みどりの一期一会

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ずさんな支出、管理実態、公金意識の欠如明らか/県営渡船裁判勝訴の新聞報道1

2007-06-01 10:33:50 | 市民運動/市民自治/政治
県営渡船裁判委託料の勝訴判決から一夜明けて、
新聞各紙は県の公金管理を批判する内容の記事を大きく報道しています。
岐阜新聞以外の4紙は、社会面と県版のダブルで載っています。

5紙全部載せると上限の1万字をこえてしまうので、
前半は朝日と読売と岐阜新聞のみ、後半と2回に分けて紹介します。

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 ずさんな管理実態 県、公金意識の欠如明らか

 ほとんど利用されていない長良川の県営渡船事業を巡り、県から委託料を受け取っていた海津市や渡船組合らに対し、原告の主張をほぼ認めた約1900万円を県に返還するよう命じた岐阜地裁の判決。原告の市民グループ「くらし・しぜん・いのち 県民ネットワーク」の寺町知正・山県市議らは31日、判決後に岐阜市内で記者会見を開き、「県庁の裏金問題でも明らかなように、県は隠せるものは最後まで隠し通すという体質がある」と批判した。
 県営渡船は、定時に運航しておらず、ほとんど利用者がいないことから、寺町市議は「船の維持費などを考えたら廃止すべきだ」と指摘した。
 寺町市議は「県は公金支出に対する意識をしっかりと持ち、県民がチェックしなくても大丈夫なように、職員の道徳観を高めてほしい」と苦言を呈した。
{解説}  ずさんな管理実態が司法の場で明らかになった海津市の長良川の県営渡船委託事業。判決は、市や渡船組合のみならず、監督責任がある県の公金意識の欠如を明確にしたといえる。
 判決では、地元の渡船組合の船頭が船着き場に常駐していなかったことや、運航日誌には乗員数や運航回数などが虚偽記載されていたことなどが認定された。県は十分な調査をせず、委託料を払い続けるなど「公金」という意識があったとは思えない。
 民間会社では、採算の取れない事業をそのまま放置することは許されない。県庁では昨年、裏金が問題となり、支出を透明化し、無駄をなくすことが確認された。この判決は、県をはじめ、あらゆる自治体が税金の使い道を見直すための教訓とすべきだ。
(天野雄介)
(読売新聞2007.6.1)
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渡船運航実績なし、海津市などに委託料1910万返還命令

 岐阜県が同県海津市に委託している長良川の県営の渡し船が、ほとんど運航されていないにもかかわらず、県が委託料を支払ったのは地方自治法などに違反するとして、市民グループ「くらし・しぜん・いのち 岐阜県民ネットワーク」(事務局=寺町知正・山県市議)のメンバー10人が、梶原拓前知事や海津市などを相手取り、1995年から99年までの5年間に支出した委託料約2200万円の返還を求めていた住民訴訟の判決が31日、岐阜地裁であった。

 筏津順子裁判長(野村高弘裁判長代読)は梶原前知事への請求は却下したが、海津市や渡船組合長らに対して「運航実績がない」として、1910万円を県に返還するよう命じた。
 判決などによると、岐阜県は55年ごろ、旧海津町(現・海津市)の日原、森下で行われていた二つの渡し船の営業を「県道」として認定した。しかし、その後、近くに橋が出来るなどして交通の便が良くなったため、2ルートの渡し船の利用者はほとんどいなくなり、海津市から委託された地元の渡船組合の船頭も、船着場に待機しなくなった。ところが、海津市と渡船組合は、業務を一年中行っていたと県に報告し、県も委託料を支払い続けていた。
(読売新聞2007.6.1)

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  ずさん支出 浮き彫り
県営渡船委託訴訟 原告「自浄能力を」

 
 海津市に委託されている長良川の県営渡船事業について、岐阜地裁が31日、市などに計1900万円を県に返還するよう命じた判決は、市や渡船組合の虚偽報告を認定し、渡船事業をめぐる公費支出のずさんさを浮き彫りにした。県庁の裏金問題で企金とは何かが問われている折、原告側の住民は「自治体は自浄能力をもっと高めるべきだ」と話す。 (内山修)

 判決は「実態に見合わない支出があった」として、市、地元の渡船組合長、管理監督する立湯にあった当時の大垣土木事務所長らに対し、県への返還を命じた。
 「すっきりとした、望んだ通りの判決。今の岐阜にとって大きな意義がある勝訴だった」。閉廷後、県弁護士会館で記者会見に臨んだ原告代表の寺町知正・山県市議は晴れ晴れとした表情で切り出した。
 「法的に見てもいかにいい加減な事業であったことがわかった」
 訴えの対象は、県が海津市を介して地元渡船組合に委託する「森下渡船」と「日原渡船」の2事業=図。両渡船とも「県道の一部」と位置づけられているが、長良川をまたぐ東海大橋や長良川大橋の完成で利用者は激減。近年は年間100人に満たない年も多い。
 利用実績がほとんどないにもかかわらず、寺町市議らが提訴する前年の98年度まで、南渡船組合にはそれぞれ毎年180万~300万円が支払われた。99年度以降は、運航実績に見合った日当分を委託料として支払う制度に変わったが、それでも支出の一部には疑問が残った。
 「何のために、いくら使われたのか」。県に住民監査請求をしたが、結果は却下と棄却。99年8月、いらだたしい思いで提訴する一方、渡船事業の実態を明らかにするため、情報公開制度を利用し文書を請求したが、出てきたのは「黒塗り」文書だった。
 船頭名はおろか、当日の天気すらも黒塗り。寺町市議らは、岐阜市の「小紅の渡し」や愛知県内の渡船の運航データを取り寄せ、公閲された文書と日付や運航実績を照らし合わせながら証拠資料を積み上げた。
 文書の開示を求めて別に起こした訴訟で、05年に最高裁が主張をほぼ認めたことで、調査は大きく前進した。途中、裁判所から和解の打診もあったが「勝訴の判決がほしい」と断った。
 寺町市議は「裏金問題と同じで、バレるまで隠す姿勢は早くやめてほしい。判決を受けて、県などが事業を洗い直すのか注目したい」と話した。
(朝日新聞2007.6.1)

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朝日新聞・岐阜新聞
 県営渡船で不当支出 1910万円支払い命令  
岐阜新聞 2007年05月31日14:29
 
 海津市海津町の長良川の県営渡船について、業務実態がない「カラ業務」があり、県の委託料が当時の旧海津郡海津町などに不当に支出されたとして、住民グループ代表ら10人が、梶原拓前知事や海津市などを相手取り、1999(平成11)年度まで5年分の委託料約2200万円の返還などを求めた訴訟の判決言い渡しが31日、岐阜地裁であった。筏津順子裁判長(野村高弘裁判長代読)は、原告の請求をほぼ認め、梶原前知事を除く被告側に、約1910万円の支払いを命じた。
 「くらし・しぜん・いのち県民ネットワーク」事務局の寺町知正山県市議らが、99年8月に提訴した。
 訴状などによると、対象となったのは海津市海津町の組合が運営する日原、森下の2渡船で、返還を求めたのは県が旧町を通じ組合に支払った99年度まで5年分の委託料。利用客が減少している上、船頭が常駐しない渡船事業に対し、運行実績に関わらず委託料を定めて前払いした県の「総額方式」の支出は不当で、カラの業務費が計上されたとしている。
 訴訟では、県が98年度まで実施した総額方式の支出や旧町の委託料請求などの正当性が争点となった。原告側は「船頭が常駐しない渡船に、実績無視の委託料が払われたのは不当。旧町も実態を知りつつ県に虚偽報告していた」などと主張。
 一方、被告側は「『県道』として常時通行可能な状態を保っており委託料は正当」とし「船頭は常駐してないが乗船客を把握すれば30分で渡船を運行できる態勢だった」と反論していた。地裁から和解勧告もあったが、判決に至った。
 2渡船の利用客は落ち込んでおり、昨年度1年間で計53人だった。
(岐阜新聞 2007年05月31日)
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岐阜県の渡船 委託金、一部は違法
地裁 海津市などに返還命令


 岐阜県が長良川で運営する渡船事業について、運行実態がないのに虚偽の業務報告にもとづき95年から5年間にわたり委託料が払われたとして、同県の住民団体が
 梶原拓前知事や同県海津市などに総額約2200万円の損害賠償などを求めた訴訟の判決が31日、岐阜地裁であった。筏津順子裁判長(野村高弘裁判長代読)は、支出の一部について違法性を認定。海津市、県大垣土木事務所の歴代5人の所長、二つの渡船組合の組合長に計約1900万円を県へ返還するように命じた。梶原前知事への請求は却下した。
 訴えていたのは「くらし・しぜん・いのち県民ネットワーク」(事務局=寺町知正・同山県市議)のメンバー10人。対象となったのは、海津市と愛知県愛西市を結ぶ「日原」「森下」の両渡船。県は95~98年度、海津市を通じて両渡船組合に毎年約170万~300万円を委託料として支出。支出方式を見直した99年度も約128万円を支払った。 
 判決で筏津裁判長は、海津市や渡船組合について▽県との契約条項に反し、船頭を常駐させずに委託料を受け取った▽虚偽の業務日誌を県に提出した▽実際には契約していない保険料を受け取っていた--などと認定。95年度以降の県大垣土木事務所長については「市の違法行為を漫然と見逃していたことは明らか」と指摘した。
 一方、梶原前知事については「渡船組合長に損害賠償請求をしないことは違法」としつつも、「損害は市や渡船組合長への請求で回復できる」として支払いを免じた。
 判決を受けて、岐阜県の古田肇知事は「判決内容を精査し、県営渡船の適切な運営に努めたい」、松永清彦海津市長は「判決内容を詳細に検討し、渡船組合など関係者とも協議の上、対応を考えたい」との談話を出した。
(朝日新聞2007.6.1) 
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中日新聞と毎日新聞については、どちらも写真入の大きな記事ですが、
webにも出ていないし、「県営渡船裁判勝訴の新聞報道2」で紹介します。

   
↑中日新聞(県版と社会面)と毎日新聞(社会面と県版)↑

足掛け8年に及ぶ裁判では、関連の情報公開訴訟でも
一昨年、最高裁で勝訴が確定しています。

最高裁判決!市民側の勝訴確定(2005.6.14)

ところで、
昨夜、ふたりでささやかなお祝いをしました。
ともちゃんの労をねぎらって、天然子鮎の紅梅煮を作りました。






 

勝訴にかんぱい!


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コメント (2)
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