福田の雑記帖

www.mfukuda.com 徒然日記の抜粋です。

ハドソン川の奇跡(2) 映画版

2016年09月30日 16時41分11秒 | 映画評



 9/28 (水)午前フリーの時間を利用して秋田市の映画館「ルミエール」で封切られた映画版「ハドソン川の奇跡」を見た。

 この作品は名監督C・イーストウッド、主演が名優トムハンクスによる実話映画。
 原作はC・サレンバーガー元機長の「機長、究極の決断」。機長はキャリア42年のベテラン。 

 事故は2009年1月15日離陸直後に生じた。鳥がエンジンに飛び込み両方のエンジンが停止、このままでは155人の乗客乗員の命はおろか、70トンの機体がNY市内に落ちるかもしれない緊迫の事態。墜落までのリミットは約4分、機長は独自の判断でハドソン川に不時着を決意。機長の卓越した操縦で機体は大破することなく着水した。
 
 事故当時ハドソン川は氷点下6度、水温2度と記録されているなか、機長、USエアウェイス”の乗組員たちは冷静に脱出活動にあたった。 最悪の事故になる、と思われた出来事が、最高の奇跡に変わった。機長は「訓練してきたことをやっただけ。自慢も感動もない」、と淡々と述べた。
 
 特に事故発生から不時着水までの数分間のコックピットの様子は手に汗にぎるシーンの数々、着水後しぶきを上げてハドソン川を進むCGによる再現映像は、実に見応えがあった。

 救助が始まってから4分、フェリーが続々と集まってきた。この救助の様子はNHKドキュメント・アナザーストーリーズ版「ハドソン川の奇跡」に詳しく紹介されている。 

 事故から5日後、オバマ大統領の就任式に機長が招かれ、さらに、機長とそのクルーはオバマ大統領の議会初演説に呼ばれ、アメリカの英雄として紹介された。当時アメリカは新しい「ヒーロー」が求められていた。

 映画では、事故後、機長と副操縦士の二人は操作当局から殺人罪の容疑をかけられ査問を受けることになった。その経過が詳細に描かれる。左エンジンは推力を失っていなかったため、近隣の空港に着陸出来た可能性もあったという。ここがアメリカの不思議な文化である。誰も死んでいないのになんで殺人罪か?せいぜい器物破損事故でないのか?その可能性に頼っていたら9.11の再現となっていた可能性の方が高い。
 その結果が出るまでの機長、副操縦士の苦悩もこの映画では詳細に描かれている。

 C・サレンバーガー機長(59)は、2010年3月3日、42年にわたる現役パイロットとしての乗務を終えた。全米はもとより世界から惜しむ声が多い中での花道となったが、その潔さも注目に値する。
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ハドソン川の奇跡(1) NHKドキュメント・アナザーストーリーズ版

2016年09月29日 08時56分06秒 | 映画評
 2016/9/7放送のNHK BSプレミアム、アナザーストーリーズは、2009年1月15日午後に大都会NYの真上でほぼ満席の旅客機に鳥が当たって両エンジン停止という稀有な事態に陥った航空機事故を取り上げた。
 通常ならば大惨事になっていたケースであるが、飛行機はハドソン川に見事に着水し、乗客乗員155人全員が無事救出された。

 私も当時、航空機事故に関心を持っており、いろいろ調べていたのでこの着水事件は本当に「奇跡」だと思った。高速で運行されるジェット航空機が無事着水した例は殆どないからである。しかも、一人の犠牲者も出していなかった。
 わたしはその後は詳細を知る機会がなかったのでこの放送を心待ちにしていた。
 
 番組は、事故の発生から全員救出までの一部始終を、パイロットと管制官とのやりとりの記録音声や市民などが捉えた映像、乗客や救出に関わった関係者のインタビューでたどっている。

 1月15日午後、NYラガーディア空港発シャーロット行きのUSエアウェイズ1549便は離陸後95秒に両翼のエンジンに鳥が当たって両エンジンが停止した。155人を乗せた66トンの機体は、上空840mから毎秒5mの速さで降下した。空港へ戻ることは不可能で、大惨事になることが頭をよぎったが、機長は惨事を回避する唯一の可能性としてハドソン川への着水を決心した。これは殆ど成功例のない危険な試みだった。通信していた管制官は機長の意図を理解できなかった。
 機は着水に成功、その瞬間の映像は沿岸の倉庫の監視カメラによって捉えられた。

 乗客は一瞬歓喜するが、すぐに次の危機に直面した。機体が沈み始めた。乗客は翼の上に逃れたが、水温は2℃と厳しい状況であった。幸いに機の近くにハドソン川横断のフェリーが何隻かいた。最初のフェリーが到着したのは着水後4分であったが、流れのある川の真ん中で乗客の救出には困難を極めた。しかし、全員が救出された。最後にフェリーに助け上げられたのは機長だった。

 着水成功はまさに奇跡だった。機の最も安全な接水時の角度は11度の機首上げとされていたが、推力もなくほとんどコントロールが効かない機を機長は着水数秒前にこの角度にコントロールし得た。

 この番組では操縦室、客室の様子もインタビューとして紹介されたが、この版での中心はフェリーや民間船舶の迅速な救出作業に置かれている。機長の見事な決断と卓越した操縦技能は重要であったが、その後の迅速な救出作業が功を奏していなければ犠牲者ゼロは成し遂げられなかった。

 機長は世界で最も知られる機長となった。その技能は絶賛されなければならないが、救出に当たったフェリーのクルー、NY警察の救出行動に視点を当てたまとめは大事である。

 このドキュメントの中で近日公開される予定の映画の一部が紹介された。
 秋田では9月26日からTOHOシネマズで公開されることになっており、これにも期待した。

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JR運転士が電車から放尿(3) 運転士を処分しないでほしい

2016年09月28日 03時13分02秒 | 時事問題 社会問題
 JR佐倉駅で停車中の電車から男性運転士が線路に放尿した。
 朝日、毎日をはじめ主要な新聞が取り上げ、インターネット上では容認、容認できないなどと様々な声が飛び交っている。私はちょっと過剰反応だと想う。

 JR東日本千葉支社は取材に対して「モラルに欠ける行為で指導が必要」、「お客様に不信感や不安を与えてしまい深くおわび」、「信頼回復に向けて取り組むとともに、2度と同じことがないよう社員指導を徹底・・」などとコメントし、「さらに原因などの聞き取りを続け、運転士の処分を決める」とし、「運転士を乗務から外した」、という。

 一連の状況は関係者の過剰反応ではないだろうか。私の感想である。
 TVニュースや新聞報道を何でこんなことを大げさに報道するのだろう、この報道自体が過剰反応でないか、と思う。何かと読者の感情を喚起するような表現を用いる今のメディアの責任はとても大きいと言いたい。一般にメディアが介在するとボヤが大火に等しい表現になってしまう。

 例として、日経新聞電子版の見出し、「モレル、モレルでモラル崩壊」は新聞社の良識を疑いたくなる。自ら体験できない、したこともない立場で、困った状況を迎えた勤勉な(?)労働者を愚弄する表現だと想う。もしこれを書いた記者が元JRの運転士で排尿欲求を他の方法で凌いだ経験がある方だったら私は記者に陳謝せざるを得ないが、その可能性はゼロに等しいだろう。

 ネット社会ではメディアの報道などに、強烈な感情反応を示す、私から見て病的と思える人たちがツイッターで投稿し、次々とリツイートし、あたかもそれが世論であるような様相を呈してくる。一方、企業側ではそれがたとえ理不尽なクレームであっても放置できず対応せざるを得なくなる。

 要するに、小さな事象に「過剰反応」したメディアに「過剰反応」しやすい性格の個人が「過剰反応」し、攻撃対象となった企業等が自らを守るために「過剰に反応」し、正当な反論ができる状況であってもそれをせず、「過剰に陳謝に走る」のが現状である。日本にはクレームがあった時にまず謝ることでバランスを取ろうとする文化が存在する。だから安易に謝り、クレーマーは謝りの言葉が出るまでしつこく追及してくる。この安易に謝ることをどこかでブロックしなければネット炎上という結果になる。

 だから、JR東日本千葉支社の「運転士の処分」の話まで含めた返答は至極常識的である。私はそれが不満である。「これを機に再発防止策を講じたい」だけで良かったのだ。
 次善の方法をとり運行を守ろうとした運転士の「処分」をしないでほしい。キャリアに傷を残し、歴史に名を残してしまう。
 かつて「全身膀胱人間」であった私からの希望である。
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JR運転士が電車から放尿(2) 私はかつて全身膀胱人間であった

2016年09月27日 06時23分47秒 | 時事問題 社会問題
 JR佐倉駅で停車中の電車から男性運転士が線路に放尿…に関して私の感想。

 運転士はどうすればよかったのか?
 いろんな可能性のある方法のうちで線路への放尿はベストではなかっただろうが、次善の方法だった、と思う。
 これはそんなに大騒ぎするほどのことなのか?
 この件もそうなのであるが、社会全体に寛容さが無くなってる、と思う。

 対策として、どんなマニュアルを作っても生理現象を抑制することはできない。電車の運転室といえ、時には外に出ることができない準閉鎖空間になりうる。だからこんな時のために携帯トイレを装備しておくのがいいと思う。個人的に携帯してもいいだろう。

 我慢できない尿意ものとでは人は判断力を失い、電車の運転操作などまともには出来ない、と思う。そんな状態に陥るより万難を排して排尿すべきである。だから、間違っていない。

 ちなみに、航空自衛隊の戦闘機、零戦、セスナ機等の小型機にはトイレはない。昨年から販売されたホンダの小型ジェット機は座席数7-8席で、トイレ設備があるのも売りの一つとなっている。
 パイロットは正式な装備オムツを使用し、何とか排尿をコントロールしている。

 
私は2007年膀胱頸部硬化症の手術を受けた。
 私が排尿障害を自覚したのは中学生の頃だった。その後、約40年排尿に関しては常に悩んでいたが、徐々に悪化、尿線は細く、排尿に時間がかかり、頻尿にもなった。残尿量も増えたために、自ら限界と判断し泌尿器科医師に相談、手術を受けたものである。
 術後は排尿に関しては夢のような爽快感を得た。それが現在も変わらず順調である。
 そんなことから、私の術前までの生活は常に排尿を意識し、時間調整、排尿場所の確保は毎日の課題であった。さいわい、粗相をした経験はないが、間一髪で凌いだことは何度もあった。そんな時は、頭の中から、指先までも膀胱になったような「全身膀胱人間」的状況であり、血圧は上昇、頻拍にもなり、気はそぞろ、細かな判断力を失った。ポケベル、携帯、スマフォを自分で鳴らし、排尿に行ったことも少なくない。

 こんな私だから、排尿でき難い状況に身を置くことは恐怖を伴ったし、そのような事故が報じられると排尿などどうしたのか、とすごく心配になる。
 ゴンドラの宙吊り事故、エレベーター内での閉じ込め、人質事件などなどの際、被害にあった方々は排尿をどうしたのか??不遜であるが、そのことが私の第一の関心ごととなる。

 JR運転士が電車から放尿した件、私にとっては他人事と思えない。
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JR運転士が電車から放尿(1) モレル~でモラル崩壊(日経新聞電子版の見出し)

2016年09月26日 18時15分51秒 | 時事問題 社会問題
 JR東日本千葉支社の50代の男性運転士が電車乗務中に車外に向けて放尿をしていた。千葉支社はモラルに欠く行為で指導が必要として、運転士を乗務から外した。
 一連の状況は関係者の過剰反応ではないだろうか。私の感想である。

 報道によると、男性運転士は電車を停車させた際、ホームと反対側の運転席のドアを開け、線路に放尿した。駅の敷地外にいた通行人が目撃し通報した。
 運転士は乗務歴20年以上のベテラン。過去にも数回やった、と話している。
 電車は運転室に簡易トイレはなく、千葉支社は用を足す必要があれば、輸送指令室に連絡した上で車内やホームのトイレを使うよう指導している。放尿時は平日の夕方で、車内は通学客で混んでいたとみられ、運転士は車内に入ることを遠慮した可能性もある。
 これ以降、同運転士は業務には戻っていない。今後、支社がさらに原因などの聞き取りを続け、運転士の処分を決めるという。 JR東日本千葉支社は取材に対して「モラルに欠ける行為で指導が必要」、「お客様に不信感や不安を与えてしまい深くおわび」、「信頼回復に向けて取り組むとともに、2度と同じことがないよう社員指導を徹底・・」などとコメントした。

 この放尿騒動についてインターネット上では容認、容認できない行為などと様々な声が見られた。

 この報道内容が正しいとすれば、私の立場からこの新聞報道に対して持った感想は以下の如くである。
▼列車の運転士が乗務中に排尿が我慢できず停車中にドアから放尿したことはそれほど責められるべきなのか。
▼駅の敷地外にいた通行人が目撃し駅に通報、は正しい判断であった。直接ネット上に批判的に投稿しなかったのは評価できる。
▼千葉支社は排尿等の必要があれば、輸送指令室に連絡した上で車内やホームのトイレを使うよう指導している、というが、指導があればすべて解決できるのか。簡易トイレなどの配慮はないのか。
▼運転業務から外したのは??病的頻尿問題なら受診、治療の対象になる。
▼今までも何度かあったとすれば、個人的対策は考えなかったのか?
▼JR東日本千葉支社はのコメント「モラルに欠ける行為で指導が必要・・」と表現したのは??世論を意識した過剰反応ではないか。
▼運転士の処分をするのか?
▼列車運転士の業務中の「スマフォ使用」、「携帯通話」、「居眠り」等の不祥事が明らかになっているが、このケースは不祥事か??
▼JR東日本千葉支社が取材を受けた際にこの事例を明らかにしたのは時代柄やむないだろう。
▼日経新聞電子版の見出し「JR運転士が電車から放尿 モレル~でモラル崩壊」は興味本位、悪意のある表現だと思われる。
▼・・・・。
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