福田の雑記帖

www.mfukuda.com 徒然日記の抜粋です。

ラジオ・TV番組『NHKのど自慢』(2) リニューアルで失ったものも多い

2023年05月31日 04時19分01秒 | コラム、エッセイ
(3)司会は二人体制に 鐘は地域の音楽家に
 2013年から司会を担当していた小田切アナから、廣瀬智美アナと二宮直輝アナが隔週で担当するようになった。77年の歴史という超長寿番組で、2人体制も初めてなら、女性アナが司会を担当するのも初めて。

 小田切アナはエンターテインメント部門を得意とするアナウンサーとして高く評価されているが、今後は“後進の育成”も期待されているという。
 小田切アナはCOVID-19に罹患もなく、10年間一度も休むことなく出演したという。司会者は各地の特徴を理解し番組で紹介するために週の後半は早めに開催地に入り、その地を番組で紹介する役目もあった。考えてみれば非人間的なスケジュールである。

 その意味では、2人体制なら、どちらかに不測の事態が発生しても、もう1人が出演することができるし、週の後半の出張も隔週ならよりストレスが少ないだろう。

 生番組だから司会に大きく委ねられるのは時間配分。
 そのほかにも生ならではの小さなパプニングが起こるのも面白い。
 中には鐘に気が付かず歌い続ける高齢者も稀にいるし、出場者の中には過緊張で本来より遥かに遅いテンポで歌うことも稀でなかったが、バックバンドが必死に歌についていくのも面白かった。こうしたバックバンドの粋な計らい、司会者の絶妙な計らいも今後は見られなくなってしまう。

 同様のことは鐘担当の秋山氏にも言えること。
 秋山氏は21年間番組に出演し、トレードマークの笑顔で番組の顔のひとつとなっていた。氏はこの間週末には家を空けてきた、ということになる。これも大変なことであった。やっと解放された。ご苦労様と伝いたい。
 鐘は4月以降は各地のオーケストラの打楽器奏者が担当している。

(4)そのほか 変更点
 NHKにとっても視聴者が登場する大切な長寿番組である。
 視聴率は低迷傾向にあったが、出場希望者は減少傾向がない。毎回1000人以上の応募があるという。

 ◉番組のロゴも視認性を高めるものに変更。
 ◉テロップのフォントも変更。
 ◉出演者は舞台上に座り、順番が来ると中央の入場口から登場するように変更。
 ◉舞台の背景が派手派手の色調に変わった。そのために出場者の服装の色調と競合する時もある。私は背景は単純なものがいいと思う。
 ◉などなど・・・・

 ラジオ・TVの視聴者参加番組『NHKのど自慢』は今後も続いて行って欲しいものだ。

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ラジオ・TV番組『NHKのど自慢』(1) 久々リニューアル 伴奏がカラオケになった

2023年05月30日 06時19分55秒 | コラム、エッセイ
 私はTVを好まずラジオ派である。
 TV番組の中では19:00からのNHKニュースは必ず見るようにしている。帰宅が遅くなり間に合わなかった場合には録画で見る。次に視聴の機会が多いのは日曜昼の『NHKのど自慢』で、通常は新聞記事の切り抜き作業をしながらみていた。

 2023年4月2日の放送分から『NHKのど自慢』が大幅に刷新され驚いた。
 舞台配置はやや複雑に、バックの壁紙模様はとても派手になった。司会はアナウンサー2人が交代制となり、テーマソングは葉加瀬太郎が演奏、伴奏はカラオケとなり、鐘は地元オーケストラの打楽器奏者が行なうことになった。

 「のど自慢」の放送開始は1946(昭和21)年。驚くべき長寿番組である。私は子供の時から主にラジオでこの番組に親しんできた。

 この番組は時代に合わせてリニューアルしてきた。1970年からは伴奏がアコーディオンとピアノからギター、ベース、ドラム、ピアノ、シンセサイザーのバンドに変わるなどいい意味で充実した。

 しかしながら、今回の改変は愛好者の私からみても残念な点が多い。でも最終的には時代柄か?と思わざるを得ない。

 放送開始から77年が経ち、視聴率も徐々に下落傾向にあった。COVID-19の影響で2020年3月から何度も放送が中止となり、様々な問題点が浮上してきたことで刷新の機運が高まったらしい。

 今後20年、30年を見据え、持続可能な番組にするためには細かな手直しを常に行う必要があったことは確かである。リニューアルの少ない業界が滅びるのは歴史の鉄則でもある。まさに「のど自慢」がつづいていくために変わり続けていく必要があることは確かである。

 (1)出場者応募を往復ハガキからWEBでも可能とした。

   (2)伴奏がカラオケ音源に変更になった。
 これはとても大きい改変である。
 生演奏のバンドを従えて歌うのだから、その満足感はカラオケ伴奏とはひと味違うことは言うまでもない。歌唱の主役は出場者であり、伴奏者はその個性に合わせて必死に伴奏をつけていた。まさに特別な瞬間が醸し出されていた。これがのど自慢の醍醐味であった。

 しかし、時代とともに伴奏の問題、伴奏者の問題が浮上した。
 現代のヒット曲の多くは、シンセサイザーに入力した音源を自動演奏させる“打ち込み”式が主流となっている。このような楽曲に生バンドが対応することは意外と困難という。
 出場希望者は毎回1.000人ほどの応募がある。その中から200組が厳選される。伴奏者は放送前日の土曜日に開かれる予選会で200組の歌を伴奏しなければならない。これに対応できるメンバーの人材不足も明らかとなってきた。
 伴奏メンバーは地域毎に数バンド確保されていて出番は数週間に一度というが、伴奏者を探すのがとても困難になってきている、という。

 そんな事情で伴奏がバンドからカラオケ音源に変わったということらしい。
 やむを得ないだろう。


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ラジオ番組『Panasonic Melodious Library』 15年9ヶ月で終了

2023年05月29日 10時40分04秒 | コラム、エッセイ
 私はTVを好まずラジオ派である。その中でも聴くのはNHKラジオで、民間の番組はこの番組一つだけであった。

 『Panasonic Melodious Library』は、小川洋子氏が中心となって2007年7月1日から2023年3月26日までTOKYO FMをキーステーションとして全国38局ネットで放送された。秋田ではFM秋田で聴くことができた。

 私は当初は番組の存在を知らず、自動録音で全番組をMP3で記録し始めたのは2012年からである。番組で年間50冊ほどが紹介されるから、500冊分ほど録音されていて私にとって貴重な資料となっている。私はそれをiPhoneに移し通勤時などに番組を聞いている。

 何故終了するのかは分からないが、番組の愛好者としてはとても残念に思う。 
 しかし、考えてみるとよく15年近くもつづいたことの方が驚異的である。この番組が元になって書かれた小川洋子著「心に響き合う読書案内(PHP文庫)」の序文によると、氏はこの企画が提示された時は尻込みした、という。
 確かに一週も欠かさずに作品を読み返し、放送原稿を作り、録音する作業は現役の作家には過酷であろう。氏は一回も欠かさず出演したほか、この間も数々の作品を発表し、芥川賞などの審査員、評論活動もこなしている。

 番組で取り上げた作品は、内外の作品、古典も現代作家も、恋愛小説も絵本も分け隔てない。取り上げる際のコンセプトは「文学遺産として長く読み継がれてゆく本」、という一点のみだった、という。

 小川氏と、進行役の藤丸氏の会話は、雰囲気がとてもいい。小難しい話は一切出てこない。 最初から最後まで、本についての楽しい話が展開する。小川氏が醸し出すソフトな空気感のなせるわざは大きい。

 「メロディアス」という名を冠しているから途中でその作品やシーンにつながる音楽も楽しむことができる。番組中の楽曲は小川氏が毎週3曲選んでいるという。

 最終回の2023年3月26日の放送は第一回に放送された夏目漱石の「こころ」をもう一度紹介し、番組の最後を締めくくった。

 この番組により、 私が得た最も大きな収穫は、既読本を再読する機会を得たことである。本は再読してこそ価値が一層深まる。古い作品も年齢を重ねた私に、また新たな魅力を見せてくれる。またこの番組を聞いてから求めた書籍も少なくない。

 名作は生き続ける。しかも、人間よりもずっと我慢強く紐解かれるのを待ち続ける存在である。

 15年も頑張ってきた作家小川氏の労苦を讃えたい、と思う。


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G7広島サミット(4) 中露の反応 チャットGPTで添削してみては??

2023年05月28日 06時14分43秒 | 政治・経済 国際関係
 広島で開催されたG7サミットでは、ウクライナ情勢や核軍縮など世界の安全に関わる問題、気候変動や人工知能(チャットGPTなど)、国際保健やジェンダーといった人々の生活に直接影響する分野まで、実に多くの議題が俎上にのぼった。

 深刻なのは、G7が大国ロシアが始めた違法な戦争を、止める有効な手立てをとれない国際社会の現実である。
 頼みの国連安全保障理事会は、常任理事国ロシアの拒否権で機能不全に陥っている。新興国も加わるG20もロシアの反対で一致した方向性を示せない。

 だからこそ、自由や民主主義などの価値観を共有するG7の責務は重い。
 ロシアの違法な侵攻が続く限り「ウクライナを支援する」と首脳声明で言明したのはそれでも意義は大きい。

 今回、世界が新たな試練に直面したことが表面化した。
 かつて世界の6割を占めたG7の国内総生産(GDP)は今は4割となり、影響力の低下は覆い隠せない。G7だけで解決策を見いだすには、もはや限界がある。
 このため広島サミットでは、「グローバルサウス」と呼ばれる新興国や途上国との関係づくりに力点が置かれた。多様な国々のリーダーを招待し、サミット期間のほぼ半分を彼らを交えた議論に割いた。彼らの声に真摯に耳を傾け、G7が利害を超えて共通課題に本気で取り組む姿勢が必要となった。

 ロシアが核の脅しを繰り返し、核戦争が現実味をもっているこの時期に広島でサミットを開いた意味は大きかった。
 だが、「核なき世界」の理想に向けて現実を近づける具体的な筋道は提示できなかった。首脳声明では核抑止の動きが正当化されただけであった。

 戦争終結への具体的道筋など、大局に立った議論がなかったらしい。
 今回のG7サミットのもう一つの主役は中国だった。
 東・南シナ海や台湾をめぐる情勢、人権問題から、資源を武器に他国に圧力をかける経済的威圧まで、首脳声明の多くが中国への懸念表明に割かれた。
 しかしながら、今回は対抗一辺倒ではなく、「建設的、安定的な関係の構築」が首脳声明に盛り込まれ、気候変動など共通の関心分野で中国との協働がうたわれたのはいい傾向である。中国も国際秩序を共に構築する責任を自覚する必要がある。

 上記の如く、もはやG7だけで世界的課題が解決できないことは明らかである。

 G7サミット終了後、中露はそれぞれ声明を発表した。
 中国のそれは内政干渉だとして議長国である我が国を非難する内容が含まれていた。
 一般的にみて、自由主義国家と先制主義国家間で諸国間で飛び交う外交文書には、小学生でもわかるような屁理屈をあげて一方的に異を唱えるものが多い。今回も同様であった。小学生に添削してもらうのは流石に許し難いであろうが、今話題になっているチャットGPTに添削してもらってみてはどうだろうか。
 世界の平和に寄与するような見事な文章が出来上がる、と思われるのだが・・・。
 
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G7広島サミット(3) グローバルサウス対策が重要

2023年05月27日 17時15分20秒 | 人権問題
 いままさにG7が自らの足元の戦禍に苦悩している。昨年にはない緊張感が見られ、これも異例のことだ。

 昨年のG7ドイツで開催されたサミットでは議長を務めたショルツ首相は、「私たちは経済に関して分水嶺を経験している。物価高がドミノ状態にあって政策のかじ取りの難度は増している。COVID-19禍から回復途上た欧米の中央銀行は続々と政策金利を引き上げ、「G7ドイツサミットは利上首脳会議!!!」とまで言われた。 

 G7ドイツサミットは対ロ制裁強化で足並みをそろえたが、ロシアも対抗し、エネルギーや穀物の価格高騰という副作用をもたらした。ニューヨーク原油先物相場も高止まりの他、3月国連食糧農業機関(FAO)が公表する世界食料価格指数も3月に過去最高を記録。 ウクライナからの穀物輸出が滞り、世界的な食料不足への懸念が話題の中心であった。今から見ると緊迫感が少ないG7サミットであったといえよう。
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 今回の広島サミットは発表された首脳声明は、ウクライナへの軍事面を含む支援の継続やロシアへの制裁強化などを約束した。「即時、完全かつ無条件の撤退」を求めるなかで、頻繁に言及されているのは「第三国」の存在である。
 声明はロシアに協力する国への懲罰を示唆する一方、戦争の余波で食糧難などに苦しむ国々との連帯を強調している。

 ここに、今回のG7が迫られたもう一つの課題が見える。「グローバルサウス」と呼ばれる新興・途上国との関係づくりである。
 「グローバルサウス」とされる国々のうちでもロシアの侵略を国際法違反とみる国は多いが、G7が発動した制裁に加わるのは限定的で、今回の招待国インドやブラジルなども同様だ。紛争や貧困などにあえぐ国々の多くは、侵攻の善悪や自由に対する理念そっちのけに「G7 vs ロシア・中国」という対立軸に冷めた目を向けて静観しているか、強かに利を求めようとしている。

 G7はこれまでも途上国の重債務問題や開発支援などで関与をうたってきたが、ウクライナ戦争で学ぶべき教訓は、「法の支配による国際秩序を築くうえでも新興・途上国の協力が欠かせない」ことであろう。

 G7は今回の招待国との対話に謙虚に耳を傾けるべきだ。中ロを含む少数の大国が、世界を破滅させるほどの強大な核戦力を抱え、覇を競うことがいかに愚かなことか。
 核廃絶を求める広島の声は間違いなくサミットを通して世界に浸透した。
 これで終わりにせず、核廃絶に向け政治に何ができるか、いま一度考える時だ。
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