みどりの一期一会

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「ジェンダー図書排除」苦情申出への福井県知事回答に対する声明&福井県知事からの回答

2006-11-22 10:09:02 | 「ジェンダー図書排除」事件


  

「福井『ジェンダー図書排除』究明原告団および有志」80名の
「男女共同参画施策に関する苦情申出書」に対し、
西川一誠福井県知事からの回答書が届きました。

「苦情申出」は、福井県生活学習館から153冊のジェンダー関連図書が
排除された問題に取り組んできたわたしたちが、
8月26日に開いた集会参加者にで呼びかけたもの。
8月29日には「ジェンダー図書排除」の是非を問うために、
福井県男女共同参画推進条例第21条2項により、
「苦情の申出」を提出しました。

苦情申出は、11月2日の「男女共同参画審議会」に諮問され、
それを受けて、福井県知事の回答が届いたものです。

この「男女共同参画の推進に関する施策等への申出書について(回答)」に対し、
「『ジェンダー図書排除』究明原告団および有志』として、
代表の上野千鶴子さんの声明文を公表しました。



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                             2006年11月20日
        「ジェンダー図書排除」苦情申出への福井県知事回答に対する声明

                福井「ジェンダー図書排除」究明原告団および有志
                代表 上野千鶴子(東京大学大学院教授/著者)

 このたび「福井『ジェンダー図書排除』究明原告団および有志」による男女
共同参画推進条例第21条2項に基づく「男女共同参画の推進に関する施策等
への申し出」に対する、西川一誠福井県知事からの回答書(男女県第299
号・平成18年11月9日付)が公文書で届きました。

 福井県知事の回答中、図書の「一時的移動」について、「反省」の言葉が見
られるのは、私たちの一連の抗議行動の成果だと考えます。

 また、誰であれ「思想・信条の自由」を認めるというなら、福井県におかれ
ましては、今後とも行政権力による検閲等の行為はいっさいおこなわず、法令
を遵守して、憲法が保障する「思想・信条・言論の自由」を守るよう、要請し
ます。

 他の自治体でも類似の状況が起きる可能性のある今日、このたび福井県が
とった処置とその後の非一貫性と不透明さを伴う対応が、他の自治体でもくり
かえされることのないように、今後とも監視を怠らないよう、メディア関係者
および市民のみなさんに呼びかけます。
                               以  上
------------------------------------------------------------------

福井県知事からの回答です。
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                       男女県第299号      
                       平成18年11月9日
福井「ジェンダー図書排除」究明原告団および有志 様
                       福井県知事 西川一誠
          男女共同参画の推進に関する施策等への  
          申出書について(回答)

1 申出等内容
 下記事項は、男女共同参画推進条例の趣旨に反し、許されない行為あるいは
行政対応であるので、速やかに是正・改善し、二度と同旨のことのなきよう要
望する。
(1)昨年11月、福井県生活学習館の図書について、男女共同参画推進員から
の「男女共同参画の推進に不適切と思われる図書がたくさんある。すべての図
書について内容を確認し、不適切なものは排除するよう」にとの苦情の申し出
に、「情報の提供は学習する上で必要である」と公式に回答しながら、今年1
~2月に同人に持ち込まれた153冊のリストの図書を、3月になって開架か
ら撤去したこと。
(2)今年5月になって、撤去した153冊のジェンダー関連図書の内容を福
井県が、「委員の意見に真摯に対応し、個人への誹謗や中傷や人権侵害、暴力
的表現などの公益を著しく阻害するものがないかどうか」を職務として(検閲)
したこと。
(3)図書の選定、撤去、開架図書への復帰という一連の行為を福井県の公務と
して行ったこと。
(4)本件条例の定める男女共同参画推進員が、上記の原因者であるところ、今
回の行為は推進員にあるまじき条例の趣旨に反する行為であるにもかかわらず
放置していること。

2 回答内容
 近藤氏から生活学習館の図書の内容を確認し、男女共同参画の推進に不適切
なものは排除するよう、男女共同参画推進条例第21条2項に基づき申出があり
ました。これに対し、県は、排除する必要がないと考えている旨を書面で回答
しました。

 なお、その後も同様の申出が口頭で相当回数あったため、申出にかかる図書
の内容を了知しておく作業が必要であると考え、一覧表に掲載されている図書
を一時的に書架から移動したものであり、特定の図書を排除する意思はなく、
そうした意図をもって調査をしたものではありません。また、この間、これら
の図書は目録やパソコンによる検索が可能であり、閲覧・貸出もできる状態に
していました。
 ただ、一括して図書を移動し作業を行ったことについては誤解を与える結果
となり、十分な配慮に欠けていたものと反省しているところです。そこで、生
活学習館では、図書選定基準の見直しや図書選定委員会の設置、職員への再度
の周知徹底など改善に取り組んでおり、今後は、図書の管理について、誤解を
与えることがないように慎重に行っていきたいと考えております。
 また、誰であっても思想・信条の自由は認められているところであり、近藤
氏におきましても、個人の思想・信条に基づく活動であると理解しています。
県男女共同参画推進員としましては、男女共同参画を推進するための普及啓発
活動等を積極的に行っていますので、ご理解いただきますようお願いします。

                     [連絡先]男女参画・県民活動課
                         男女共同参画チーム
---------------------------------------------------------------------
 
福井県知事からの回答には、
「一括して図書を移動し作業を行ったことについては
誤解を与える結果となり、十分な配慮に欠けていたものと
反省しているところです。」とあります。

内容を検閲したことに対しては、「内容を了知しておく必要」とだけで、
前の知事回答にあった「著しい人権侵害や誹謗中傷がなかったかを確認」
という言葉は消えています。
あくまで、「検閲」ではないと言いたいのでしょう。

知事の回答はこまかいところで不満はありますし、
図書選定基準の見直しや選定委員会の設置にも問題は残っていますが、
大筋で「反省している。もうしない」と言っているので、
それなりの評価はできます。

今日の新聞各紙に載ると思いますので、
またお知らせしますね。


  

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