休みで家に帰ってきたまどかくんが、
特製カツオのたたきに挑戦。
わたしは、大量のピーマン消費するために、
「黒豚のチンジャオロース」をつくった。


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8月26日の集会は予定通り開催します。/第三弾~福井「一部公開決定通知書」届く。

2006-08-13 07:29:47 | 「ジェンダー図書排除」事件
まずは
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おはようございます。
この二日間は選挙講座の講師を引き受けているので、
「ウィルあいち」からの発信です。

150冊の図書リストが公開されたので、
予定していた8月26日の提訴集会をどうするかについて、
急いで上野さんと呼びかけ人4人で相談し意思決定しました。

以下は、上野さんからの呼びかけです。
---------------------------------------------------------------------
次のステップとして
1)情報公開を求める行政訴訟の必要はなくなりました。
したがって原告の方で福井地裁にお越しの予定の方は、その必要はなくなりましたが、

2)8/26@福井の集会は、予定通り実施します。
一連の「ジェンダー図書撤去」の事実に対して抗議する必要はなくなっていないからです。

3)書名のリストを見るともっと多くの方々がこの件で著者、翻訳者、編集者、出版者としての権利の侵害を受けておられることが判明します。ご自分が関係者だと思われる方は、どうぞ福井の抗議集会に出席してご発言下さい。
--------------------------------------------------------------------------

公開された書籍リストのPDFファイル(1.24MB)
 
8/26集会チラシPDFファイル(A4表・裏2枚)

8月11日に、福井県が「ジェンダー図書撤去」事件の図書リストの
「一部公開」処分を翻して「全部公開」とし、
そのリストがFAXで請求代表者のみどりあてに届いたことは、
すでにお伝えしました。
この福井県の、唐突できわめてイレギュラな処分変更に対しては、
11日付けで福井県知事に「抗議文」と「公開質問状」を送付しました。

この件では、8月11日付の「公開決定通知書」と、
全部公開の「150冊の書籍リスト」が交付された時点で
わたしたちの「情報非公開処分取消訴訟」の訴えの利益はなくなりました。
マスコミ各社からは、「訴訟は取り下げるのですか?」
「8月26日の集会はどうするのですか」
と問い合わせが相次いだのですが、
「取り下げるもなにも、提訴は26日の予定だったのですから、
まだ生まれていないまぼろしの訴訟になりました」(笑)。
「リストの公開を求める訴訟はなくなりましたが、
関係者によびかけて、県がリストを排除した事実に抗議し、
図書の排除自体を問うという趣旨に内容を一部変更して開催します」。

訴状もほとんどできあがっていたので、
県の処分の違法性を、司法の場で決着をつけられなかったのは、
ちょっぴり残念ですが、「リストの全面公開」を求めるわけですから、
「所期の目的は達成できた」ということです。

とはいえ、
図書の排除のときと同じように、知事処分が、
ほとんど全部非公開から、一転して「全部公開」となったのに、
「見直しの理由」が、請求者側に提示されていません。

田島和子男女参画・県民活動課長の電話での説明によると、
理由はふたつあるそうで、ひとつめは、
「昨日リストをつくった本人が来て出してもよいと言ったから」。
おもわず、「近藤さんって知事だったのですか?!」。
「その方の考えが分かるということで、
リストを作成した個人の情報を保護していた」が、
書籍リストが非公開処分になってから近藤さんは、
時々、生活学習館に来てリストを公開せよと言っていたとのこと。
なら、さいしょから非公開の理由はなかったはず。
二つ目の理由は、
「著者の二人から公開してほしいと言われたから・・・・・・」。
「えっ、著者で公開してほしいと要望された人がいるのは初耳です」
「それはどなたですか?」と尋ねたら、「上野さんと江原さん」。
それって、請求人のことじゃん、と思って
「おかしいですね、個別に要望されたとは聞いていません」
「それは著者が公開請求者に入ってるということ?」と聞いたら、
「請求者に著者のお二人がはいっていたから」と言いなおされ、
「今回の意思決定をされたのはどなたですか?」と尋ねたら、
「わたしです」とのこと。
大事なことだから、お互い誤解があるといけないし、
わたしもブログに不確かなことを書きたくないから、
ということで、県の「非公開を公開に見直した理由」の文書を、
記者発表までに届けてもらう約束をしましたが、
いまだに届いていません。

ということで、聞き取ったメモの範囲の報告です。

県の言い分は、処分変更の理由にもなりません。
そもそも近藤氏は「男女共同参画推進員」だから個人情報にはあたらない。
その上、当初よりあちこちにリストをばら撒いてて、
公開してほしい意志は明らかだったわけですし、
著者のおふたりが公開を望んでいることくらい、
情報公開請求書が届いた時点で理解できたはず。
知事の行政処分(決定)が当事者の意向で変更なんておかしい。
それも相手は排除の張本人。県と近藤氏は近い関係のようです。
図書リストは、そもそも全面公開すべき文書だったわけで、
県としての責任のがれ、と言わざるをえません。

非公開決定には、条例上「公開しない理由」が明記されるわけですから、
本来なら「県の条例解釈に間違いがあったから、
非公開処分を取消し、公開することにした」となるはずです。
なんとか訴訟を回避したいというのが本音なのでしょうが、
このような場当たり的な対応は、情報公開制度を骨抜きにするものです。

3時に記者会見を開く、というので、
「なぜ?」「なんのために?」と聞いたのですが、
「リストを公表するため」というばかり。
「記者会見で謝罪されるのですか?」と聞いても、
「どうして(あやまらないといけないの)ですか・・・・?」。
処分を間違えたから、公開するんでしょっ(怒)。

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撤去図書リスト、一転公開
県生活学習館の女性本問題(日刊県民福井2006.8.12)


『作成者が望んだ』県、当初判断『誤りない』
 福井市のユー・アイふくい(県生活学習館)で男女共同参画関係の図書が一時撤去された問題で、県は十一日、情報公開請求に対して非公開決定をしていた撤去図書リストの書名などを一転して公開する決定をした。 (畑結樹)

 非公開決定をめぐり、リストに著作が含まれていた東大の上野千鶴子教授(社会学)らは決定を不服として、書名などの公開を求めて二十六日に提訴する方針でいたが、これを見送ることにした。
 杉本達治県総務部長は会見で、公開とした理由について▽書籍リスト作成者が公開を望む考えがあることを確認した▽書籍の著者の一部からも公開を望む声があったこと-など「事情が変わった」ことから、「県民の知る権利を守るため公開した」とした。当初、非公開としたことについては「誤りはなかった」と述べた。
 問題発覚後、県には書籍リストの公開を求めて三件の情報公開請求があったが、いずれも書名や著者名などは非公開となり、うち一件については、異議申し立てが出されていた。
 同学習館では、昨年十一月に学習館の学習事業企画推進員の一人から「過激で性的な表現のある書籍は置かない方がよい」と書籍リストとともに申し入れを受け、今年三月末に「書籍の内容について調査するため」として、書籍を書架から事務室に移し、五月に戻した。
 予定していた訴訟の原告団長の上野教授は「提訴に踏み切る決断で公開につながったが、県の一連の対応や説明には一貫性がない。福井の事例は氷山の一角で、“自主規制”などが行われている事例は各地にあると思う。行政には男女共同参画条例や基本法に基づいた一貫性のある政策を求めたい」と話している。

提訴の直前、異例の決定
 県生活学習館で行われた図書の一時撤去問題にからみ、方針を一転させ一時撤去した図書リストを公開した理由について県は十一日、リスト提出者の同意という「事情変更」としたが、情報公開請求者が示していた提訴日を前にした異例の決定には、釈然としない部分も多い。
 県庁で記者会見した杉本達治・総務部長は「リスト提出者から、公開してもよいとの意向が、十日に最終確認できた。情報公開制度の趣旨から、可能な限り早く公開することにした」と述べた。しかし「県公文書公開審査会の答申などを経ず、県が決定を変更した例は過去にない」と認め、極めて異例の対応であることをにじませた。
 その上で「これまでの県の判断に誤りはない。事情が変わったということ。対象の図書については決して撤去ではなく、あくまで作業の一環」との主張を繰り返した。
 一方、リストの公開を求めていた上野千鶴子・東大教授らはこの日、「リストに記載された本の著者や出版社は、一時撤去によって権利が侵害されたことが証明された」などの内容の抗議文を西川一誠知事に提出した。
 さらに、一時撤去や非公開決定が違法行為に当たらないかなど、県の見解を問う公開質問状を出し、二十一日までに文書で回答するよう求めた。 (北村剛史)
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11日のゴタゴタの最中に、
第三弾として、呼びかけ人の4人で情報公開請求していた、
「一部公開決定通知書」が届きました。

請求したのは、今回の事件に関して5月2日以降の「すべての公文書」。
以下の71枚が、週明けにも公開(郵送)されてくる予定です。





図書リストは全面公開で、
隠す理由は何もなくなったわけてすから、
月曜日にあらためて、今回の一連の経緯について
聞き取りをするつもりです。

  

  
夕方、家にかえったら、
ムクゲの花が咲いていました。


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