みどりの一期一会

当事者の経験と情報を伝えあい、あらたなコミュニケーションツールとしての可能性を模索したい。

今夜7時30分~NHKクローズアップ現代「子どもを放射能から守りたい~母親たちのネットワーク革命」

2011-09-26 08:28:23 | 地震・原発・災害
昨夜10時から11時半まで、NHK総合 【ETV特集】で放送された、
「原発事故への道程 / 後編 そして“安全”は神話になった」をみました。
このシリーズ「原発事故への道程」の前編は、「置き去りにされた慎重論」。
「事故はぜったいに起こらないので想定も不要」の安全神話を前提に、
安全への疑問をだれも口にすることもできなくなっていく
行政と業界、学術界の「原子力ムラ」の様子が、当事者の証言で明確になっていきます。

原子力を推進してきた人たちが、福島の事故が起きて反省を口にしながら、
なお「原発推進」の信念を変えていないことに、根の深さを感じます。

昨日の山口県上関町長選では、原発「推進派」の町長が3選を果たしました。
開沼博さんの「フクシマ論-原子力ムラはなぜ生まれたのか」に書かれていた、
もうひとつの「原子力ムラ」を崩すのも簡単ではないようです。

【社説】上関町長選 原発マネーと別れよう 

 原発新設への賛否が地域を二分する山口県上関町長選は、推進派の現職が三選した。だが今や新設は不可能だ。原発で町はつくれない。脱・原発マネーの先駆けになるような町政の転換を望みたい。
 上関町が原発誘致を表明したのは、一九八二年のことだった。
 瀬戸内海を埋め立てて、出力百三十七万キロワットの原発二基を建設する計画で、二年前から敷地の造成が始まった。来年六月に1号機の本体工事に着手し、二〇一八年三月の営業運転をめざしてきた。
 原発は小さな町を推進派と反対派に引き裂いた。町長選も両派の対決が続いてきた。予定地から四キロ沖、反対派が多い祝島では、祭礼さえ両派に色分けされるほど、その溝は深まった。
 過去八回の町長選はすべて、推進派が勝ってきた。今回も推進派と呼ばれる現職が、反対派を退けて三選を果たしたかたちだが、これまでとは背景が大きく変わり、推進派の九連勝とは言い難い。
 福島第一原発の事故を受け、野田佳彦首相も「新規原発建設は困難」と表明した。山口県知事は周辺市町にも配慮して、来年十月に期限が切れる海面の埋め立て免許を更新しない方針だ。原発ができないと、交付金や固定資産税など「原発マネー」も入らない。
 現職も選挙前から「交付税が入らない場合のまちづくりを同時に考えなければならない」と、脱・原発マネーに含みを持たせ、推進、反対の立場を超えた地域ビジョン検討会の設置を決めていた。
 原発誘致表明後、町税収入二億五千万円の上関町に、計四十五億円の交付金のほか、中国電力から多額の寄付金が支給され、温泉施設の建設などが進められてきた。それでも当時約七千人いた人口は半減し、高齢化率は県内一で五割に近い。
 原発マネーは、まちおこしの特効薬にはなり得ない。
 新町政の課題は脱・原発マネーの意志をこのまま強くして、住民の心の溝を埋めていくことだ。
 祝島では、太陽光パネルで電力の自給をめざす「自然エネルギー100%プロジェクト」が始まった。推進派と呼ばれる町長が後押しすれば、融和は進む。
 地域に溝を掘ったのは、安心安全と財源をてんびんにかけ、住民の心を揺らし続けた原発推進の国策だ。祝島の自然を生かした持続可能な地域おこしに、法外な原発交付金を付け替えるなど、政府も責任を負うべきだ。 


山口・上関町長選 「推進派」町長3選 「原発抜き」町づくりへ 

◇福島事故で新設は困難
 中国電力が上関原発を計画する山口県上関町の町長選が25日投開票され、原発推進派の現職、柏原重海氏(62)=無所属=が反対派で新人の前町議、山戸貞夫氏(61)=同=を破り、3選を果たした。福島第1原発の事故後、原発新設計画のある自治体としては初の首長選挙。野田佳彦首相は新規原発建設に否定的なため、柏原氏は原発なき後の町づくりも見据えた選挙戦を展開して圧勝した。確定得票数は柏原氏が1868票、山戸氏が905票だった。当日有権者数は3206人。投票率は87・55%(前回88・08%)。【小中真樹雄】

 福島原発事故後は各地に「脱原発」の機運が拡大。上関原発の建設予定地周囲30キロ圏内にある周辺8市町議会は、6月末までに次々と「原発建設凍結」「中止」を求める意見書を可決した。
 柏原氏は、商工業者ら推進派7団体の推薦を受け、町議12人中9人を占める推進派の支持も得て、選挙戦を戦った。
 今年度、上関町には約11億円の原発交付金が流れ込み、一般会計予算の4分の1を占めた。選挙戦で、柏原氏は原発財源が入らなくなっても、高齢者へのバス代助成や中学生以下の医療費無料化などを続けるとした。
 また、原発推進の姿勢は変えないものの、国策変更もにらみ「原発を想定しない町づくりを、選挙後に発足させる検討会で話し合う」と有権者にアピールしてきた。当選後、柏原氏は「国のエネルギー政策の扱いは不透明。我々が30年国を信じ、国に疑いを持たず、原発を推進してきたことをしっかり受け止めてほしい」と原発なき後の支援を改めて国に求めた。
 敗れた山戸氏は、地元・祝島の事務所で「これまで原発反対を言えなかった町民が、はっきり反対の声を上げてくれるようになった」と明るい声で敗戦の弁を述べた。

==============
 ■解説
 ◇「脱依存」へ経験に期待

 上関原発の構想が表面化した82年以降の上関町長選で、原発推進派は連勝を「9」に伸ばした。現職の柏原重海氏が圧勝したが、民意が原発推進を100%支持したのではなく、建設が極めて厳しくなった今、原発なき町づくりを実績のある現職に託した面が強い。柏原氏は福島第1原発事故を受け、6月町議会で原発財源に頼らない町づくりに言及。原発に不安を感じた人や建設の実現性に疑問を持ち始めた人にも支持されたとみられる。
 原発計画浮上以来、同町には計約45億円の「原発マネー」が投入された。人口は30年前の半分の約3500人で、半数が65歳以上。「町の税収は先細る一方」という柏原氏の危機感は、原発交付金が消滅すればさらに高まるだろう。
 町は国策に翻弄(ほんろう)された面もあり、原発計画中止となった場合の国の支援を柏原氏は期待している。しかし、国に依存するだけでは、新たな町づくりは見えてこない。「原発抜き」を想定した町政運営の方法を早急に示す必要がある。
 原発推進、反対を超えて町内をまとめ、原発がなくても安心して暮らせる町の将来像を描くため、選挙後には地域ビジョン検討会(仮称)が発足する。上関町はどんな未来を描くのか。全国の原発立地自治体の今後にも一石を投じそうだ。【遠藤雅彦】
毎日新聞 2011年9月26日  



応援クリック人気ブログランキングへ してね 
本文中の写真をクリックすると拡大します。

いっぽう、福島原発事故をきっかけに、新しい動きも起きています。

「子どもを放射能から守りた」と思う母親たちが、
みずから当事者となって独自のネットワークを立ち上げ、市民運動を展開しはじめています。
この様子は、今夜7時30分から、NHKクローズアップ現代で取り上げられます。

 子どもを放射能から守りたい~母親たちのネットワーク革命~(仮題)  

クローズアップ現代
(NHK総合 毎週月曜~木曜 午後7時30分~7時56分)

東京電力福島第一原発の事故から半年あまり。食品、土壌などから次々に放射性物質が検出される中、「子供を放射能から守りたい」と、30~40代のごく普通の母親達がネットワークでつながり活動している。今や200余の団体、賛同者は1600人以上に発展。行政が測らない食品を独自に測定。秋の運動会シーズンを前に、近隣市町村の母親達が連携して行政に働きかけ、校庭の除染を実現させる。更に、国が被ばくの上限として、内部・外部合わせて「生涯100ミリシーベルト」という基準を設けようとする中、母親達は、「子供だけは特別の配慮を」と公聴会に駆けつけ、国内だけでなく海外の専門家にも直接意見を聞き、政府の意見募集に積極的に投稿、今月末には厚労相にも直接訴える。立ち上がった母親達に密着。どうしたら子供を放射能から守れるか考える。


今朝の朝日新聞の社説は、「新しい公共の世紀へ―市民の力で社会を変える」。

政官財や組織が変わらないなら、ひとりひとりの市民が、社会を変えていく。
これが「市民運動」であり、「市民自治」の基本です。

社説:新しい公共の世紀へ―市民の力で社会を変える  
2011年9月26日(月)付 朝日新聞

 行政を担うのは、だれか。そんなの役人に決まっている。
 私たちはずっと、そう考えてこなかったか。だが、そろそろ発想を変えてみよう。もっと市民、住民が主役になるべきではないのか、と。
 いわゆる「新しい公共」という考え方だ。
 利点は、役所の合理化にとどまらない。市民がみずからの意思で参画し、「公」の責任を分かち合うことで、やりがいや生きる価値も見いだせるはずだ。そんな前向きな発想である。
 行政はいま、国も地方も、低成長による税収減と、高齢化に伴う行政需要の膨張にあえぐ。この窮状を打開するカギとして「新しい公共」を考えてみる。
 行政を立てなおす取り組みには、二つの潮流がある。
 ひとつは「小泉・竹中改革」のような小さな政府路線だ。「官から民へ」を掲げ、行政コストを下げて増税を避け、企業活動の活力や消費を生もうとする。労働人口が減っていく日本では、著しい経済の成長は望みにくい。活力を引きだそうと考えれば、「官から民へ」の手法は一定の説得力を持つ。
 もうひとつは増税路線だ。福祉社会を維持する費用を社会全体で担おう。高齢人口が増え、膨らんでいく福祉予算を賄うには増税しなければならない。借金を続ければ、いずれ日本もギリシャのような債務危機になりかねないと警告する。

■ウィン・ウィン関係
 だが、どちらにも危うさが潜む。「小さな政府」は行政が担うべき役割を放棄して、弱者に厳しい格差社会を招く恐れがある。増税論は納税者の財布を直撃し、消費など国内経済をしぼませかねない。
 そこに「新しい公共」の出番がある。
 原発事故で避難を強いられた福島県双葉町の人々が多く暮らす埼玉県加須(かぞ)市には、ユニークな事業がある。「ちょこっとおたすけ絆サポート」だ。
 買い物の代行や病院への付き添い、庭の草むしり……。誰かの手を借りたい人は、商工会が発行する「絆サポート券」を買う。1枚500円で1時間の支援サービスを受けられる。支援するサポーターは、商工会に登録した市民だ。09年度の開始から、1500時間分の券が売られ、高齢者らの利用が広がる。
 券は市内の商店などでの買い物に使えるので、お金が地元に落ち、地域経済を元気づける。サポーターは券とともに、人々の役に立つことで精神的な満足感も得られる。市は商工業をてこ入れでき、福祉充実の経費を抑えられる。それぞれがメリットを享受できる「ウィン・ウィン」の関係だ。
 埼玉県も資金を援助した。「ただし3年間。立ち上がりは助けるが、担うのは市民。継続するには、やってみて市民自身がその価値に気づくことが大切だ」と、上田清司知事は話す。

■大震災を契機に
 東日本大震災の後、民間の復興支援サイト「助けあいジャパン」が立ち上がった。政府の情報を市民が加工し、避難者の生活を応援し、ボランティアの便宜を図っている。費用は手弁当だ。「民間なので、あえて公平にこだわることなく情報を出すなど、小回りがきくのが強みです」と、運営する佐藤尚之さん(50)は言う。
 大震災の義援金が象徴するように、この国にも寄付文化が拡大しつつある。後押しする制度もできてきた。前の国会で成立した改正NPO法と税制改正法だ。寄付額の約半分を納税額から直接減らせる方式になり、税の配分を自分で判断できる範囲が広がった。「新しい公共」づくりへの大きな一歩になる。
 この流れをさらに加速させよう。それには「公」が担うべき施策なら、まずは市民の手でできないのか、と考える気風を国全体に広げていくことだ。
 その前提としては、市民が担った方が、より質の高いサービスを実現できることが欠かせない。同時に「行政の下請け」にならない仕組みが要る。英国では、NPOなどと政府、自治体が「コンパクト」という合意文書を結び、下請け関係に陥らない制度を用意している。日本でも知恵を絞ろう。

■政治の責任は重い
 「新しい公共」づくりに向けた制度づくりに、政治が果たすべき役割は大きい。とりわけ政権交代を機に、政策として提示した民主党の責任は重い。鳩山政権は旗を振ったが、菅政権は増税路線が先に立ち、野田首相の所信表明演説には「新しい公共」の言葉すらなかった。
 しかし、大震災の後、ボランティア活動の領域と、かかわる人々の数は確実に増大している。市民の知恵と力が、社会を変える大きなうねりになりそうなエネルギーを感じ取れる。
 「市民が主役」が党名の由来である民主党であれば、これを好機と捉え、いまこそ「新しい公共の世紀」を築いていく覚悟で取り組んで欲しい。


最後まで読んでくださってありがとう
人気ブログランキングへ クリックを

 記事は毎日アップしています。
明日もまた見に来てね
  


コメント (3)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする