福田の雑記帖

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財政再建2015(7)  2014年度「国民医療費」は初めて40兆円超に

2015年09月06日 03時32分56秒 | 医療、医学
 厚労省は9月3日、2014年度の医療費が概算で39兆9556偉円となり、12年連続で過去最高を更新したと発表した。労災分などは含まれておらず、「国民医療費」は初めて40兆円を超えることが確実となった。

 14年度の概算医療費は前年より約7千億円増えた。それでも伸ぴ率は1.8%とやや鈍化した。厚労省は「人口減や価格の安い後発薬の使用促進で伸ぴが抑えられた」と分析している。

 14年度の1人当たりの概算医療費は31万4千円で前年に比して6千億円増えた。75歳未満が21万円だったのに対し、75歳以上は93万円になった。

 診療別では外来と調剤が合わせて21兆円で、全体の52.5%,入院が16兆円で40.2%、歯科は2兆8千億円で7.0%だった。調剤は13年度より2.3%も伸びており、診療報酬改定で抑制を図る。

 医療費は高齢化や医療技術の進歩で年々増え続け、国の財政を圧迫している。16年度の診療報酬改定で医療費の効率化に向けて論議する。政府は健康づくりや病気の予防への取り組みを強化する。後発薬の使用割合は現在50%程度であるが、20年度末までに80%まで引き上げる方針。
 
 財源不足と言いながら医療保険制度の考え方は右肩上がりの傾向にある。これだと細かな修正を繰り返しながら傷口を広げていく。私もどうすればいいのか分からないが、最近発売されたC型肝炎の治療薬2種は共に1錠6万円超、8万円超で一人の治療に500万円かかる。これを医療助成して患者負担を月2万円に抑える、という。それでも肝がん発症抑制効果で将来の医療費を1000億円は減らせると試算があるという。朗報と疑問とが交錯する仕組みである。

 政府は「骨太の方針」で社会保障費を「歳出改革の重点分野」と位置付け、今後3年間、毎年3-5000億円を削減するとして、以下の改革を2015年度から順次着手する。

(1)国保の財政運営を市町村から都道府県に移管。
(2)都道府県が作る医療費適正化計画に医療給付の目標総額を明記し、病床削減とリンクさせる。
(3)入院給食費の自己負担が1食当たり260円から460円にする。
(4)大病院を紹介状なしで受診した場合、5千円から1万円の定額負担も導入。
(5)混合診療の亜型である「患者申し出療養」の創設。

 今回の医療費削減計画は医療崩壊の因となった小泉内閣の削減の倍ほどに相当する。当時経験以上の「医療崩壊」を生み出すことになりかねない。現在の社会保障の費用は当時よりもさらに高額になっている。費用削減計画は国民に相当な痛みを求めなければ実行が困難である。

 それでも経済再建にはそれほど大きくは寄与しない。
コメント (2)
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