9/28 (水)午前フリーの時間を利用して秋田市の映画館「ルミエール」で封切られた映画版「ハドソン川の奇跡」を見た。
この作品は名監督C・イーストウッド、主演が名優トムハンクスによる実話映画。
原作はC・サレンバーガー元機長の「機長、究極の決断」。機長はキャリア42年のベテラン。
事故は2009年1月15日離陸直後に生じた。鳥がエンジンに飛び込み両方のエンジンが停止、このままでは155人の乗客乗員の命はおろか、70トンの機体がNY市内に落ちるかもしれない緊迫の事態。墜落までのリミットは約4分、機長は独自の判断でハドソン川に不時着を決意。機長の卓越した操縦で機体は大破することなく着水した。
事故当時ハドソン川は氷点下6度、水温2度と記録されているなか、機長、USエアウェイス”の乗組員たちは冷静に脱出活動にあたった。 最悪の事故になる、と思われた出来事が、最高の奇跡に変わった。機長は「訓練してきたことをやっただけ。自慢も感動もない」、と淡々と述べた。
特に事故発生から不時着水までの数分間のコックピットの様子は手に汗にぎるシーンの数々、着水後しぶきを上げてハドソン川を進むCGによる再現映像は、実に見応えがあった。
救助が始まってから4分、フェリーが続々と集まってきた。この救助の様子はNHKドキュメント・アナザーストーリーズ版「ハドソン川の奇跡」に詳しく紹介されている。
事故から5日後、オバマ大統領の就任式に機長が招かれ、さらに、機長とそのクルーはオバマ大統領の議会初演説に呼ばれ、アメリカの英雄として紹介された。当時アメリカは新しい「ヒーロー」が求められていた。
映画では、事故後、機長と副操縦士の二人は操作当局から殺人罪の容疑をかけられ査問を受けることになった。その経過が詳細に描かれる。左エンジンは推力を失っていなかったため、近隣の空港に着陸出来た可能性もあったという。ここがアメリカの不思議な文化である。誰も死んでいないのになんで殺人罪か?せいぜい器物破損事故でないのか?その可能性に頼っていたら9.11の再現となっていた可能性の方が高い。
その結果が出るまでの機長、副操縦士の苦悩もこの映画では詳細に描かれている。
C・サレンバーガー機長(59)は、2010年3月3日、42年にわたる現役パイロットとしての乗務を終えた。全米はもとより世界から惜しむ声が多い中での花道となったが、その潔さも注目に値する。