みどりの一期一会

当事者の経験と情報を伝えあい、あらたなコミュニケーションツールとしての可能性を模索したい。

記者の目:妊娠しても流産繰り返す不育症=五味香織/秋の庭:白萩・白芙蓉・秋明菊

2011-09-22 06:22:54 | ほん/新聞/ニュース
台風が通り過ぎた庭。
秋も深まってきました。

   白萩
   

   

   秋明菊
   

   

   白芙蓉
   

   

  

   


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「こうのとり追って:第3部・不育症」を連載していた
友人の五味香織さんが、昨日の「記者の目」に登場。
生活報道部にいかれて以来、ずっとこのシリーズを精力的に担当してみえます。

先週最終回を迎えた「IS男でも女でもない性」のテーマになった「性分化疾患」も、
毎日新聞で取り上げられたことがきっかけで、広く知られるようになりました。

「こうのとり追って:第3部・不育症」の記事(みどりの一期一会) 

 記者の目:妊娠しても流産繰り返す不育症=五味香織 

◇自力で解決できぬ苦悩 理解を
 病院で検査を受け異常がなかった時、「よかった」と思えないのはどんな時だろう。流産や死産を繰り返す「不育症」患者にとって、異常がないことは「治療の手立てがない」という残酷な意味を持つ。
 子供を持つことをテーマにした連載企画「こうのとり追って」の第3部(8月23~31日)で、不育症を取り上げた。取材を通して改めて感じたのは、命とは人の手が及ばないものであり、だからこそ患者には心の支えが必要ということだ。少しでも多くの人が不育症を知ることから、「支え」の裾野は広がると思う。

 ◇65%が原因不明 治療法がない残酷
 不育症は、妊娠することが難しい「不妊症」と混同されがちだ。厚生労働省研究班の報告では、妊娠経験がある女性の4.2%に起き、年間3万人が発症すると推定される。胎児への血流が妨げられる血液凝固異常や子宮の形態異常など原因があるのは少数派で、65.3%が「原因不明」だ。検査で原因不明とわかると、みな「どうしていいかわからない」と途方に暮れる。子供を得るため、残念な結果を覚悟で妊娠を重ねることしか、手だてがない。
 取材では、不安と苦しみにもがく人に多く出会った。
 5回の流産を経験した愛知県稲沢市の女性(32)は、現在の妊娠が分かった時、「うれしいはずなのに2日間、不安で泣いてばかりいた」。診察台に上がるたび「心拍が止まっていたら」という嫌な予感に脅かされる。やはり5回流産した東京都の女性(43)は自分の無力さを強く感じたという。「だめになるのを見ているしかない。仕事のように努力すれば結果が返ってくるものではない。普通の人は当然のように産めるのに、なぜ私が……」と思い続けた。
 不育症の患者は、無遠慮な言葉にもひどく傷つけられている。流産すると「よくあること」「無理したんじゃないの」。大阪府の女性(41)は不妊症と比べられ「妊娠するだけまし」と言われた。4回流産しても願いはかなわず、今は治療から距離を置く。「自分は普通以下。一生引きずると思う」と目を伏せた。
 不育症の専門医で、自らも患者として苦しんできた人がいた。慶応大病院で不育症外来を担当していた女性医師(39)は4回の流産を経験し、「なぜ自分が」と答えのない自問を重ねてきたという。友人に「子供は親を選んで来る」と言われ、傷ついた。
 つらさの中で、気づいたこともある。この女性医師は流産後、夫が夜中うなされたり、ひそかに泣く姿に、悲しみを共有できる温かさを感じ、「夫とでなければ乗り越えられないと何度も思った」。

 ◇寄り添う人の存在が救いに
 慶大病院では「不育症学級」の講師を務めた。「自分がいけなかったのか」「妊娠するのがこわい」--。押しつぶされそうになっている患者を前に、「不安にも、前向きな気持ちにも寄り添います」という言葉を伝えた時、深くうなずく参加者が多かったという。臨床心理士が「子供を授かることや治療には、これぐらい頑張ればいいというものがない。悲しんでいいのです」と呼びかけた時は、自分自身の心に言葉がしみていくのを感じたという。効果的な治療法が見いだせない患者の救いとなるのは、寄り添ってくれる人の存在なのだろう。
 取材で会った人の中には、悲しい結果を迎えた人もいる。3回目の妊娠をしていた東京都港区の女性(36)は9月上旬、死産に至った。病院へ駆けつけた夫に「ごめん」と謝ると、泣きながら「お前がいればいいんだよ」と言われ、心が慰められた。夫は仕事を休んで病院に付き添い、退院後も泣いてしまうと、落ち着くまでそばにいてくれるという。女性は悲しみの中にありながら、「この人と結婚してよかったと思っている」と胸の内を明かしてくれた。
 研究班の報告では、妊娠経験がある女性の38%が流産を経験していた。私はその多さに驚いた。自らの経験を明かさない人が多いのだろう。連載に、妻が流産したばかりの男性から感想が寄せられた。「人ごとのように思っていたが、本当につらい」という。
 わが子を失った経験者でつくる自助グループや、心の痛みを和らげる取り組みを進める病院もある。医師や助産師らによる支援団体も発足した。こうした活動とともに、不育症への理解が広がってほしい。流産や死産は誰かのせいではないということ、身近にもつらい思いをした人がいるかもしれないことを、多くの人が知ってほしいと思う。(生活報道部)
毎日新聞 2011年9月21日


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1 コメント

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不育症イベントのお知らせ (くみにゃん)
2011-11-12 14:24:06
不育症で検索したらたどり着きました。
再来週不育症のイベントがあるので、よかったら紹介させてください。
関東と関西で、不育症友の会の講演会です。
http://www.heartbeatclub.jp/cgi-bin/page/kouen/kouen.htm
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