福田の雑記帖

www.mfukuda.com 徒然日記の抜粋です。

メールで医療行為など出来ない(1) 某医師・保健所・厚労省のバカ三重奏

2008年01月31日 06時41分38秒 | 医療、医学
 愛知県のクリニックの院長が経口避妊薬のピルをインターネットを介して処方していた。
 ピルは処方箋が必要な薬品で、診察と一定の書式による処方箋が必要であるが、ここではメールだけで希望者とやり取りしていた。新聞報道によるとこのクリニックでは低用量ピルのインターネット販売を9年前から行い、1日60-100件のメールがあるとのこと。希望者にはメールで健康状態や大病の経験の有無、服用中の薬の有無や種類、ピルの使用経験などを確認しているといい、院長は「3分だけ診察するような対面診察より効果的だ」と医師法違反を否定している。
 この医師は3分間の対面診療の意義を軽視しているが,その程度の方なのだろう。経験豊かな医師は3分間もあれば診察に必要な情報の大部分をキャッチし対策を考えることが出来る。一方、メールでの虚偽の申告をどうやって見抜くのか?不可能である。だから、メールのやり取りでは医療は出来ない。

 こんなバカ医師にも困ったものであるが、厚労省も保健所も何をしていたのか、私は理解できない。

 無診察の処方箋発行は医師法で禁じられている。だから、この医師の違法性は明らかである。
 地域の保健所は2005年にこの情報をキャッチし、正規の診断に当たるか厚労省に問い合わせたが、これまで回答はないという。保健所はこの3年間も黙って返事を待っていたのか??待っても返事がなければ再度問い合わせればいいじゃないか。保健所も問い合わせたこと自体を忘れていたのだろう。それ以上に、保健所には判断能力はないのか?バカな話だ、と思う。
 厚労省医事課の担当者はこの件について「一度も診察せずに処方箋を交付すれば医師法違反の可能性がある」とし、問い合わせに回答しなかったのは「担当者が代わっていて分からない」と解答したという。これもバカな説明である。
 某医師・保健所・厚労省の見事なバカ三重奏である。
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大阪知事選:選挙の当選の秘訣はTVタレント、キャスター出身?

2008年01月30日 06時23分05秒 | 政治・経済 国際関係
 大阪府知事選挙は予想通りテレビで人気を集めた橋下 徹氏が当選した。私の予想通りというのは、何もマニフェストや政策からではなく「人気あるTVタレント・弁護士」という肩書きからで、それ以外の根拠はない。

 秋田県の4年前、昨年の2回の参議院選挙、宮崎県知事選挙などを見てもTVキャスターとか、タレントの方々が当選している。何れも現役ベテラン政治家を破っての当選であった。秋田では選挙に勝つには地道な政治家としての実績よりもマスコミを通じて顔が知られていることの方が重要らしい、と感じたものであった。確かに、政治家は選挙の時には知名度は一気に上がるが、大臣に就任でもしなければ中央で活躍していている間にだんだんその姿が見えなくなる。だから、これからの選挙運動は如何に地元を大事にして、地元の有権者に評価されるか、知名度を維持できるか、と言うことに尽きる。勿論、「TVタレント・キャスター」が政治家として不適当だ、とは言うつもりはないが、実力以上に集票することは確かである。選挙にはこの様な、人気投票と似通った一面もあるから怖い、と思う。

 当選した橋下氏は38歳で、全国でもっとも若い知事になるのだそうだ。いま大阪府は、借金5兆円も抱えて財政再建団体への転落寸前だと言うが、この様な状況で知事を引き受けようとした彼の真の姿、気概をもっともっと知りたいものである。 

 彼の心配なところは、言葉の軽さだと指摘されている。タレント時代には、核武装を主張したり、いろいろな過激な発言が批判を浴びた事もあり、それを後に簡単に撤回したりしている。テレビ番組などで耳目を引くのは簡単であるが、知事としてはこんなやり方は通用しないばかりか直ちにマイナスの烙印となる。
 知事になって、一体何をやりたいのか分からないという声もあるようだ。どんな知事を目指すのか、今後の彼に注目したい。
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北大のクラークさんと医師法21条 共通点は「あいまいさ」

2008年01月29日 04時19分09秒 | 医療、医学
 「Boys be ambitious」で有名な北大のクラークさんはもう一つ、「この学校に規則はいらない、Be Gentlemanの一言で十分」と言ったことでも有名である。これに対して「具体的にはどうすればいいのですか」という問いには「何をして良いのか、何をしてはいけないのかは自分で判断しなさい」と答えたという。先日目を通した随想の中にあった言葉である。これを読んでいて私は「まるで医師法21条そのものではないか、これじゃ困るよ」と思った。

 医師法21条は「医師が死体を検案して、異状があると認めた場合に24時間以内に所轄警察に届け出なければならない」としているが、実は異状がある死体とはどんな死体なのか定義がない。「何が異状で、何が異状でないのかは自分で判断しなさい」、と言うことである。こんなあいまいな法律で、臨機応変に解釈されては困るのだが、それが現実になっている。

 昭和24年の医務局長通知では診療関連死はその届出対象とされていなかった事もあって、つい最近までファジーな状態であっても問題になることはなかった。ところが、平成12年に「医療過誤によって死亡又は傷害が発生した場合には、施設長は速やかに所轄警察署に届出を行う」とその解釈が拡大され、しかも医師は業務上過失致死罪などを問われるようになった。平成16年4月13日の最高裁判決により「明らかな過誤による死亡については診療中の医師の届け出で義務」が認められたが、届け出対象は明示されなかった。

 医療は「大きなリスクを回避するために小さなリスクを与える」ものであり、医師にはそれが許されているだけでなく、義務さえも課している。医療行為と結果の間には不定の要素があり、判断ミスや間違いがなくとも不測の事態も起こりうる。その結果だけで医師が逮捕・起訴されるのであれば、リスクの高い医療行為を行う医師はいなくなり、医療レベルは劣化し、崩壊していく。

 厚労省の「診療行為に関連した死亡に係わる死因救命等の在り方に関する検討会」が平成19年10月にまとめた第2次試案に関して、日本医師会は容認の方向にあるが、この試案を土台にして法体制が構築されれば、日本の医療が崩壊への一途をたどるのは明白と批判する意見もあって、いま医療界は医師法21条から「あいまいさ」を排除するために動いている。

 クラークさんの含蓄のある「あいまいさ」は笑って許せるが、医師法21条は「あいまいさ」を残したままでは困るのだ。


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村上もとか著 JIN -仁- 全10巻 集英社

2008年01月28日 04時32分12秒 | 書評
 現役の脳外科医が突然幕末期にワープしてしまうという奇抜な導入部からはじまるマンガである。正月に子供達の誰かが知人から借りてきたものらしい。しばらく枕ものに積まれていたが、たまたま就寝前に第一巻を手に取ってみてぐいぐいと引き込まれ、以降、連日就寝前に10分ほど目を通しているがなかなか面白い。スーパージャンプというマンガ週刊誌に平成12年から連載された作品の単行本化のようである。

 作者の村上もとか氏について私は全く知らないし、他の作品を読んだこともない。本のカバー裏に作者は、「臓器移植、クローン、ゲノムなど、まるで不可能など無いような最先端の医療の進歩であるが、ヒトは誰でも死を迎える。今から百数十年前の江戸時代、今の時代なら何でもない病気や怪我で人々は命を落とした時代に、われわれの先祖はどのように生き、どのように死んだのか。その現場に現代の医師が臨んだときどのような治療が可能なのか。そんな空想に医学的考証加えた命のドラマを描いてゆきたいと思います」と記載している。

 私共は近代医療の成果を当たり前のように享受して外来や病棟で診断や治療にあたっているが、一度環境が替わったときに何が出来るのか、医療機器がない状況下では何が出来るのか、私は自身の能力に心もとなさ、不安すら感じている。だから、この作品に共感できる部分が沢山あって引き込まれたのだろう。

 外傷を中心にいろいろな疾患が登場するが、私が特に引きつけられたのは、疫病と言われる感染症の部分である。特に「麻疹」「コレラ」に関する部分では、「新型インフルエンザ」のパンデミックの時は、近代医学が浸透している現代でもこの記述と何ら変わらない様な厳しい状況を来すのではないか、と思われてならなかった。その時にもっとも異なるのは時代と共に変わってきた人びとの死生観であり、医療への過度の期待、なのではないかと思う。
 私はマンガは絵が好くないと読めないし読まない。このマンガは絵が丁寧に書かれている。更に、目の表情が素晴らしい。主人公他の登場人物の心や体の状態を見事に表現している。病に苦しむ患者、死に至る患者の目の表情も全身状態の表現もリアルである。

 この作品について酒井シズ順天堂大教授、富田幸彦杏林大脳外科医、大場邦彦聖徳大学人文学部教授が監修にあたっているとあるだけ、私から見て記述内容に大きな間違いがなく、安心して読める。加えて、当時の医療面の史実を知ることが出来るのも嬉しい。
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新型インフルエンザの脅威: 感染力、重症度、死亡率全てが別物

2008年01月27日 07時05分30秒 | 医療、医学
 徐々に秋田でもインフルエンザ患者が増加し始めています。毎年今頃になると流行する「いつものインフルエンザ」で、Aソ連型と言うタイプが主です。

 ところで、いま私たち医療関係者が一番心配しているのは「新型インフルエンザ」の発生です。名前に「新型」が付いているだけですが、この「新型インフルエンザ」は感染力、重症度、死亡率などから見て全く別ものです。数年前に世界を震撼させたサーズ (SARS重症急性呼吸器症候群)より遥かに怖いのです。まだ世界で一例も発生はしておりませんが、東南アジアの何処かで近々発生しうる危険な状況にあります。

 この「新型インフルエンザ」に対して人類は全く抵抗力がないので瞬く間に全世界で流行する危険があります。勿論、近代医学の英知を集めて封じ込め対策を行いますが、飛行機等の高速移動手段を利用して多くの人達が往来している現代において、封じ込めは困難です。大流行になった際、おさまっていくまでの8週間に秋田県では30万人ほどが感染し、死者1.400人にも達すると予想されています。

 ワクチンはありません。治療は抗インフルエンザ薬の「タミフル」が効く可能性はありますが、定かではありません。この8週間、職員の罹患や家族の罹患で介護のために半数近くが職場を休む可能性があり、交通、物流を始めとして社会機能はかなり麻痺すると考えられます。企業も業務が出来なくなると考えられます。

 医療関係者は事態を深刻に受け止めて緊張していますが、世の中はあまりにも平穏です。
みなさんの生活がどうなるか、紙面の関係でお伝えできませんので、本を一冊お勧めします。岡田晴恵著「H5N1型ウイルス襲来---新型インフルエンザから家族を守れ---」角川SSC新書(720円)です。それと、流行は8週間続くとされています。この間、買い物を始め、不要な外出は控えなければなりませんから、じっと家で過ごすための下準備、生活用品・食料品の備蓄、心の準備をしておく必要があります。
                                         (週刊アキタ 1/25掲載)
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