みどりの一期一会

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<森会長辞任>◆どんな権力者も差別は致命傷に(上野千鶴子)/世論に鈍く遅すぎた決断だ/組織のうみを出し切れ/

2021-02-12 23:05:28 | ほん/新聞/ニュース
今朝の中日新聞の2面「核心」に<森会長辞任>の大きな記事。
その記事中に囲みで上野千鶴子さんのコメントが掲載されていました。
上野さんのことばは、いつ読んでも的確でカッコいい。

 
 個人の問題で片付けず、「おかしい」と言える土壌を<森会長辞任> 
2021年2月11日 東京新聞

 女性蔑視発言を巡る批判の高まりに、東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長(83)が辞任の意向を固めた。「最後まで対応が遅すぎた」。大会を支えるボランティアや発言に抗議をしてきた人たちの多くは「辞任は当然」と受け止めた。トップの交代で問題は幕引きとなるのか。「辞任は終わりではない」と、社会を変える契機にすべきだという声は根強い。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(中略)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

◆どんな権力者も差別は致命傷に
上野千鶴子東大名誉教授
 上野千鶴子東京大名誉教授(社会学)の話 辞任は当然。ツイッターの「#わきまえない女」などで女性の怒りが噴出し、「誰であっても差別的な言動は看過しない」という世論の盛り上がりに圧された。これからはどんなポストにいる権力者であれ、性差別的な言動が致命傷になるということを学ぶ契機になるだろう。これは森会長個人の資質の問題ではない。同調した組織委の体質、現役アスリートの発言が出てきにくいスポーツ界の体質、女性に「わきまえ」を要求する日本のホモソーシャル(女性・同性愛者嫌悪に基づく男性同士の連帯)社会の抱える問題がつきつけられた感がある。  


  日本は変わった…上野千鶴子が語る「在宅ひとり死のススメ」と「介護保険に対する危機感」2021.2.12現代ビジネス

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全国の地方紙でも「森会長辞任」を論じる社説が多い。
それだけ問題が大きいということだろう。

社説(2/12):森会長辞任へ/世論に鈍く遅すぎた決断だ. 
2021年02月12日 河北新報

 東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長(83)が女性蔑視発言の責任を取り、辞任する意向を固めた。遅きに失した幕引きだ。
 東京五輪は、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大で史上初めて延期となり、開幕まで残り半年を切った。感染を抑え込めるか不透明な中、今夏の開催可否を最終判断するタイムリミットが迫っている。
 組織委トップの失態が及ぼした影響は計り知れない。開催に懐疑的な見方が広がっており、五輪への国民の期待がさらにしぼみかねない。
 後任は日本サッカー協会元会長の川淵三郎氏(84)が就くとみられる。政府と組織委、開催地東京は国内外の信頼を取り戻すため、一丸となって体制の再構築を急がなければならない。
 森氏は3日の日本オリンピック委員会(JOC)臨時評議員会で「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」などと発言。翌4日に「五輪・パラの精神に反する不適切な表現だった。深く反省している」と謝罪した。
 発言を撤回したものの辞任を否定し、記者会見での態度がさらに火に油を注いだ。
 国際オリンピック委員会(IOC)は当初「この問題は決着したと考えている」と不問に付した。しかし、収束に向かわず、選手や五輪スポンサー企業から批判や苦言が相次ぎ、大会ボランティアの辞退も続出している。
 IOCが一転、森氏の発言は「完全に不適切だ」と指摘する声明を出したのは、世論の風向きを読んだからだ。
 組織委と政府は事態の収拾に動かず、責任回避に終始した。国内外から厳しい批判と不信の目が向けられているにもかかわらずだ。
 組織委は政府と別組織だとして、政府は森氏の進退について言及を避けてきた。
 菅義偉首相は森氏の発言を「あってはならない」と評したものの、「組織委は公益財団法人だから、首相として(森氏の進退を)主張することはできない」と語った。
 JOCの山下泰裕会長は「会長職を最後まで全うしていただきたい」と述べた。政府とJOCトップの発言は、女性蔑視を黙認し、森氏を擁護していると受け止められてもやむを得まい。
 森氏はスポーツ界に強い影響力を持ち、政財界との強固な人脈を生かして五輪の開催準備をけん引してきた。功績は大きいとはいえ、差別の解消に向けて取り組んできた人たちの努力をないがしろにした責任は免れまい。
 図らずも日本は男女平等の社会づくりが遅れていることを印象付けた。森氏個人の問題にとどめてはならないし、人事の刷新で済まされまい。
 国際社会の信任を得るためには、日本社会に根強く残る旧態依然の体質を直視し、改める行動を起こすことが急務だ。


 <社説>森会長が辞意 組織のうみを出し切れ. 
2021年02月12日 琉球新報

 女性蔑視発言で国内外から批判を浴びる東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長が、辞意を固めた。辞任を求める世論の高まりに押し切られた形で、12日の組織委で表明するという。

 本来であれば発言を撤回するとした時点で、責任を取って辞任すべきだったはずだ。遅きに失している。ジェンダー平等や個人の自由への意識が低い国として、国際社会における日本の地位を低下させた責任も重大だ。
 東京五輪の運営やスポーツ界が信頼を取り戻すためには、大会組織委の会長を替えるだけでは十分ではない。ましてや組織に残り影響力を行使するなどもってのほかだ。男性中心や上意下達がはびこる組織のうみを出し切り、多様性と透明性の尊重を国民に示していく改革が必要だ。
 森氏は3日の日本オリンピック委員会(JOC)の臨時評議員会で「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」「組織委の女性はわきまえている」などと発言した。性別とは関係ないレッテル貼りで偏見や差別を増長させることに加え、自由な意見を言わせない言論封殺という問題もはらんでいる。
 多様性を重んじる現代社会にあって時代錯誤も甚だしい。失言を繰り返す森氏に、五輪を率いていく資質がないのは当然だ。だが、問題は森氏個人だけではない。
 今回の発言は、スポーツ界に巣くうパワハラ的な体質を表出させたともいえる。大学アメリカンフットボールの悪質タックル問題のように、閉鎖的な組織内の暴力やセクハラが問題になってきた。
 森氏の発言にアスリートからも厳しい批判の声が上がる中で、組織委やJOCの自浄作用は働かなかった。異論を排して意思決定を進めるトップの振る舞いを、組織が容認してきたことを自覚し、本来の理念に立ち返ることだ。
 五輪憲章はあらゆる差別を禁じており、中でも男女平等の理念は大きな柱の一つだ。
 国際オリンピック委員会(IOC)は9日に、森氏の発言を「完全に不適切だ」とする声明を発表した。当然の見解だ。だが、一時は「この問題は決着した」と不問に付しており、不可解さが残る。
 東京五輪の開催には、IOCのバッハ会長と緊密な関係を築く森氏の存在が不可欠と言われてきた。一方で、五輪の運営は複雑な利害が絡み合い、招致活動における不透明な金の流れなどの問題も指摘される。国民の信用を取り戻し開催に向かうならば、透明性と情報開示が必要だ。
 政府与党は事態の沈静化を図ろうとし、菅義偉首相が森氏に辞任を求めることはなかった。五輪ボランティアの辞退続出にも、自民党の二階俊博幹事長は「辞めたいなら新たに募集する」と意に介さず、火に油を注いだ。
 時代錯誤の認識を擁護してきた政治の体質こそ、厳しく問わなければならない。 


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